車椅子坐位練習と称して単位を取っていいものだろうか…

運動療法・物理療法
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車椅子坐位練習と称して単位を取っていいものだろうか…

理学療法士・作業療法士が離床を目的に介入を行う機会というのは非常に多いと思います.

特に車椅子に乗車しベッドから離れるというのはクライアントにとっても大きな意味があります.

ただ車椅子坐位練習と称して長期にわたって疾患別リハビリテーションの単位を取得するってどうなのでしょうか?

今回は理学療法士・作業療法士が車椅子坐位練習と称して単位を取っていいものかどうかについて考えてみたいと思います.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

座位を取ることには確かに大きな意味がある

車椅子座位には大きな意味があります.

もちろん椅子に移乗して骨盤をきちんと前傾した坐位を取ってもらう介入が有効ではありますが,車椅子の場合には移動したいときにすぐに移動ができるため,施設や病院のスタッフステーション内で長時間坐位をとって過ごしておられるクライアントは少なくないと思います.

坐位を取ることには非常に大きな意味があります.

まずは筋骨格系に関して考えてみると車椅子座位を取ることで股関節・膝関節が一定の角度まで屈曲しますので,背臥位で経験することのない関節運動を経験することができます.

フットレストに足を載せれば,足関節は背屈しますので背屈可動域の維持にも有効であると考えられます.

拘縮予防にもなるわけですね.

また臥位と異なり,頸部・体幹の抗重力活動が求められますので,廃用性筋力低下を予防することにもつながります.

呼吸器系で考えると下側肺障害の予防にもつながりますし,胸郭が広がりますので呼吸もしやすいです.

循環器系で考えても重力という負荷を心臓に加えることができますので,心ポンプ機能の廃用性機能低下を予防することにもつながるわけです.

また排泄を考える坐位をとることで長時間直腸を垂直方向へ向けることができれば排便も促されます

ベッドの上で天井を見ているよりも視界も広がりますので,クライアントに対して刺激を与えることにもつながります.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長期にわたって車椅子座位だけで単位を取得することが問題

上述したように座位時間を延長することには大きな意味があります.

クライアントの状態にもよりますが,ベッド上でどんなすぐれた治療手技を行うよりも一定時間坐位を取った方が効果的である場合が少なくないと思います.

ただこれが長期に及ぶとどうでしょうか…

車椅子に乗車してもらってその間にカルテを書いたりなんて言うのはもちろんNGですよね.

車椅子に乗車したらバイタルを確認して病棟スタッフに引き継げばそれで済むかもしれません.

車椅子座位練習と称して単位を取得して良いのは循環動態が不安定で頻回な血圧管理が必要な場合とか,そんな場合に限られるでしょうね.

そうでなければ車椅子座位練習と称して単位を取得して良いのは少なくとも2,3回までではないでしょうか?

車椅子座位姿勢でそのまま時間だけが経過して単位を取得するというのは問題でしょうね.

坐位のままできることも多くありますし,意識レベルが低いクライアントであればさまざまな方法で刺激を入力することも可能です.

また車椅子座位姿勢を理学療法士の視点できちんと評価し,適切なポジショニングを行うというのも重要な視点になるでしょう.

車椅子で骨盤が後傾し,麻痺側へ大きく傾斜したままで長時間坐位を取っている例も見受けられますが,こういったところに介入するなど介入の方法はさまざまですよね.

 

 

 

 

 

 

 

診療報酬上における車椅子座位練習

平成30年改定においてリハビリテーション通則の脳血管疾患等,廃用症候群,運動器リハビリテーションの各項の(8)にそれぞれ同一文章が追加されております.

理学療法士又は作業療法士等が、車椅子上での姿勢保持が困難なために食事摂取等の日常生活動作の能力の低下を来した患者に対し、いわゆるシーティングとして、車椅子や座位保持装置上の適切な姿勢保持や褥瘡予防のため、患者の体幹機能や座位保持機能を評価した上で体圧分散やサポートのためのクッションや付属品の選定や調整を行った場合にも算定できる。

ただし、単なる離床目的で車椅子上での座位をとらせる場合は算定できない。

この文言からすると車椅子座位練習とリハビリテーション料を算定するのはNGでしょうね.

 

 

 

 

今回は理学療法士・作業療法士が車椅子坐位練習と称して単位を取っていいものかどうかについて考えてみました.

われわれ理学療法士・作業療法士が疾患別リハビリテーション料を算定するためには,マンツーマンでの対応が基本ですので,間違っても車椅子座位でクライアントを放置してその間に他のクライアントの対応をしたり,間接業務をしたりということがマンパワーが少ない時代にはよくありましたが,これはNGですしょうね.

コメント

  1. 加藤 より:

    いつも拝見させていただいております。
    本件についてですが、平成30年改定において、リハビリテーション通則の脳血管疾患等、廃用症候群、運動器リハビリテーションの各項の(8)にそれぞれ同一文章が追加されておりますので、ご参考になれば幸いです。

     理学療法士又は作業療法士等が、車椅子上での姿勢保持が困難なために食事摂取等の日常生活動作の能力の低下を来した患者に対し、いわゆるシーティングとして、車椅子や座位保持装置上の適切な姿勢保持や褥瘡予防のため、患者の体幹機能や座位保持機能を評価した上で体圧分散やサポートのためのクッションや付属品の選定や調整を行った場合にも算定できる。ただし、単なる離床目的で車椅子上での座位をとらせる場合は算定できない。

    • ptotskillupnote より:

      ありがとうございます!記事を追記いたしました!

      • 加藤 より:

        参考になったようで良かったです。
        手抜きの「座位練習」が横行しないためにも、貴重な記事の執筆ありがとうございました。

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