エンドフィールがわからない場合は自分の言葉で最終域感を記録すればよい

運動療法・物理療法
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目次

理学療法士・作業療法士とエンドフィールend feel (最終域感)

関節可動域測定や関節可動域運動を実施する際に,必ず確認する必要があるのがエンドフィール(end feel)です.

エンドフィールは関節可動域制限の原因を考える上で非常に重要な情報となります.

また熟練した理学療法士・作業療法士はエンドフィールを確認しながら関節可動域制限を行うことで,どこまで可動域運動を行っても問題無いかといった関節可動域運動によるリスクを判断していることも多いです.

今回は理学療法士の視点でエンドフィール(end feel)について考えてみたいと思います.

 

 

 

 

エンドフィール(end feel)とは?

他動運動の最終域で理学療法士・作業療法士が感じる抵抗感をエンドフィールと呼びます.

他動連動を検査する際には,関節可動域の最終城で,そのエンドフィールを評価する必要があります.

その際,最終域で強い負荷を加えすぎないように十分に注意する必要があります.

特に関節可動城制限がある関節に対する他動運動では常にこの感覚を探り,角度変化だけでなくエンドフィールの変化も意識しておくことが重要となります.

以下に基本的な6つのエンドフィールをあげます.

またエンドフィールを判断する際には,無理に設けられた基準にあてはめることなく,どれにも当てはめられそうにない場合には, 自分の言葉で最終城感を記録しておくとよいでしょう.

 

 

 

①骨性(bone to bone)

硬く,弾力のない最終域感で通常は痛みを伴わないことが多いです.

骨と骨の接触感のエンドフィールは,正常な肘関節伸展で認めらます.

正常可動域に達する前にこの接触感のエンドフィールを感じたら,骨折やリウマチによる骨の変形などにより骨性に関節可動域が制限されている可能性が向きます.

変形の状況に関してはX線によって確認することが重要となります.

骨性のエンドフィールの場合には,これ以上の関節可動城の改善は望めず,関節可動域運動は禁忌となります.

 

 

 

 

②軟部組織接触性(soft tissue approximation)

弾力性のある軟部組織(特に筋)が圧迫されて運動が止まる最終域感で,柔軟な筋感触衝突感とも呼ばれます.

正常な肘関節や膝関節の屈曲の際に認められます.

非常に痩せた体形で筋腹が小さい人では,肘関節屈曲で骨と骨の接触感のエンドフィールになることもあります.

臨床的には関節の腫張や浮腫砿によって,軟部組織接触性のエンドフィールを感じる場合もあります.

 

 

 

 

③軟部組織伸張性(tissue stretch)

少し弾力のある硬いバネ様の最終域感です.

連動の最終城に近づくにつれて,伸張性のあるバネ様の感覚が認められます.

正常な軟部組織緊張感では,最終城に近づくにつれて緊張感が強まるような感じがするのが普通ですが,この感覚は組織の太さによって異なります.

自分で試してみると分かりますが,アキレス腱の場合は非常に強い弾性感覚であり,手間節掌屈では軽い弾性感覚が感じられると思います.

一般的な軟部組織伸張感のエンドフィールは,正常な肩の外旋,下肢伸展挙上(SLR) , 中手趾節関節の伸展で認められます.

筋,関節包,靭帯が主要な運動制限となるギプス固定後や廃用性による可動域制限のエンドフィールとしては,軟部組織仲帳性のエンドフィールを示すものが多いです.

軟部組織伸張性のエンドフィールは,さらに原因によって関節包伸張’性と筋伸張性に分類することができます.

関節包伸張性は関節包や籾帯の短縮や癒着が原因であり,急に硬くバネ様の感覚となります.

筋伸張性は筋や腱の短縮や緊張が原因であり,可動域の中期に抵抗感が始まり,可動城最終域に達するまでそれが増加するように感じられます.

最終域で伸張された筋の仲張痛を訴えることが多いです.

ハムストリングスや腓腹筋の短縮のときに感じられるエンドフィールをイメージするとよいと思います.

 

 

 

④筋スパズム性(muscle spasm)

他動運動中に突然運動が遮られるような急な硬い最終域感であり,痛みを伴うことが多いといった特徴があります.

正常関節にはなく,早い筋スバズムearly muscle spasmと遅い筋スパズムlate muscle spasmに分類されることがあります.

前者は運動可動域の早期に出現するもので,多くは運動開始とともに生じます.

炎症や急性期の症状を意味します.

後者は可動城最終付近において認められます.

 

 

 

 

⑤無抵抗性(empty)

他動運動中に痛みや恐怖心のため突然クライアントの訴えにより,他動運動ができなくなることにより起こり,構造的な抵抗感はなく,何も感じない最終域感で,正常関節にはありません.

この可動域以上を動かそうとするとエンドフィールは筋スパズムに変化することが多いといった特徴があります.

術直後の関節や楠みの強い関節によくみられます.

 

 

 

 

⑥弾性制止性(springy block)

跳ね返るような最終域感です.

伸張するような感じはなく,正常ではみられません.

半月板のある関節内に生じることが多い.

例えば膝の半月板が離断して,関節がブロックされた状態や完全伸展が不可能な際に感じられます.

 

 

今回は理学療法士の視点でエンドフィール(end feel)について考えてみました.

関節可動域制限の原因を考える上ではエンドフィールを的確に評価することが重要となります.

まずは正常関節におけるエンドフィールと比較しながら,エンドフィールを理解することが重要です.

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