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理学療法士・作業療法士にとっても他人事ではない日本災害医学会からの声明 医療従事者がバイ菌扱いされる
新型コロナウイルス感染症対策に従事する医療従事者へ不当な批判がなされているとして日本災害医学会から声明が出されました.
今後新型コロナウイルスの感染が拡大すれば,特に医療機関で勤務する医療従事者がこのようなバイ菌扱いされる可能性も考えられます.
そうなるとわれわれ理学療法士・作業療法士にとっても他人事ではありません.
今回は新型コロナウイルス感染症対策に従事する医療従事者へ不当な批判について考えてみたいと思います.
日本災害医学会から出された声明(抜粋)
新型コロナウイルス感染症対応に従事する医療関係者への不当な批判に対する声明
このたびの中国武漢市を中心とする新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延に伴い、亡くなられた方々にお悔やみ申し上げますとともに、入院された皆様、外来受診や自宅・施設などで待機されている皆さまに対して、心よりお見舞い申し上げます。
COVID-19 の蔓延を受けて、日本政府によるチャーター便による帰国者の一時的な隔離施設収容と、ダイヤモンド・プリンセス号が神奈川県横浜港入港後 2 週間に及ぶ検疫が実施されました。
武漢から航空機で帰国した邦人等約 800 人やクルーズ船内の乗客乗員約 3700 名に対して、現場に参加した本学会員をはじめとする様々な医療関係者は、健康管理および相談や、医療救護班活動、重篤化する症例の搬送業務、搬送調整業務、処方薬調整、外来や入院患者さんの対応などに尽力しています。
感染者も含めた搬送調整件数は約 700 件にのぼり、重篤化する症例においては船内で診療活動を展開したうえで、170件余りの救急搬送が実施されております。
そのなかには病院で集中治療を要する状況に至った方も発生しています。
また 1800 人の処方薬のリクエストに対しても数日で応需されました。
もしこうした活動がなかった場合には、より多くの乗客・乗員が重症化し、人命が失われた可能性が高いことは想像に難くありません。
しかし、現場で人命を救うために自分の身を危険にさらして活動した医療者の中から、職場において「バイ菌」扱いされるなどのいじめ行為や、子供の保育園・幼稚園から登園自粛を求められる事態、さらに職場管理者に現場活動したことに謝罪を求められるなど、信じがたい不当な扱いを受けた事案が報告されています。
当事者たちからは悲鳴に近い悲しい報告が寄せられ、同じ医療者として看過できない行為であります。
もはや人権問題ととらえるべき事態であり、強く抗議するとともに改善を求めたいと考えます。
当学会としては今回の不幸なウイルス蔓延状態が一刻も早く収束することを願うとともに、人道的活動に参加された全ての方々に対して心より敬意を表します。
偏見や先入観に基づく批判が行われることは決して許されず、また万が一健康被害が発生した際の補償に不安がないような対応を、広く社会に求めます。
災害派遣医療チーム(DMAT)から出動した医師・看護師がターゲットに
今回の騒動では,多くの医師や看護師が災害派遣医療チーム(DMAT)として,中国・武漢から政府のチャーター便で帰国した人や,横浜港でクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の乗客乗員への対応にあたりました.
DMATの中には調整員として理学療法士・作業療法士が入っていることもありますので,今回のメンバーの中に理学療法士・作業療法士が含まれていたかは不明です.
こういった事態にDMATによる活動がなければ,より多くの人が重症化して命が失われた可能性があるわけです.
にもかかわらず医師や看護師が不当な扱いを受けるというのは悲しい事実です.
医療従事者がこのレベルでは終わりだ…
正直なところ一般の方が何も知識もないままに医師や看護師をバイ菌扱いしたというのならばともかく,今回は同じ医療従事者からのバイ菌扱いというわけですから,残念すぎます.
ただ医療従事者ですらこのレベルですから,今後感染者が増加して,感染者が入院する指定医療機関に勤務する理学療法士・作業療法士が一般の方からターゲットにされる可能性は十分に考えられます.
今回の場合に,難しいのは本来行われなければならなかった感染対策(防護服無しでマスクと手指衛生のみ,作業時の私服のまま着替えずに電車で帰宅,ウィルス検査無しで職場復帰)を全く行っていない場所で勤務し,その後も経過措置をとらず,検査もせずに職場に戻ったという点です.
バイ菌扱いというのは人権損害ですし,ひどい話ですが医療関係者ほど警戒するのもわからなくもありません.
COVID-19作業に従事した後に,3週間程在宅勤務を命じその後胸部CTと生体検査で感染者では無い事を確認後,職場復帰させるべきだったというわけです.
隔離・経過措置をとり,その後に複数回の検査を行わず職場に戻した国の責任でもあると考えられます.
岩田先生みたいに本来ゾーニングをきちんとして一定期間,隔離すべきでしたよね.
国や職場がきちんと休暇を取得させるべきだったわけです.
理学療法士・作業療法士にとっても他人事ではない
ただ今回の件を見ていて,医療従事者ですらこのレベルなのですから,今後感染者が増加してくれば医療従事者への目線というのは厳しくなるような気がします.
理学療法士・作業療法士もまた今後の状況を見守りそれなりの対応を取る必要がありそうですね.
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