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廃用症候群ってネーミングって印象が良くない
廃用症候群といえば理学療法・作業療法の対象となることの多い症候の1つだと思います.
現在は疾患別リハビリテーション料の中にも廃用症候群のリハビリテーション料が定められておりますので,理学療法士・作業療法士が廃用症候群を有するクライアントに対峙する機会は少なくないと思います.
また運動器疾患であっても脳血管疾患であっても廃用症候群を合併していないクライアントというのは皆無に等しいと言っても過言ではありません.
ただ廃用症候群というネーミングって印象が良くありませんよね?
今回は廃用症候群というネーミングについて考えてみたいと思います.
リハビリテーション実施計画書における廃用症候群
リハビリテーション実施計画書の中に廃用症候群って記載があったらどうでしょうか?
リハビリテーション実施計画書は医師によって説明を行った上で,クライアントから同意を得た上で書類のコピーをクライアントに渡す必要があります.
入院中ってけっこう暇なもんですからクライアントによってはリハビリテーション実施計画書を隅から隅まで確認しているクライアントも少なくありません.
廃用症候群ってネーミングを見てどう思うでしょうか?
リハビリテーションに前向きに取り組もうと思えるでしょうか?
廃用症候群とは?
廃用症候群というのは元々はdisuse syndromeと表現されていたものを日本語訳したものです.
ご存じのとおり,廃用症候群というは学術用語でもありますし,廃用によって生じる全身の体や頭の働きの低下を指します.
ただ廃用症候群というネーミングって,漢字からイメージされる印象があまり良くありません.
「廃」という漢字は「廃業」「廃棄物」「廃人」などの言葉を連想させますので,医療者が使用するのはまだしもクライアントに対して「廃用」といった言葉は使いにくいのがじっさいだと思います.
加えて「用を廃した」(全く使わなくなった)場合のみに起こると捉えられがちで,軽度あるいは中等度の使用低下であれば廃用症候群は起こらないといった誤解をまねく可能性もあります.
廃用症候群から生活不活発病へ
廃用症候群という言葉はイメージも悪いですし,クライアントにも伝わりにくいわけですが,「生活が不活発である」という原因と予防・改善には「生活の活発化」が重要であるといった点を考えると,「生活不活発病」という用語を用いると解決する部分が多いでしょう.
実際に公的な文書においても,「生活不活発病」といったワードを目にする機会が増えてきております.
また廃用症候群を考える際には廃用症候群は予防が可能であり,適切な介入によって改善も可能であるといった視点が重要だと思います.
理学療法士の視点からずれ場,「使わなければ機能が衰える」というのは当たり前ですが,廃用症候群(生活不活発病)というのは「生活が不活発」なことが原因ですから,「生活不活発病」が生じることは「仕方がない」ものではなく,予防も可能ですし,改善も可能であるといった点です.
「生活不活発病」というのは,不快な響きがないだけでなく,原因についても予防・改善についても「日々の生活のありかたによって予防・改善が可能である」といった点で非常にわかりやすいと思います.
今回は廃用症候群というネーミングについて考えてみました.
リハビリテーション実施計画書に廃用症候群なんて書かれているとクライアントも良い印象は受けませんよね.
早くこの廃用症候群という用語がかつての痴呆が認知症に見直されたように見直されることを期待したいですね.
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