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理学療法士・作業療法士の皆様は筋力トレーニングのセット間の休息時間ってテキトーに設定してませんか?
筋力トレーニングと言えば理学療法士・作業療法士が指導することの多いプログラムの1つだと思います.
筋力トレーニングに関しては運動負荷量や運動の頻度,運動の種類などに焦点を当てた研究が多くなされてきました.
でも筋力トレーニングのセット間の休息時間に関してはこれまであまり関心が向けられてきませんでした.
ただ実際に理学療法士・作業療法士が筋力トレーニングを指導する場合には,このセット間の休息時間をどのくらい儲けるかといった視点って重要だと思います.
おそらく科学的にこういった目的でこのくらいの休息時間を設けているといった説明がきちんとできる理学療法士・作業療法士は少ないのではないでしょうか?
今回は筋力トレーニングのセット間の休息時間が筋力トレーニングの効果に与える影響について明らかにした研究報告をご紹介させていただきます.
今回ご紹介する論文
Acute effects of low-load resistance exercise with different rest periods on muscle swelling in healthy young men
Tetsuya Hirono, Tome Ikezoe, Masatoshi Nakamura, Hiroki Tanaka, Jun Umehara, Noriaki Ichihashi
The Journal of Physical Fitness and Sports Medicine, 2019
今回ご紹介する論文は2019年に掲載された新しい論文です.
本邦で行われた基礎研究ですね.
研究の目的
The effects of high-load resistance training on muscle strength and muscle mass depend on rest periods between sets. However, whether differences in rest period length during low-load resistance exercise (RE) has an influence on improving muscle characteristics remains unclear. Better understanding such effects would enable us to prescribe low-load resistance exercise more safely and effectivity. The purpose of this study was to investigate the acute effects of low-load RE on muscle swelling with different length rest periods between sets.
筋力強化および筋量の増大を目的とした高強度レジスタンストレーニングの効果はセット間の休息時間に依存することが明らかにされております.
しかしながら低強度のレジスタンストレーニングにおけるセット間の休息時間の長さの相違が筋力トレーニングの効果に与える影響は不明であります.
われわれ理学療法士・作業療法士は安全かつ効果的なトレーニングを指導するためにセット間の休息に関して正しく理解しておくことが重要です.
この研究では低強度レジスタンストレーニングにおけるセット間の休息時間の長さの違いが低強度レジスタンストレーニングの急性効果(トレーニング後に起こる一次的な腫張,運動直後に生じる一過性の筋厚変化は,代謝物貯留による浸透圧変化によって生じる水分貯留の結果であり,これは筋肥大を生じさせるのに大事な要素の一つだと考えられています)について明らかにすることを目的としております.
研究の方法
A total of 42 young men (age, 22.9 ± 2.4 years; height, 172.1 ± 5.4 cm; body mass, 65.6 ± 6.5 kg) were recruited to participate in this study. They were assigned to one of three groups with different rest periods between sets (20 s [seconds], 60 s, or 180 s). A total of 12 sets of 10 repetitions of RE with 30% of one repetition maximum on knee extensor muscles were performed. Muscle thickness of the vastus lateralis was measured using ultrasonography as an indicator of muscle swelling every 3 sets.
研究対象は42例の若年者となっております.
この42例を異なるセット間の休息時間(20秒,60秒,180秒の3群)の3群に割り付けております.
1RMの30%の負荷で膝伸展筋力トレーニングを10回×12セット行っております.
筋厚の評価は外側広筋の筋厚に関して超音波診断装置を用いて3セットごとに評価を行っております.
研究の結果
Muscle thickness significantly increased after 3 sets of RE in the 20-s (3.9 ± 3.3%) and 60-s groups (5.9 ± 3.8%), but only after 12 sets in the 180-s group (4.3 ± 3.1%)
結果ですが筋厚はセット間の休息時間が20秒,60秒の群で3セットの筋力トレーニング後に有意に増加し,180秒の群においては12セット後に初めて筋厚の有意な増加がみられました.
研究の結論
RE with rest periods shorter than 60 s could result in exercise-induced muscle swelling after fewer sets of RE.
この研究結果から筋力トレーニングにおけるセット間の休息時間は60秒以内にすることが効果的だと考えられます.
今回は筋力トレーニングのセット間の休息時間が筋力トレーニングの効果に与える影響について明らかにした研究報告をご紹介させていただきました.
理学療法士・作業療法士が高齢者を対象として筋力トレーニングを指導する場合には,低強度の筋力トレーニングを指導する場合が多いと思いますが,低強度筋力トレーニングにおいてセット間休息時間が短いと早期から一過性の筋厚増加を生じさせられることが示唆されます.
休息時間は60秒以内を目安にトレーニングを指導するとよさそうですね.
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