理学療法士・作業療法士が使う統計解析ソフトってどれがいいの?

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理学療法士・作業療法士が使う統計解析ソフトってどれがいいの?

統計学的解析を行うためには統計解析ソフトが必要となります.

一部の検定はMicrosoftのExcelでも行うことが可能なわけですが,実はExcelに搭載されている一部の検定は計算式が誤っているといった指摘もあります.

でも統計解析ソフトが様々ある中でどの統計解析ソフトを用いるべきか分からないという方も少なくないと思います.

今回はさまざまな統計解析ソフトの特徴についてご紹介させていただきます.

 

 

 

SPSS(Statistical Package for Social Science)

いわずと知れたIBMが作成している統計解析ソフトの定番です.

その名のとおり,社会科学系のデータ処理のために開発されたもので,医療系でも広く使われています.

世界中で利用されており,論文のmethodで「統計処理はSPSSで行った」と記載すれば査読者から「その統計解析ソフトの信頼性を示しなさい」というコメントをもらうことはありません.

SPSSが使用される背景としては,解説書がたくさん出版されているといった点も重要です.

ただし契約するパッケージによりますが,価格は年間20万~30万円程度です.

個人で購入するのは少しためらってしまう価格ですよね.

病院や施設単位では購入して解析を行っている職場が多いのもこのSPSSです.

 

 

 

SASとSAS-JMP(Statistical Analysis System)

世界中で利用されている統計解析ソフトとしてSPSSと双壁をなす存在です.

「SASユーザー会」という研究グループが組織され,毎年,研究成果発表会も開催されています.

もちろん,国際的な学術誌への投稿にも安心して使えます.

また,高度なプログラミングも可能で,大量のデータのハンドリングから複雑な統計処理の自動化まで対応できます.

一方で,使いやすさという点ではやや難点があり,それを補う使いやすい簡易版としてSAS-JMPもあります.

私個人の印象ですが,プログラミングも可能ですのでSPSSよりも玄人向けの統計解析ソフトといえるでしょう.

契約するパッケージによりますが価格は, SASは年間20万~30万円程度,SAS-JMPは買取りで十数万円程度です.

 

 

 

EZR(Easy R)

ご存じの方も多いと思いますが,ベル研究所で開発されたS言語をもとにした統計処理のプログラミング言語として「R」があります.

現在,RはThe R Project for Statistical Computingによって無償で提供され,世界中で活用されています.

Rは大変汎用性の高い統計処理ツールですが,逆に,不慣れな人が統計処理に活用するにはハードルが高いという面もあります.

EZRは,自治医科大学の神田善伸先生がRを用いて誰もが簡単に統計処理を行えるようにパッケージ化した総計解析ソフトです.

Rというのはプログラミングができないと素人では使用が難しかったわけですが,コマンダーというプログラミングの知識が無くとも,外部からRを操作できるコマンダーというものが開発されているのですが,このコマンダーの中で医療分野で最も使用されているのがこのEZRです.

Rそのものはプログラミングが行えればどんな解析でも可能なのですが,コマンダーの種類よって可能な解析が限られるわけです.

EZRは通常の医療系の研究活動において必要とされる統計手法はほぼ網羅されています.

しかも,神田善伸先生ご自身がEZRを用いた論文を発表されており,それを引用すればSPSSやSASのように信頼できる統計パッケージとして国際的な論文にも使えます.

しかも最も素晴らしいのは,商業的でなければ無料で利用できるといった点です.

SPSS何かに比べると出力に見にくい部分はありますが,何といっても無料ですから!

 

 

 

Statcel3(スタットセル・スリー)

元埼玉大学の柳井久江先生が開発した,マイクロソフト社のExcel@に組み込むアドインタイプの統計解析ソフトです.

使い慣れたExcel③で利用できることから,とつつきやすいのが特長です.

ただし,使える統計手法はやや限られます.

4,000円の書籍を購入すると無料で使えます.

 

今回は統計解析ソフトを紹介させていただきました.

研究デザインは統計解析に先行するといった,有名な統計学者Fisherの言葉があるように,いくら優れた統計解析ソフトをもっていても,研究デザインが統制されたものでなければ,研究というのはうまくいきません.

最近は無料で使用できるものも出てきておりますので,以前に比較すれば統計解析もより身近になってきていると言えるでしょう.

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