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理学療法士の仕事はAI(人工知能)にどこまで奪われてしまうのか?
最近ニュースでAI(artificial intelligence)という言葉を耳にする機会が多くなってきました.
AIというのは人工知能を意味する言葉ですが,われわれ理学療法士にとってもAIは無縁ではありません.
今回は理学療法士の視点でAIについて考えてみたいと思います.
最近のAIに関する話題
オセロや将棋の名人はAIロボットに勝てるのだろうかといった興味は誰もが持つと思います.
例えば,昨年の将棋界で注目を浴びた藤井聡太君はAIロボットに勝てるでしょうか?
実際にAIを持つ将棋ロボットとトップ棋士が戦って,将棋ロボットが勝ったといったニュースも昨年報道されていたと思います.
また朝の天気のニュースでは,AIが街を歩く人々のどのくらいの割合がコートを着ているかを瞬間的に判断して,コートの着用率を算出する等といった方法でAIが用いられていることもあります.
今やAIという言葉やAIを持つロボットは,私たちの生活に身近になってきました.
医療の世界でも,AIの進歩は目覚ましく発展してきており,画像分析や診断といった医師の補助機能を持つ医療機器が既に実用化されています.
また癌や認知症を発見するAIも実用化されてきております.
リハビリテーションの分野にもAI技術は急速に入り込んできており,特にロボットリハビリテーションの分野ではAIなくしてその発展は無いような状況です.
理学療法士の仕事とAI
AI技術が発展すれば気になるのは,われわれ理学療法士の仕事が無くなってしまうのではないかといった点です.
果たしてAI技術で,どこまで理学療法士の仕事がなされてしまうのでしょうか?
理学療法士の仕事がどこまでAI技術で置き換わってしまうのかといった点について恐怖感を抱く理学療法士の方も少なくないと思います.
実際にVR(仮想現実)技術を用いた脳卒中後遺症者へのトレーニングや,パロ等のコミュニケーションロボットによる認知症予防などが既に導入されております.
2013年に,英オックスフォード人学のマイケル・オズボーン准教授らが発表した論文で、「機械が奪う職業・仕事ランキング」が日本でも話題になりました.
その後2015年には,野村総合研究所が国内の職業に関するAIやロボットでの代替えについての調査を行っております.
恐ろしいのは,10年~ 20年後には日本の労働人口の50%近くが就いている職業で代替えが可能という報告までなされている状況です.
「あと20年でなくなる50の仕事」といった書籍が出版されるような状況です.
少子化により減少した労働人口をAI技術が搭載されたロボットを用いて補完しようというのは,素晴らしいことではあると思いますが,仕事をしている身としては非常に怖いですよね.
一方で,その後週刊エコノミストに掲載された職業別自動化率のデータでは,理学療法士の自動化率つまりAI技術に置き換えられることのできる仕事の割合は0.4%となっております.
「よかった,自動化されにくい職業だったんだ」とホッと肩をなでおろした方も多いのではないでしょうか.
しかしながらAI技術がさらに進めば,われわれの仕事もいつの時代か AIに置き換わることになるかもしれないことを忘れてはなりません.
AI技術に勝つことを考えるのではなく強みを利用する
理学療法士はAIに勝てるのかといった疑問に対しては,勝てる部分もあれば負ける部分もあるというのが正解だと思います.
われわれ理学療法士は,勝ち負けではなく,AI技術の強みを利用し,AI技術ではできない弱みを補いながら,上手く共存していくことが求められます.
理学療法士の仕事の中で最も重要なのはクライアントとの人間関係ですので,この部分についてはいくらAI技術が発展しても,とってかわることができないものだと思います.
現状ではAI やロボットには人の思いや感情まで汲み取ることはできません.
クライアントとコミュニケーションを取る中で思いや感情などを汲み取り,また理解することで気配りしたり言葉かけしたりするというのは人でなければできないわけです.
またそういった意識でクライアントと接していると心のケアに繋がる事を経験することもあります.
思いや感情を理解することはAI やロボットにはできない部分だと思いますし理学療法士として人としても大切にしていきたいことです.
そういった意味ではわれわれ理学療法士に今後求められるのはクライアントとのコミュニケーション能力であったり,クライアントの感情に寄り添ってサービスを提供する姿勢であったり,そういったAI技術に不足した部分になるのでしょうか.
今回は理学療法士の視点でAIについて考えてみました.
昨今のAI技術の進歩は目覚ましいものがあります.
理学療法士もAIを理学療法に活かすといった視点でAI技術の発展に注目しておく必要があるでしょう.
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