人工膝関節全置換術(TKA)後って電気刺激やってもいいの?こたつは?

人工膝関節全置換術
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 TKA後って電気刺激やってもいいの?こたつは?  

人工膝関節全置換術(TKA)後のクライアントに温熱療法や電気刺激療法などの物理療法を行ってよいかどうかを問われる機会は少なくないと思います.

今回は人工膝関節全置換術(TKA)例に対する物理療法の施行について考えてみたいと思います.

 

 

 

 

 TKAに対する物理療法の基本的な考え方 

一般的な電気刺激などは問題ありませんが,極端に周波数帯の高い電気刺激治療器や深部の組織を温めるときに用いられる極超短波(マイクロ波)治療器・超短波治療器・超音波(温熱)治療器は,金属にエネルギーが集まり,周囲の組織を加熱し,損傷を負う可能性があるために原則禁忌・禁止となります.

 

 

 

 

 意外と知らない物理療法の適応 

人工膝関節全置換術(TKA)後に病院や整骨院で物理療法治療器が使用される機会はとても多いです.

しかし,「この機械にはどんな効果があるのか知らない」「手術後に使用してよい機械なのかわからない」など,このような状態で治療されているクライアントが多いのが現状です.

理学療法士の物理療法離れは周知の事実ですが,物理療法に関しては授業で学習したばかりの学生の方が知識があったりするのも実際です.

提供する医療者側の問題として,疾患に対し,使用する治療器によっては賛否両論に分かれており,いまだに結論が出ていないものもあります.

症状や状態によっては,使用することで危険を生じる場合もありますが,適用の決定,効果判定は経験主義的に行われているのが現状です.

したがって,提供する医療者側は,クライアントに適用されるさまざまな形式のエネルギーや物質,その適用手段に関する知識を持ち,安全に行うことが要求されます.

臨床現場で最も使用されている治療機器は温熱治療器であり,代表的なものとしてホットパック・極超短波(マイクロ波)治療器,超音波治療器等が挙げられます.

これらは治療目的に応じて選択する必要があります.

例えば対象とする組織が表層か深層かの違いで使用する治療器は変わります.

治療器の深達度は諸説ありますが,皮膚表面からホットパック約1cm, 3MHzの超音波約1~3cm,極超短波約3~4cm,1MHzの超音波約3~5cmとされております.

またファントム(疑似生体組織)に金属を挿入した状態で超音波を照射すると,金属付近で特異的に温度が上昇することが明らかにされております.

この実験結果を考えると人工膝関節全置換術後の超音波の使用は非常に危険であることを認識できると思います.

 

 

 

 

 

 こたつは大丈夫? 

日本の冬の生活に欠かせない暖房器具としてまず挙げられるのがこたつです.

このこたつに関して人工膝関節全置換術(TKA)後のクライアントに「金属が入っていてもこたつは大丈夫なのか?」と質問されることは多いです.

結論から申し上げますと,術後こたつに入ることそのものには問題ありませんが,ヒーターの種類に注意する必要があります.

こたつのヒーターの種類は主に石英管ヒーターハロゲンヒーターがあり,それぞれ遠赤外線と近赤外線であり,赤外線の種類が異なります.

これらの身体への影響として,遠赤外線は波長が長く,そのエネルギーは皮層表面でほとんど吸収され熱に変わるため,深部へ浸透しないといった特徴があります.

また金属物質にあたると反射する特性があるため,石英管ヒーターのこたつはTKA後のクライアントにも使用可能です.

一方で,近赤外線は波長が短く,そのエネルギーは皮膚表面から数mmの深さまで浸透します.

また金属物質は可視光線~近赤外線域での吸収率が高く,加熱されやすいといった特徴があります.

したがって,ハロゲンヒーターのこたつは金属が加熱され,周囲の組織を損傷する可能性があるため使用の際は注意が必要となります.

また,スタンド型のハロゲンヒーターも同様の特性があり注意が必要です.

近年,人気のフラットヒーターのこたつは,電熱線にて暖める仕組みになっており,ワット数も低く,TKA後のクライアントに使用可能なものが増えてきております.

このようにこたつの使用の可否を考える際にはヒーターの種類についても考慮する必要があるわけです.

 

今回は人工膝関節全置換術(TKA)例に対する物理療法の施行について,本邦における特徴的な暖房器具の1つであるこたつも含めて考えてみました.

われわれ理学療法士も物理刺激にもう少し関心を持ち,クライアントに適切な日常生活指導を行っていきたいものです.

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