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論文査読ってボランティアって知っていました?
理学療法士・作業療法士が雑誌へ論文投稿を行った場合には,Editor kickを受けることがなければ,査読者によって投稿論文の査読が行われることになります.
論文の査読ってかなりエネルギーを使うわけですが,一方で査読に対する謝礼というのは基本的にはありません.
論文査読はお互いさまでボランティアで行われるのが常です.
今回は論文査読がボランティアであるといった件について考えてみたいと思います.
査読はボランティア
ご存じない理学療法士・作業療法士もいらっしゃるかもしれませんが査読作業は原則としてボランティアです.
多くの査読者な日常業務の中でなんとか時間をやりくりしながら査読の作業を行うわけですが,その負担に見合ったインセンティブというのは残念ながら現在のところ存在しないことがほとんどです.
一般的に1つの論文の査読には8時間を要するなんて話もありますので,8時間もの時間をかけて無報酬というのはどうなのだろうかと思ってしまいますが,本邦に限らず世界レベルで見てもボランティアで査読が行われるのが通常です.
根底には査読はお互いさまといった研究者の間で共有される暗黙の了解があり,善意に基づく精度なわけですね.
ボランティアがゆえに査読者が見つからない
8時間もの作業を無償で引き受ける理学療法士・作業療法士どのくらいいるでしょうか?
大学の教員とかある程度時間の自由がきいて社会的にもそれなりの立場の方が務められるというのが実際でしょう.
特に良質な査読者というのは非常に限られた人材となりますので,なかなか人材が見つからないということも少なくありません.
海外の多くの雑誌で熾烈な査読者獲得競争が行われている状況です.
場合によっては投稿論文に合った査読者を見つけるのに1か月以上も時間がかかってしまうという場合もあります.
なかなか論文が返ってこないといった場合には,査読者が決まらないといったケースが多いのも実際です.
最近は査読者に対しての報酬も?
雑誌によっては査読に対して報酬が支払われる場合も増えてきております.
例えば日本理学療法士協会が発刊する理学療法学の査読なんかは1編あたり2,000円の報酬が支払われるようですが,2,000円って正直なところあってないようなものですよね.
また査読に対して感謝状を発行したり,査読者に対して書籍の出版費用を割り引くなど査読者を勧誘する雑誌も増えてきております.
まだ一部ではありますが,徐々に査読に対して報酬が支払われる流れが少しずつ出てきております.
そうはいっても一流の雑誌であればあるほど,査読に対する報酬はありません.
査読の依頼が来るというのは名誉なことでもありますので,査読者もそのあたりはわりきって仕事をされるわけですね.
あとは査読者にとっての利点としては,日本理学療法士協会関連であれが,生涯学習ポイントが付与されるといったところでしょうか.
査読を受ける立場としては
論文投稿をしてMajor revisionやRejectで返信が返ってきた理学療法士・作業療法士であれば誰しも査読者に対して負の感情を抱いた経験はお持ちだと思います.
なんていじわるな査読者にあたってしまったんだとか,査読者の指摘にイライラしてしまうこともあるかもしれません.
ただ考えなくてはならないのは,査読者はというのは無償で自分が投稿した論文を良いものにしてくれようとしているといった視点です.
自分のことになるとこういった視点を持てなくなるのが人間ですが,査読者はボランティアで時間のない中で査読を行ってくれているこれを忘れてはいけませんね.
今回は論文査読がボランティアであるといった件について考えてみました.
査読はボランティアというのはご存じなかった理学療法士・作業療法士も多いと思いますので,査読結果を真摯に受け止め査読者に敬意を払いながら修正論文を投稿するといった姿勢が重要でしょうね.
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