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PT・OTの整形外科クリニックへの転職のメリット・デメリット
最近は理学療法士・作業療法士が転職を考える場合にも,総合病院や整形外科クリニック,循環器専門病院,通所施設,訪問リハビリテーション事業所とさまざまな選択肢があります.
これらの転職先を選択する基準は,人それぞれ異なりますが,どの職場に就職・転職する際でも,施設の特徴は業務の内容を把握した上で転職先を選ぶことが重要となります.
整形外科クリニックは理学療法士・作業療法士の勤務先として非常に多い職場の1つです.
最近は以前に比較すると理学療法士・作業療法士を多く雇用する整形外科クリニックも増えてきております.
今回は整形外科クリニックにおける理学療法・作業療法業務の内容と,一日の流れ,理学療法士・作業療法士が整形外科クリニックへ転職するメリット・デメリットについて考えてみたいと思います.
そもそもクリニックって?
クリニックというのは,日本語で診療所といった訳が当てられますが,基本的には入院施設を持たず,入院患者のためのベッドは無床,もしくはあっても19床以下の病院のことを指します.
そのため,基本的には通院するクライアントが理学療法・作業療法の対象になります.
○○クリニックとか○○医院といった名前の医療機関はこのクリニックだと考えて良いでしょう.
整形外科クリニックの対象疾患と保険点数
整形外科クリニックでは,多くのクライアントが,変形性膝関節症や腰痛症などの整形外科的な疾患によって通院されています.
この対象疾患はクリニックで請求できる保険点数と関連します.
保険点数とくのは通常は診療報酬点数ことですが,理学療法・作業療法を行ってクライアントおよび保険からいただける料金のことを指します.
理学療法・作業療法を行うことで請求できる点数は,何段階かに分かれています.
運動器疾患でいうと運動器リハビリテーション料が3段階に分かれております.
運動器リハビリテーション料Ⅰ | 185点 |
運動器リハビリテーション料Ⅱ | 146点 |
運動器リハビリテーション料Ⅲ | 77点 |
こんな感じです.
保険点数というのは1点=10円で計算されますので,運動器リハビリテーションⅠを請求した場合には,クリニックには1850円が収入として入ることになります.
クライアントが支払う金額は負担割合で変わりますので,1割負担であれば185円,3割負担であれが555円ということになります.
実際には,これにリハビリテーション実施計画料や再診料などが追加されますので,もう少し支払額は多くなります.
この3段階の保険点数がどうやって決まるかといった点ですが,ご存じのように施設基準によって決まります.
施設基準というのは施設の大きさや勤務している理学療法士・作業療法士の数によって決まります.
整形外科クリニックにおけるPT・OTの業務内容と一日の流れ
整形外科クリニックでは,主に整形外科的な疾患を患ったクライアントが通院しています.
対応するクライアントとしては,スポーツで怪我をした小中学生から加齢の影響で膝痛や腰痛などが生じている高齢者まで,さまざまな年齢層の方がいます.
整形外科クリニックを利用するクライアントの最も多い訴えは痛みや痺れです.
症状がある部位としては,膝・腰・肩なんかが圧倒的に多いです.の
整形外科クリニックでの主な業務は,整形外科的な診断を受けたクライアントに対して理学療法・作業療法を行うことになります.
外来通院されるクライアントが中心になりますので,一般的なリハビリテーションと異なり立ち上がり練習や歩行練習といった動作練習をすることは少なく,徒手療法やストレッチといった機能改善を目的としたアプローチが中心になることが多いです.
ADLよりも身体機能改善に焦点を当てて仕事をしたいといった方には整形外科クリニックでの仕事は楽しくて仕方ないでしょう.
整形外科クリニックの理学療法士・作業療法士の1日の流れ
通常は診療30分~1時間前には出勤して,9時または10時からクライアントの対応を行っているところが多いです.
午前中は13時まで診療を行っているといった流れが多いでしょうか.
整形外科クリニックの一番の特徴は昼休憩が長いといった点です,午後からの診療は14時30分とか15時からといったところが多く,診療が終わるのは18時30分とか19時ですのでどうしても拘束される時間が長くなってしまいます.
