日本理学療法士協会・日本作業療法士協会に入会する必要があるのか?

働き方
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読者の皆様は日本理学療法士協会・日本作業療法士協会に入会されているでしょうか?

協会に入会するには2万円弱の協会費が必要になりますので,協会への入会に関しては賛否両論だと思いますが,協会への入会は個人にゆだねられており,所属施設の先輩や上司の考えに左右されるところも大きかったりします.

結論から申し上げますと,協会へ入会する必要があるかどうかは所属施設の状況や学びたい分野によっても大きく変わりますが,今回は協会へ入会することのメリット・デメリットについて考えてみたいと思います.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目次

協会への入会率・組織率は?

平成27年度のデータによると,日本理学療法士協会への入会率(当該年度入会者数/当該年度国家試験合格者数)は89.5%,組織率(当該年度会員数/国家試験合格者数集計)は79.4%となっております.

すなわち新卒の理学療法士の約9割が日本理学療法士協会へ入会しており,国家資格を有する理学療法士のうち約8割が日本理学療法士協会へ入会していることになります.

実はこの入会率・組織率は年々低下しており,協会の中でも大きな問題になっているようです.

これが高いのか低いのかといった話ですが,日本医師会の組織率が6割程度,日本看護協会の組織率が約5割といわれておりますので,代表的な医療職と比較しても組織率は高いと考えることができるでしょう.

 

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協会へ入会することのメリット

協会へ入会することでどんなメリットがあるでしょうか?

当然ながら所属する施設やその会員のおかれた状況によって協会入会によるメリットは変わってきますが,一般的なメリットをまとめてみたいと思います.

①研修会へ安く参加できる

研修会にもよりますが,協会や県士会が主催する研修会は安価なことが多いです.

私が所属する県士会の研修会では著名な講師の先生の研修会を1000~2000円程度で受講することが可能です.

自分が参加したい研修会が多く開催されれば,協会員になっておけば,かなり安くさまざまな研修会に参加できるわけです.

また協会や県士会の研修会運営に携わることができれば,自分の興味のある研修会を開催しやすくなったりもします.

一方で自分が参加したい研修会が開催されず研修会に参加する機会が少なければ,協会に所属しない方がよかったといったような話にもなってしまいます.

 

 

②学会へ安く参加できる

○○理学療法学会士と呼ばれるような学会に安価で参加できます.

もちろん学会というのは○○理学療法学会士以外にもさまざまなものがあるわけですが,そういった学会に参加する場合には安くなりません.

理学療法士の学会はレベルが低いとかそういった意見も良く耳にしますが,われわれは理学療法士ですので,理学療法士が集う学会で発表をしたり,その分野の先生方の理解を得られなければ,あなたの考えは広くは普及しないでしょう.

クライアントが良くなればそれでいいといった考えもあるでしょうが,学術というのはそこにとどまっていては発展はありません

 

 

③診療報酬・介護報酬に関する最新の情報を得ることができる

年度末になると協会からさまざまな診療報酬・介護報酬に関する情報を得ることができます.診療報酬や介護報酬に関してはリハビリテーションには直接的に関連しない内容も多いのですが,協会がリハビリテーションに関連する部内容を分かりやすくまとめてくれるので,この情報を次年度の運用に生かすことができます.

 

 

 

 

④近隣施設の理学療法士と交流を図ることができる

県士会活動を行っておりますと,近隣の施設の理学療法士と交流を図ることができます.

社保や国保の診療報酬の細かい取り決めは県毎に異なりますので,病院運営に関する有益な情報が得られる場合もあります.

さらにこういった交流がきっかけで研修会の講師や書籍の執筆などを依頼されることもあります.

結局は世の中コネといったところがありますので,協会に所属して活動をすれば多くのコネクションを得ることができます.

自分でどんどん動いていける活動的な方であれば,協会や県士会といった枠などなくとも多くのコネクションを得られるのでしょうが,そういった自主的に動くことが難しい方は協会や県士会に所属しておいて,少しずつ人脈を広げていくというのも人脈を広げる上ではよいと思います.

 

⑤福利厚生制度を利用できる

日本理学療法士協会にはクラブオフという福利厚生制度があります.

田舎に住んでいるとあまり恩恵を受けることはありませんが,ホテルや遊園地の割引が得られることもあります.

 

⑥賠償責任保険に入会できる

日本理学療法士協会に所属していると賠償責任保険に加入することができます.

世界的に見れば日本は訴訟の少ない国ですが,医療事故によって所属施設だけでなく個人が訴えられる例も散見されます.

こういった保険に加入しておけば(年会費3240円),いざという時に安心です.

 

⑦協会誌・ガイドラインを閲覧できる

日本理学療法士協会に入会していれば,協会誌や理学療法ガイドラインを閲覧できます.とはいっても協会誌は無料でJ-stageで閲覧することができるのですが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

協会へ入会することのデメリット

①協会費が必要

当然ながら日本理学療法士協会・日本作業療法士協会に入会すると年会費を支払う必要があります.

日本理学療法士協会の場合には協会費は11000円,これに加えて県士会費を支払う必要があります.県士会費は県によってばらつきがありますがおおよそ4000円から12000円です.

これを安いと思うか,高いと思うかですが,私の所属する施設のように施設が会員費を負担してくれるような場合には,間違いなく入会しておいた方が得ですよね.

どのくらいの施設で協会費や県士会費を補助してくれるのかはわかりませんが,全額でないにしても補助が得られる施設も少なくないと思います.

 

②余計な仕事が増える

協会活動や県士会活動を通じて,人脈が広がる一方で,余計な仕事が増えるという風に考える理学療法士も少なくないと思います.

私自身も協会の仕事や県士会の仕事をしておりますが,完全にプライベートな時間に事務処理をしたりといったケースも少なくありません.

こういった活動も自分のプラスになるものととらえられれば良いのですが,そうでなければ余計な面倒な仕事が増えたと感じてしまうことでしょう.

リハビリテーション管理・運営実践ガイドブック

 

今回は日本理学療法士協会・日本作業療法士協会に入会する必要があるのかについて考えてみました.

冒頭でも述べたように協会に入会することに関しては賛否両論あると思いますし,皆様方の施設の特性や立場によっても,メリット・デメリットは異なると思います.

私自身は協会や県士会の仕事を通じて成長できたと感じることも多く,研修会の講師や書籍の執筆と協会・県士会活動を通じて得たものの方が多いので(金銭的な収入も含めて),入会はもちろん積極的に関わった方が良いと考えておりますが,安い給料の中から年間2万円ものお金をと考える若い会員も少なくないと思います.

皆様も今一度,協会や県士会に所属する意味を考えてみてはいかがでしょうか.

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