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なぜ専門学校卒と大学卒の理学療法士・作業療法士の基本給が違うのか?
理学療法士・作業療法士の場合,昔から専門学校卒と大学卒の基本給が異なる職場が多いと思います.
中には3年制専門学校と4年制専門学校の差別化を図っているところもあります.
ただ考えてみてください.
同一労働同一賃金が叫ばれるこの世の中で,専門学校卒と大学卒の差別化って意味ありますかね?
今回はなぜ専門学校卒と大学卒の理学療法士・作業療法士の基本給が違うのかについて考えてみたいと思います.
専門学校卒は大学卒より給与が10,000円安い
専門学校卒と大学卒で基本給に差別化が図れている職場で多いのはおおよそ10,000円の基本給の差を設けているパターンです.
何だたったの1万円かと思われるかもしれませんが,年収にしてみれば15万円にも及びますし,これが30年間続けば450万円の違いになります.
これってけっこう大きいですよね?
例えば専門卒の理学療法士が認定理学療法士や専門理学療法士の資格を取得しても,研鑽を全くしていない大学卒業の理学療法士の基本給を超えることができないわけです.
うーん,これって今の時代に合ってない気がするんですよね…
同一労働同一賃金
2020年4月1日から全国の大企業で一斉に施行された「同一労働同一賃金(別名:パートタイム・有期雇用労働法)」をご存知でしょうか?
中小企業に対しては1年後の2021年4月から適用されます.
同一労働同一賃金というのは,同じ職場で同じ仕事をする正規雇用の従業員と非正規雇用の従業員との待遇や賃金格差をなくすという考え方です.
それまでも労働関係の法律で一定のルールは設けられていましたが,今年からそのルールが明確化され,すべての事業主はこれを徹底することが求められます.
同じ国家資格で労働条件が同じなのに大学卒と専門卒で給料に差があるってどうなの?
この同一労働同一賃金が叫ばれている世の中で,理学療法士・作業療法士の場合は大学卒と専門卒の給与に差があることが多いんですよね.
傾向としては医療機関なんかでこの給与形態を採用しているところ多いです.
同一労働同一賃金の考え方からすると,大卒と専門卒で給料が違うのは納得がいかないということも多いでしょう.
私自身は理学療法士・作業療法士養成は4年制大学卒が望ましいと考えているわけですが,ただ同一労働同一賃金の考え方で考えると専門卒と大卒で給与が違うというのはなんだかなと思ってしまいます.
リハビリテーション関連以外の学部卒は専門学校卒扱い
また理学療法士・作業療法士の場合には,リハビリテーション学部などのリハビリテーションに関連した大学の卒業以外は大卒として認められないことも少なくありません.
例えば経済学部を卒業した後に専門学校に入学して理学療法士になったような場合には,大学を卒業していても専門卒の扱いになることが多いです.
理学療法士・作業療法士を取得した際の最終学歴が専門卒であれば給料は専門卒扱いとなるわけですね.
これもよくわからないシステムです.
大学卒の理学療法士・作業療法士が増えるのは良い
上述したように私自身は大学卒業の理学療法士・作業療法士が増えるというのは,他職種と比較した際の理学療法士・作業療法士の価値を高め身分保障を図る上でも良いことだと思います.
もし給与に差があることで,大学卒業の理学療法士・作業療法士が増え,専門学校が淘汰されていくのであればそれはそれで良い気もしますが,同じ仕事をしているのに給与が違うというのはなんだかなと思ってしまいます.
今回はなぜ専門学校卒と大学卒の理学療法士・作業療法士の基本給が違うのかについて考えてみました.
理学療法士・作業療法士のみならず看護師や他の医療職種においても大学卒業と専門卒業では給与が異なることが多いのですが,最近はこういった差別化を無くすところも増えてきております.
時代を考えれば,こういった差別化が無くなる流れが一層強くなるでしょうね.