脳卒中治療ガイドライン2021(仮)の原稿案公開 急性期・回復期リハビリテーションの進め方

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脳卒中治療ガイドライン2021(仮)の原稿案公開 急性期・回復期リハビリテーションの進め方

先日,脳卒中治療ガイドライン2021年の原稿案が公開され,パブリックコメントが募集されております.

この新しい脳卒中治療ガイドライン2021ではリハビリテーションに関連する項目も多く,理学療法士・作業療法士にとっても必見の内容となっております.

今回は原稿案が公開された脳卒中治療ガイドライン2021の中から急性期リハビリテーション,回復期リハビリテーションの進め方について考えてみたいと思います.

person massaging other person's foot

 

 

 

 

 

 

 

急性期リハビリテーションの進め方

まずは急性期リハビリテーションの進め方について推奨に記載されている内容を見ていきたいと思います.

 

推奨

  1. 十分なリスク管理のもとに,早期座位・立位、装具を用いた早期歩行訓練,摂食・嚥下訓練,セルフケア訓練などを含んだ積極的なリハビリテーションを,発症後できるだけ早期から行うことが勧められる(推奨度 A エビデンスレベル中)
  2. 脳卒中急性期リハビリテーションは,血圧,脈拍,呼吸,経皮的動脈血酸素飽和度,意識,体温などのバイタル徴候に配慮して行うように勧められる(推奨度 A エビデンスレベル中)
  3. 早期離床を行う上では,病型ごとに注意すべき病態を考慮してもよいかもしれない(推奨度 Cエビデンスレベル中)

推奨はこんな感じです.

発症後早期からリハビリテーションを開始する,バイタルに留意しながらリスク管理をしてといった点については異論はないでしょう.

問題なのは離床のタイミングです.

早期離床による弊害も報告されておりますので,どのタイミングで離床を開始するかというのは非常に難しいところです.

これに関しては別にCQが設けられておりますので,そちらを見ていきたいと思います.

 

Q:脳卒中急性期のリハビリテーションは、いつから開始することが推奨されるか?

 

A:合併症を予防し,機能回復を促進するために,24~48時間以内に病態に合わせたリハビリテーションの計画を立てることが推奨される(推奨度A エビデンスレベル高)

 

また早期離床に関して以下のようなコメントも追記されております(抜粋).

リハビリテーションの開始は患者の状態により決定される

Agency for Health Care Policy and Research(AHCPR) guideline によると,医学的に可能なら発症から 24~48 時間以内に寝返り,座位,セルフケアなどの自動運動を開始する.

昏睡,神経徴候の進行,くも膜下出血,脳内出血,重度の起立性低血圧,急性心筋梗塞がある場合にはリハビリテーションの開始を遅らせる.

急性期の神経症候増悪の割合は,1)脳出血:①血腫の増大:高血圧性脳出血 15%(多くは 6 時間以内) ,②急性水頭症:高血圧性脳出血の 5 %,小脳出血の 26~64%,2)脳梗塞:①進行性脳卒中:20%前後,②出血性梗塞:脳塞栓症の 33~61%,③再発:全脳梗塞の 15%,血栓例 1 か月以内4 %,塞栓症例 1 か月以内 10%,小脳梗塞による水頭症:40%前後とされる

これらの疾患および病態では,離床時期は個別に判断する必要がある.

病型や病態をきちんと見極めながら離床を進めなさいと記載されております.

ガイドラインとしては妥当ですね.

 

 

 

 

 

 

 

 

回復期リハビリテーションの進め方

次に回復期リハビリテーションの進め方について推奨に記載されている内容を見ていきたいと思います.

 

推奨

  1. 回復期脳卒中患者に対して,ADL を向上させるためにもしくは自宅復帰率を高めるために包括的なリハビリテーションを行うことが勧められる(推奨度 A エビデンスレベル中)
  2. 回復期において,リハビリテーション訓練の時間を長くすることは妥当である(推奨度 B エビデンスレベル中)
  3. 比較的軽症の患者に対して,有酸素運動や筋力増強訓練を行うことが勧められる(推奨度 A エビデンスレベル高)

 

これは異論はないと思いますが,「包括的リハビリテーション」という用語と,「訓練の時間を長く」といったところがポイントでしょうね.

また軽症例においても有酸素運動や筋力増強訓練が勧められると明記されておりますが,脳卒中に伴う後遺症のみならずフレイルやサルコペニアへの対策が必要であることは言うまでもありませんね.

 

今回は原稿案が公開された脳卒中治療ガイドライン2021の中から急性期リハビリテーション,回復期リハビリテーションの進め方について考えてみました.

理学療法士・作業療法士であれば必見の内容だと思いますので,パブリックコメントを経てガイドラインが完成したら必ず目を通しておきたいですね.

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