理学療法士・作業療法士も知っておきたい二重投稿と二次出版の相違

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理学療法士・作業療法士も知っておきたい二重投稿と二次出版の相違

理学療法士・作業療法士が論文執筆の際に注意したいのが二重投稿です.

二重投稿を繰り返していると研究者としての信頼を失ってしまうことになります.

二重投稿はあってはなりませんが,一方で認められているのが二次出版です.

この二重投稿と二次出版の相違ってけっこう知られているようで知られていない部分だったりします.

今回は理学療法士・作業療法士も知っておきたい二重投稿と二次出版の相違についてご紹介させていただきます.

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二重投稿とは?

学術雑誌では通常,他の雑誌に既に発表している内容や投稿中の論文は原著論文として受け付けないことが明記されています.

したがって,全く同じ内容の論文を異なった雑誌に投稿することは論外ですが,例えば臨床研究で症例を数例追加しただけで,かなりの内容がオーバーラップしている研究論文を発表するというのは,実は問題になることがあります.

オーバーラップしている事実を述べることなしに掲載された論文はRedundant PublicationあるいはDuplicate Publicationとよばれ,広い意味で二重投稿に含まれます.

また同じ論文を同時に二つ以上の雑誌に投稿することは,たとえ言語が異なっても当然許容されません.

一方で,他雑誌で不採用になったもの,学術集会の抄録や予告ポスターに既に掲載された内容のもの,学術集会で発表されたがまだFull paperとなっていないものを投稿することは二重投稿にあたりません.

二重投稿を繰り返してしまうと研究者としての信頼性を失うことにもなりかねませんので,何が二重投稿になって何が二重投稿にならないかを知っておくことは非常に重要です.

 

 

 

 

 

 

 

二次出版(Acceptable secondary publication)とは?

政府や公共機関が作成したガイドラインのようなものは,できるかぎり多くの読者に読んでもらうために,編集者と著者が同意のうえ,あえて二重投稿を認め複数雑誌に同時に掲載されることがあります.

またこのような場合に該当しなくとも,医学雑誌編集者国際委員会(ICMJE)は以下の条件をすべて満たしていればsecondary publication(二次出版)は正当とみなされるとしています.

 

1.著者が両方の雑誌の編集者より許可を得ており,二次出版にかかわる編集者は,初版の論文を入手しなければならない.

2.初版と二次出版との間に一定の期間をおくことにより初版の優先性を尊重するよう,双方の編集者と著者とが協議する.

3.二次出版の論文は異なる読者層を対象としている(要約版でもよい).

4.二次出版の論文は,初版で用いられたデータおよびその解釈を忠実に反映している.

5.二次出版の論文では,論文の内容のすべてある

 

 

 

 

 

 

 

二次出版が認められる背景

近年は英語で論文を発表することが重要視され,質の高い研究成果は英語論文として発表されることが多くなっています.

したがって,和文雑誌にはなかなか良い論文が集まらないのが現状です.

理学療法士・作業療法士の場合にも英語で発表をしないと世界に情報を発信することはできません.

せっかく画期的な研究・発見をしても世界で認められなければ,今の時代,意味をなしませんので,これは当然の流れと言えるでしょう.

しかしながら一方で日本人である限り日本語の方が読みやすく簡単に理解できることもまた事実で,日本語の論文の役割はなくならないように思います.

日本人に広く自分の考えを普及したいということもあると思います.

同じ内容を複数の雑誌に投稿するのは“二重投稿”であり,研究者として重大な規律違反,倫理違反です.

しかし,異なった読者を対象として,同じ内容を複数の雑誌に掲載することが認められる場合があり,これはacceptable secondary publication(許容される二次出版)と呼ばれます.

実はこの範疇で,貴重な研究報告を,英文雑誌と和文雑誌の両者に掲載することも可能となるのです.

 

今回は理学療法士・作業療法士も知っておきたい二重投稿と二次出版の相違についてご紹介させていただきます.

理学療法士・作業療法士の場合にも二重投稿を繰り返してしまうと研究者としての信頼性を失うことにもなりかねませんので,何が二重投稿になって何が二重投稿にならないかを知っておくことは非常に重要です.

また最近は二次出版という新しい考え方が出てきておりますので,どういう条件であれば二重投稿に当たらないのかといったところを把握しておくことも重要になるでしょうね.

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