過去に行われていないことを研究目的としてはいけない

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過去に行われていないことを研究目的としてはいけない

最近は臨床研究に取り組む理学療法士・作業療法士も増えております.

臨床研究を行いたいが研究のネタがないなんて声も聞かれます.

そもそも研究目的を明確にした上で研究計画を立案して研究を行えれば良いのですが,なんとなくデータを取ってなんて理学療法士・作業療法士もまだまだ多いのが実際です.

研究を行う場合には目的を明確にすることが重要ですが,よくあるのが文献検索をしても過去に行われていないので研究を行いましたといった発表ってけっこうありますが,これってNGですよね?

今回は理学療法士・作業療法士が研究を行う際には,なぜ過去に行われていないことを研究目的としてはいけないのかについて考えてみたいと思います.

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研究には新規性が必要

ご存じとおり学術研究というのは新規性が必要です.

既に明らかにされていることを真似て研究を行うのはご法度ですし,協力いただくクライアントに対しても倫理的に大きな問題が生じることとなります.

追試的な調査にも全く意味がないわけではありません.

例えば文献検索を行ったうえで,これまでの報告の限界を明らかにし,そのぶぶんを補う形で追試的調査を行うとか,現在のところ結論が分かれている疑問に対して追試的な調査を行うというのはありだと思います.

 

 

 

 

 

 

 

 

新規性だけでは研究にならない,臨床的な意義を考慮すべき

ただ新しいからと言って研究として認められるかというとそんなことはありません.

「われわれの知る限り過去に○○について調査した報告は散見されない」なんて記述をよく見かけます.

これは新規性を明らかにするためには重要な記述ですが,過去に報告がないから研究するといった流れには実は問題があります.

もしかしたら過去に行われていないのは研究を行う意義が乏しいからかもしれません

特に研究のための研究は過去に行われていないといった理由だけが研究の意義になりやすいので注意が必要です.

例えば通いの場に通う地域在住高齢者にTUGと歩行速度を計測したから,このデータをどうにか研究発表につなげようといろいろと考えます.

文献検索を行った結果,通いの場に通う地域在住高齢者を対象としてTUGと歩行速度の関連性を調査した報告はなかったので,これを研究目的と使用といった流れです.

この研究に意味があればよいです.

重要なのは通いの場に通う地域在住高齢者のTUGと歩行速度の関連性が明らかになれば,どういった面で臨床や地域における理学療法士・作業療法士の関わりに役立つのかといった点です.

ここが欠如していると研究のための研究に陥ってしまいます.

 

今回は理学療法士・作業療法士が研究を行う際には,なぜ過去に行われていないことを研究目的としてはいけないのかについて考えてみました.

やはり研究を行う際には明確な仮説を持って,その研究で仮説が明らかになればどういった面で臨床に還元されるかを考えておく必要があります.

残念ながら理学療法士・作業療法士が行う研究ってまだまだ数字遊びにしかなっていないような研究が多いですからね…

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