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マッサージして関節可動域運動して動作練習する流れが本当にベスト?
理学療法士・作業療法士が運動療法を行うときに重要となるのがプログラムの順番です.
おそらく多くの理学療法士・作業療法士がまず動作練習を行う前段階の準備としてマッサージを行ったり,関節可動域運動を行ってから動作練習を行うといった流れで運動療法を行うことが多いと思います.
しかしながらこのルーチンになっている運動療法の流れって本当に正しいのでしょうか?
今回はマッサージして関節可動域運動して動作練習する流れが本当にベストなのかについて考えてみたいと思います.
まずは筋肉の柔軟性を向上させて関節可動域を拡大させて動作練習
動作練習を行う前に筋の柔軟性を向上させたり,関節の可動域を拡大させるといった流れは一見理にかなっているように感じます.
例えば歩行を考えた際には足関節の背屈可動域が拡大した状況で練習を行う方がより高いパフォーマンスを発揮できますし,準備運動としてマッサージや関節可動域運動を行ってから動作練習を行うというのは適切な流れと考えられます.
運動療法プログラムの順番が固定にならないように注意
ただ考えてみてください.
クライアントが日常生活上で歩行をする前に準備運動を行うでしょうか?
特に夜間や早朝などの柔軟性が低下している状況で歩行をはじめとする動作がどの程度行えるかを考えることも非常に重要だと思います.
こう考えると退院後の生活を考えたうえで運動療法プログラムの順番を考えることも重要だと思います.
動作練習の前にマッサージや関節可動域運動をルーチンに行う介入では,もしかしたら退院後の生活を行ううえで支障をきたす可能性も考えられます.
早朝や夜間に日常生活動作を行う場合には関節可動域や筋力発揮の面から考えるとコンディションは悪い状況だと思いますので,そういった側面を考えると,理学療法・作業療法を行うときにだけ事前準備を行ってから動作練習を行ってもあまり意味がないという風にも考えられます.
関節可動域運動を行う前に動作の評価も必要
こう考えるとルーチンにマッサージや関節可動域運動を行って,動作練習を行うといった流れで運動療法プログラムを実施するのは適切でないと考えられます.
時にはマッサージや関節可動域運動といった前準備を行う前にどの程度動作が行えるのかを評価することが重要となるでしょう.
たまにはいきなり立ち上がりの動作練習を行ってみたり,いきなり歩行練習を行ってみたりといった流れも必要ということですね.
運動療法後に動作が行いやすいのは当たり前
考えてみると運動療法後に動作が行いやすくなるのって当たり前ですよね.
疼痛が軽減して,筋の柔軟性が向上して,発揮される筋出力が向上すれば動きやすくなるのは当然です.
ただクライアント視点で考えると,重要なのは夜間や体調不良時の最低水準でどの程度日常生活が行えるかといった点です.
調子が良い時には動けて当然というわけです.
したがって理学療法士・作業療法士は最低水準の動作能力を向上させることが重要だと考えられます.
高齢者って動作能力にムラがある人多いですからね.
調子が良い時にはで歩けるではなくて,風邪を引いて調子が悪くてもなんとか歩ける状況を目指したいところです.
今回は理学療法士・作業療法士が行う運動療法プログラムに関して,マッサージして関節可動域運動して動作練習する流れが本当にベストかどうかについて考えてみました.
理学療法士・作業療法士の皆様も運動療法プログラムの順番について再考する機会になればうれしいです.
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