変形性膝関節症・変形性股関節症・脊椎由来の疼痛って減量することでどのくらい改善するの?

変形性股関節症
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目次

変形性膝関節症・変形性股関節症・脊椎由来の疼痛って減量することでどのくらい改善するの?

本邦の変形性膝関節症例の特徴として一次性関節症が多く,肥満との関連性が指摘されております.

確かに変形性膝関節症の多くがBMIの基準値を上回っており,体重増加による力学的負荷の増大が関節症の進行を助長しているといったケースが多いと思います.

われわれ理学療法士も変形性膝関節症例をはじめとした関節症を有する症例に減量指導を行う機会は多いと思いますが,本当に減量することで疼痛や機能に改善が得られるのでしょうか?

今回は運動器障害を有する症例に対する減量効果を明らかにしたシステマティックレビューをご紹介させていただきます.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回紹介する論文

J Orthop Sports Phys Ther. 2020 Apr 9:1-55. doi: 10.2519/jospt.2020.9041. [Epub ahead of print]

Effectiveness of Weight Loss Interventions for Reducing Pain and Disability in People With Common Musculoskeletal Disorders: A Systematic Review With Meta-Analysis.

Robson EK1,2, Hodder RK1,2, Kamper SJ2,3, O’Brien KM1,2, Williams A1,2, Lee H4,2,5, Wolfenden L1,4, Yoong S1,4, Wiggers J1,4, Barnett C4,6, Williams CM1,2.

今回紹介する論文は2020年4月に掲載された新しい論文です.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究の目的

To assess the effectiveness of weight loss interventions on pain and disability in people with knee and hip osteoarthritis (OA) and spinal pain.

この研究では変形性膝関節症・変形性股関節症・脊椎由来の疼痛を有するクライアントの疼痛や能力障害に対する減量介入の有効性を評価することとなっております.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究デザイン

Intervention systematic review.

研究デザインは介入研究を対象としたシステマティックレビューとなっております.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

文献検索

Eight online databases and clinical trial registries.

8つのオンラインデータベースおよび臨床試験登録が用いられております.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究選択基準

Randomised controlled trials of any weight loss intervention (e.g. diet, physical activity, surgical, pharmaceutical) that reported pain or disability outcomes of people with knee or hip OA, or spinal pain.

研究選択基準ですが,変形性膝関節症・変形性股関節症・脊椎の疼痛を有する症例を対象として,減量の効果を明らかにした無作為化比較試験を対象としております.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

データ抽出

We calculated mean differences (MD) or standardised mean differences (SMD) and 95% confidence intervals (CI). We used the Cochrane risk of bias tool to assess Risk of Bias and GRADE to judge credibility of evidence.

介入群・対照群の平均値の差,標準化平均差(SMD)と95%信頼区間(CI)を算出しております.

バイアスリスクの評価には,コクランのバイアスリスクツールを,エビデンスの信頼性の判定にはGRADEシステムを使用しております.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究の結果

22 trials with 3602 participants. There was very low to low credibility evidence for a moderate effect of weight loss interventions on pain intensity (10 trials, n=1806, SMD -0.54, 95%CI -0.86, -0.22, I2= 87%, p<0.001) and a small effect on disability (11 trials, n=1821, SMD -0.32, 95%CI -0.49, -0.14, I2=58%, p<0.001) compared to minimal care for people with OA. For knee OA there was low to moderate credibility evidence that weight loss interventions were not more effective than exercise only for pain intensity or disability (4 trials n=673, SMD -0.13, 95%CI -0.40, 0.14, I2= 55%; 5 trials, n=737, SMD -0.20 95%CI -0.41, 0.00, I2= 32%).

最終的に22編の無作為化比較試験(3602例)をシステマティックレビューの対象としております.

減量介入の疼痛強度に対する効果は中等度でありました.

変形性関節症例の最小限のケアと比較して障害に対する効果が小さいという信頼性の高いエビデンスが少ないといった結果でありました.

変形性膝関節症に関しては,減量介入は疼痛の強度または障害に対してのみ運動よりも効果的ではないといった信頼性の低い,または中等度のエビデンスが散見されました.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究の結論

Weight loss interventions may have small to moderate improvements on pain and disability for OA compared to minimal care. There was limited and inconclusive evidence for weight loss interventions targeting spinal pain.

減量介入は最小限のケアと比較して,変形性関節症の疼痛と障害の改善にわずかから中程度の改善をもたらす可能性があります.

脊椎由来の疼痛を対象とした減量介入に関するエビデンスは限定的でありました.

今回は運動器障害を有する症例に対する減量効果を明らかにしたシステマティックレビューをご紹介させていただきました.

減少すると楽になりますよ,体重を減らして関節の負担を減らしましょうというのは理学療法士・作業療法士がクライアント指導の中で行うことが多いと思いますが,今回の結果から考えると変形性膝関節症・変形性股関節症例に対する減量指導はある程度効果があると考えてよさそうですね.

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