目次
理学療法士・作業療法士も知っておきたいパラグラフ・ライティング
理学療法士・作業療法士の皆様はパラグラフ・ライティングという言葉はご存知ですか?
このパラグラフ・ライティングは,理学療法士・作業療法士が論文のIntroductionやDiscussionを記述する際にはけっこう役に立ちます.
論文のIntroductionやDiscussionってどうしても文章が冗長的になりがちです.
今回は理学療法士・作業療法士も知っておきたいパラグラフ・ライティングについてご紹介させていただきます.
パラグラフ・ライティングとは?
パラグラフ・ライティングというのは英語圏では必ずと言ってもいいほど教育がなされる文章の書き方のことです.
日本の英語教育では,パラグラフ・ライティングを学ぶ機会は非常に少ないので,もしかしたらご存じない方もいらっしゃるかもしれません.
IntroductionやDiscussionを記述する時によくある悩みが以下のようなものです.
「何から書き始めていればいいだろう?」
「もっとわかりやすく文章を書くことができないか? 」
論文じゃなくても養成校時代の症例レポートの統合と解釈とか考察ってなかなか筆が進まなかった記憶は誰しもお持ちだと思います.
実はこのパラグラフ・ライティングを身につけると,理学療法士・作業療法士のライティングスキルを格段に向上させることができます.
パラグラフ・ライティングとは何か?
まずそもそもパラグラフ・ライティングとは何かということをご説明いたします.
パラグラフ・ライティングというのは簡単に言うと,「文章を読み手にわかりやすく伝えるためのスキル」です.
誰が読んでも「この理学療法士・作業療法士の言いたいことは○○で」とわかるように文章を構成するスキルです.
英語圏の国は日本と比較すると意見をはっきりと述べる傾向があるため,文章を書く場合には伝え手の意図がはっきりわかるように文章を書くことが必須になります.
パラグラフというのは,単なる文章の切れ目としての段落を指すものではなく,ある1つのトピックスを説明した文章の集まりを意味します.
パラグラフ・ライティングでは,パラグラフつまり段落を大きく分けて3つの構成にすることを目標とします.
3つというのが,Topic Sentence,Reasoning,Evidenceの3つです.
Topic Sentence
Topic Sentenceというのは段落の1番最初の文章にあたります.
ここではその段落で伝えたいことの主張を簡潔にまとめます.
ほとんどの場合,1文だけで表すことが多いです.
Reasoning
ReasoningではTopic Sentenceで行った主張をサポートするための理由を述べる部分になります.
ここで注意していただきたいのが,必ず主張をサポートする文章だけを書くことです.
Topic Sentenceとは無関係な文は書かないといったことがポイントです.
Reasoningは複数の文章で構成することが可能ですが,ReasoningにTopic Sentenceに関連しない文章を盛り込むとまとまりのない文章になってしまいます.
Evidence
Evidenceの部分にはReasoningを相手に納得してもらうために具体例やその妥当性を挙げる部分になります.
Reasoningと同様,複数の文章で構成することが可能です.
パラグラフ・ライティングのポイント
日本語の文章では,背景や先行研究の知見,関連するデータなどを述べてか段落の最後で結論や要約を述べることが多いです.
しかし,パラグラフ・ライティングでは,パラグラフの冒頭でそのパラグラフで述べる内容の要約文を置き,最後に主張の結論の再提示(要約文のいい換え)します.
最初と最後の文章の間に著者の主張を支持する補足的情報(背景や先行研究の知見,関連するデータなど)を記載することとなります.
パラグラフ・ライティングでは,1つのパラグラフにそれぞれ見出しをつけるとうまく文章の構成ができます.
パラグラフ毎に見出しを付けて,全体の構成を決めてから文章を書きはじめると,文章がまとまりやすくなるわけですね.
今回は理学療法士・作業療法士も知っておきたいパラグラフ・ライティングについてご紹介させていただきました.
パラグラフ・ライティングは理学療法士・作業療法士が論文を作成するときのみならず,さまざまな文書を作成する上で非常に役に立つ考え方ですので,パラグラフ・ライティングに関して改めて学んでみる価値がありそうですね.
コメント