女性理学療法士・作業療法士の家事と育児の両立

働き方
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目次

女性労働人口とM字カーブ問題

自らの意思で職業生活を営み,または営もうとする女性の個性と能力が十分に発揮されることを日的として,平成27年9月に女性の職業生活における活躍の推進に関する法律が公布・施行されました.

少子高齢化がすすむ本邦において,労働人口としての女性の職業生活における活躍を推進し,活力ある社会の実現を図ることが必要となります.

しかしながら一方で,平成28年度の労働人口に関する全国調査によると,一般的な子育て世代とされる25~34歳の女性労働人口は77.1%,35~44歳では74.0%と他の年代の女性労働人口よりも低下していることが明らかにされております.

女性の労働力人口比率が30歳代を中心に低下しており,結婚や出産,子育てを機に女性が離職することによって,30歳代の女性の労働力人口比率が他の年代の労働力人口比率と比較して顕著に減少する「M字カーブ問題」が指摘されております.

 

 

 

理学療法士の現状と課題

平成28年度の日本理学療法上協会の調査において男女比は男性理学療法上が63%(62,386人),女性理学療法士は37%(36,504人)で,女性理学療法上の84%が40 歳以下という構成から,平成28年度の全国調査と同様に 20~30歳代の女性理学療法上の休職・離職率が問題になっております.

また離職状況に関して,男性理学療法士の多くは,業務内容や待遇への不満やスキルアップが上位を占めるのに対して,女性では育児・結婚が上位を占めております.

また復職に必要な要件として男女とも業務内容や待遇が上位を占めておりますが,女性に特化した要件として勤務体系や労働条件が上位に挙がっております.

その他にも,いったん離職しても復職するためには保育園などの託児サービスを利用する親が多いわけです,保育園に預けることができない地域も多いといった問題もあります.

保育園を確保したとしても,子育て中の女性にとって,回復期リハビリテーション病棟などの365日勤務体制の職場であれば休日の交代勤務が必要となるため,休日出勤中の子供の保育が確保できるかなど周囲の環境も考える必要があります.

また一般のクリニックなど,勤務時間が遅くなる施設もあり,これらの勤務体系や労働条件は子育て世代の親が就労継続する上で支障となる時間的な課題でもあります.

また産前産後休暇,育児休暇を取得し長期間臨床から離れている女性は.仕事復帰をするにあたり,知識面でも技術面でも不安になることが多いわけです.

各職場からの声掛けは勿論,復職時に託児所付きの研修会などに参加できるように各種団体の事務局から休業中の復職支援についての積極的な情報提供があれば復帰に向けた精神的不安を解消する一助になるのではないかと思われます.

 

 

 

妊娠中の就労

妊娠中のトラブルは切迫流産,不正出血,切迫早産,貧血につながることが多く,帝王切開や流産・早産などの可能性もあり,大変深刻な問題となります.

これは看護師や介護職と同様に起居動作や移乗動作など介助の際に腹圧がかかるような作業が多い専門職であることから,労働安全衛生上の作業管理に関する課題でもあります.

 

 

時間短縮勤務制度

最近は時間短縮勤務制度を利用して復職をする女性理学療法士も増えてきております.

しかしながら時短勤務者の業務は,周囲の者がフォローすることになりますが,フォローする量が多ければ多いほど,周囲が疲弊し,ともすれば時短勤務者への風当たりが強くなります.

そうなると,時短勤務者は職場に居づらくなり,自らの辞職を考えるようになります.

そうならないためにも,育児中の親をフォローする周囲の人たちへの配慮が必要となります.

日頃から感謝の気持ちをもち,その分,居る間は同僚への気づかいや時間内にできることを率先して行うように心がけることが大切です.

自分自身のみで解決できない時間的な問題に関しては,その職場単位で話し合い,職場内の制度をしっかり理解し利用することも必要です.

 

 

 

家庭内での工夫

家庭内では子供と過ごす時間が少なくなり,時間に追われ日々が過ぎていくため,子供たちへの罪悪感が生まれる日も少なくありません.

また子育て期の女性労働者のストレスに関する調査報告書によると,子どもがいる労働者のストレスについて,自分の時間を持つことができないと感じている人は全体の 42%であり,そのうち81%の方がそれによるストレスを感じているとされております.

仕事と家庭の両立ができないと感じている人は54%で,うちストレスを感じる人は68%となっております.

他にも,育児中は子供の病気により,急な休みが必要になることもあり,他のスタッフにも迷惑をかけるといったストレスもあると思います.

家族や親戚にも協力してもらい,連続して休まずに済むように調整するなどしながら勤務している方が多いのではないでしょうか?

最近では院内に病児保育が設けられている施設もあります.

主婦の就業に関する1万人調査によると,子育てをしながら仕事をするうえでの大きな不安は,子供が病気になった時に仕事を休めるかという点です.

このことからも,女性が就労するにあたって,勤務体系のみではなく,職場の理解や周囲の協力も重要だと考えられます.

 

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