総合病院などでは昼休憩が60分であるところが多いですが,整形外科クリニックでは休憩時間が90~120分のところがほとんどです.
なぜ休憩時間が長いのかといった点ですが,クライアントが多い場合には,昼過ぎまで診察が行われることがほとんどですので,休憩時間が短いと医師の休憩時間が短くなってしまうためです.
また外来は学校や仕事が終わった後に通院される人も少なくありませんので,昼休みを長くして業務終了時間を遅くしているところがほとんどです.
イメージ的には午前中は高齢者の対応をして,夕方は若いクライアントに対応するといったことが多いです.
カルテの記載や計画書などの書類の作成は,クライアント対応の空いた時間や昼休み,業務終了後に行います.
整形外科クリニックにおける理学療法士・作業療法士の給料事情
理学療法士・作業療法士が整形外科クリニックへ転職する際には九涼って気になりますよね.
整形外科のクリニックは,職場によって給料や収入にバラつきがあります.
同じ整形外科クリニックであっても母体の大きさが違うので当然です.
また地域によっても待遇は異なります.
都会のクリニックでは,週休2.5日,年収400万円以上という整形外科クリニックの求人は少なくありませんが,一方で地方となるとそういった好条件の整形外科クリニックの理学療法士・作業療法士求人は少ないです.
理学療法士・作業療法士が整形外科クリニックへ転職するメリット
理学療法士・作業療法士として整形クリニックで働くことの一番のメリットは,治療医学を学びやすいといったところです.
理学療法士・作業療法士,環境面などに働きかけることと身体機能を改善させることという2つの側面から,患者の社会復帰を支援するという役割があります.
例えば前者であれば、筋力や可動域といった体の機能はそのままだけれども,装具や杖などの補装具,もしくは手すりやスロープなどを使用することによって社会復帰を支援することになります.
これは入院施設がある病院に勤める理学療法士・作業療法士に求められる能力です.
一方で後者は,筋力低下や関節可動域制限などの機能障害が原因で疼痛が生じ,職場復帰やスポーツ復帰が困難であるといったケースが多いので,障害された機能の改善を図ることで社会復帰を支援します.
そのため整形外科クリニックに勤務する理学療法士・作業療法士には機能改善を図る能力が特に必要になりますので,若いうちに機能改善を目的とした徒手的技術を身につけたいのであれば,整形外科クリニックへの就職はお勧めです.
理学療法士・作業療法士が整形外科クリニックへ転職するデメリット
一般的に整形外科クリニックでは理学療法士・作業療法士の担当患者数が多いといった特徴があります.
整形外科のクリニックでは,クライアント対応は基本的に1単位(20分間)で行います.
最近では入院施設などでは3単位(60分間)やそれ以上の時間をかけてリハビリを行うところがほとんどですので非常に介入時間は短いといえるでしょう.
そのため整形外科クリニックでは,1日に行うリハビリの単位数が同じでも,入院施設などとは比べ物にならないくらい,担当患者数が多くなります.
そして当然ながら1人1人の患者さんの特徴は異なるため,理学療法士・作業療法士として考えなければいけないことも担当者の数だけ増えます.
整形外科クリニックでは,理学療法士・作業療法士は短い時間の中で必要なことを全て行う必要があります.
また通院ということは毎日関われるわけではありませんので,次の理学療法・作業療法までに2~3日,長い人では2週間も明いてしまいます.
入院施設で勤務されていた方にとっては,慣れるまでは関われる時間が短いことをもどかしく感じるでしょうが,より多くのクライアントを経験し,理学療法士・作業療法士としての経験値を高められるといった点は整形外科クリニックへ転職するメリットだと思います.
今回は整形外科クリニックにおける理学療法・作業療法業務の内容と,一日の流れ,理学療法士・作業療法士が整形外科クリニックへ転職するメリット・デメリットについて考えてみました.
個人的には若いうちに整形外科クリニックで多くのクライアントにあたり,徒手的な技術を磨くことはとても意義のあることだと思います.
ただデメリットもいくつかありますので,整形外科クリニックへ転職を考える場合には,給与はもちろんですが,土曜日の勤務体制(休憩時間や帰宅時間等),平均的な1日の対応患者数,平均的な実施単位数等を確認しておくことが特に重要です.
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