理学療法士・作業療法士が超音波診断装置を用いて診断しているのが危険

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理学療法士・作業療法士が超音波診断装置を用いて診断しているのが危険

最近は超音波診断装置とよばれるエコーを活用して運動療法を行っている理学療法士・作業療法士は多いと思います.

超音波診断装置ってその名のとおり超音波を使って診断をするための装置なのですが,ご存じの通り理学療法士・作業療法士に診断権はありません

あくまでも理学療法士・作業療法士が行えるのは評価までです.

今回は理学療法士・作業療法士が超音波診断装置を用いて診断しているのが危険な件について考えてみたいと思います.

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画像をみて診断できるのは医師のみ

これは当たり前の話ですが,X線・CT・MRIといった画像検査をみて診断ができるのは医療職の中でも医師のみです.

そのためX線を見て「骨折している」,「靭帯が損傷している」,「腱板が断裂している」なんて診断はできないわけです.

おそらくX線・CT・MRIをみて診断している理学療法士・作業療法士はさすがにあまりいないと思います.

超音波診断装置もX線・CT・MRIと同じです.

理学療法士・作業療法士であればX線・CT・MRIを読影してその結果を運動療法に役立てることは多いと思いますが,診断はしませんよね?

超音波診断装置も同じです.

超音波診断装置から得られた所見を運動療法に役立てることはあっても,超音波診断装置から得られた情報から医学的な診断を行うことはあってはならないわけです.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

法律的には?

まずは理学療法士・作業療法士の業務根拠について見てみたいと思います.

理学療法士・作業療法士の業務根拠は理学療法士・作業療法士法の第15条に規定されております.

 

第十五条

1 理学療法士又は作業療法士は,保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第三十一条第一項及び第三十二条の規定にかかわらず,診療の補助として理学療法又は作業療法を行なうことを業とすることができる.

 

2 理学療法士が,病院若しくは診療所において,又は医師の具体的な指示を受けて,理学療法として行なうマツサージについては,あん摩マツサージ指圧師,はり師,きゆう師等に関する法律(昭和二十二年法律第二百十七号)第一条の規定は,適用しない.

 

また保助看法の規定によると

 

第三十一条 看護師でない者は,第五条に規定する業をしてはならない.ただし,医師法又は歯科医師法(昭和二十三年法律第二百二号)の規定に基づいて行う場合は,この限りでない.

 

第三十二条 准看護師でない者は,第六条に規定する業をしてはならない.ただし,医師法又は歯科医師法の規定に基づいて行う場合は,この限りでない.

 

とあります.

 

これは理学療法士・作業療法士に限らず,他のコメディカルにも通ずるところですが,医師の指示の下の診療の補助行為は看護師が行うのが原則であり,理学療法士・作業療法士をはじめとするコメディカルは保助看法の例外としてそれぞれの業務を行うことができるわけです.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

超音波画像検査を行うことが法令で明文化されている職種は?

基本的には超音波画像検査を行うことが法令で明文化されているのは看護師ということになります.

看護師以外に超音波画像検査を法令で認めらている職種としては臨床検査技師診療放射線技師が挙げられます.

 

臨床検査技師や診療放射線技師は超音波画像診断装置の使用に関し,法令で明文化されているのに対し,理学療法士・作業療法士は明文化された法的根拠が無いため,反対解釈により医師の指示の下であっても超音波検査を行うことは保助看法に違反するのではないかといった見方もあります.

ちなみに鍼灸師や柔道整復師の場合には都道府県によってはその業務範囲内で利用する限り,超音波画像検査が医師法に違反しない,といった通達が出されているところもあります.

そのため施術所で柔道整復師が超音波画像診断装置を使用していることは少なくありませんし,鍼灸マッサージ師や柔道整復師がOKなら理学療法士・作業療法士もOKではないかといった考え方もあります.

ただ鍼灸マッサージ師や柔道整復師はそもそも独立判断で治療行為を行う免許でありますので,医師法の例外法規であります.

一方で理学療法士・作業療法士法というのは保助看法の例外法規です.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

法律上の明文化が必要?

個人的には超音波診断装置というのは理学療法士・作業療法士が運動療法を行う上では必須のツールになってきておりますので,使用に関してもきちんと法律上に明文化してもらえるように日本理学療法士協会に動いてほしいところです.

 

今回は理学療法士・作業療法士が超音波診断装置を用いて診断しているのが危険な件について考えてみました.

医師の指示の無い状況での使用に関してはおそらくグレーゾーンだと思いますが,少なくとも診断はNGですね.

理学療法士・作業療法士の皆様も超音波診断装置の使用にあたってはクライアントへの説明に注意しましょう.

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