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MMTはなぜ健側から行う必要があるのか?
理学療法士・作業療法士の実習で理学療法・作業療法評価として行うことが多いのが徒手筋力テスト(MMT:Manual Muscle Test)です.
MMTって肢位を記憶したり抵抗の位置を記憶したり,さらにはクライアントがわかりやすいような声掛けの方法を考えたりと,さまざまな検査・測定の中でも理学療法士・作業療法士の学生にとっては難しい理学療法・作業療法技術の1つです.
MMTを行うときに注意すべき点として,まずは健側から測定を行うといった決まりがあります.
私が臨床実習指導をしていて思うのは,意外とこの当たり前のことが実践できない理学療法士・作業療法士の学生が少なくありません.
今回はMMTはなぜ健側から測定する必要があるのかについて考えてみたいと思います.
理学療法士・作業療法士からみた健側から行うことのメリット①
MMTでは左右差をみることが非常に重要となります.
まず健側の筋力を測定してから患側の筋力を測定しないと,左右差を見ることができません.
例えば股関節屈曲筋力・膝関節伸展筋力・足関節背屈筋力がGood(4)またはNormal(5)レベルである場合を想定します.
健側の股関節屈曲筋力・膝関節伸展筋力・足関節背屈筋力を測定してから,患側の股関節屈曲筋力・膝関節伸展筋力・足関節背屈筋力を測定するといった方法では,患側の股関節屈曲筋力を測定するタイミングでは,既に健側の股関節屈曲筋力がどの程度であったかといった情報は薄れてしなうことになります.
したがって正しくは健側の股関節屈曲筋力⇒患側の股関節屈曲筋力⇒健側膝関節伸展筋力⇒患側膝関節伸展筋力⇒健側足関節背屈筋力⇒患側足関節伸展筋力といった順番で測定をします.
こういった順番で測定をすれば健側と患側の違いを判別しやすくなります.
理学療法士・作業療法士からみた健側から行うことのメリット②
健側から行うことで左右差が分かりやすくなるといった以外にも,健側からMMTを行う理学療法士・作業療法士にとってのメリットがあります.
それはクライアントに運動方法を伝えやすくなるといった点です.
当然ながら患側というのは動かしにくいわけですから,運動を実践するのも難しいわけです.
まずは障害の無い(少ない)健側を使ってある程度,運動パターンを理解・学習してもらってから,患側のMMTを測定するといった方法が非常に重要です.
場合によっては運動方法を十分に理解できなくて目的とする運動を実践できないのか,もしくは筋力低下によって運動を実践できないのかを見極めることが難しい場合もありますが,健側から行うことで運動方法を十分に理解できなくて実践できないのか,筋力低下によって運動を実践できないのかを見極めることができるわけです.
仮に健側でも運動を実践できないのであれば,これは筋力の前段階の問題ということになります.
クライアントにとってのメリット
まず健側を測定するといった認識はできていても,健側の股関節屈曲筋力・膝関節伸展筋力・足関節背屈筋力を測定してから,患側の股関節屈曲筋力・膝関節伸展筋力・足関節背屈筋力を測定するといった誤解をされている理学療法士・作業療法士の学生も少なくありません.
MMTって測定肢位がさまざまですので,こういった誤った方法で測定を行うとクライアントに何度も体位変換を強いることになります.
正しい方法で測定すれば,結果的にクライアントへの負担も少なくて済むわけです.
今回はMMTはなぜ健側から測定する必要があるのかについて考えてみました.
MMTを健側から行うといったルールはなんとなく理解できているものの実践できない理学療法士・作業療法士の学生の多くは,今回ご紹介いたしました健側から検査を行うことのメリットを理解できていない場合が多いと思います.
何事もそうですが,ただ方法を覚えるといった作業を繰り返すのではなく,理屈も含めて学習・記憶をしておくと,間違っても患側から測定をするといったことをしなくて済むと思います.
最近は障害が重複している症例も少なくありませんので,症例によっては健側が存在しない場合もあるかもしれませんが,そういった場合にも運動しやすい方から検査を行うということが重要となります.
理学療法士・作業療法士の学生または理学療法士・作業療法士の学生の指導を行う理学療法士・作業療法士の皆様のお役に立つ情報であればうれしいです.
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