理学療法士・作業療法士から見た日本の社会と人口動態

介護予防
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目次

 日本の社会と人口動態 

今後ますます高齢者が増えると聞いたので,理学療法士・作業療法士はまだまだ需要があると聞いて,理学療法士・作業療法士を目指すことにしました.

こんな話って実習生からよく聞くわけですが,日本の人口動態について把握しておかないと,こんな誤った情報をもってしまうのです.

今後,特に後期高齢者割合が高くなるものの,高齢者数は減少していくということを知らない学生が多くてびっくりしています.

養成校でも退学されては困るので,高齢者が減少することで理学療法士・作業療法士の需要が減少する可能性があるなんて,養成校の教員は教えないでしょうね.

今回は日本の高齢化と人口動態について考えてみたいと思います.

 

 

 

 高齢化の現状 

わが国は世界で最も高齢化が進行しており,人類史上経験したことのない超高齢社会を迎えております.

2015年の段階における日本の65歳以上の高齢者人口は3,405万人であり,総人口 (1億2,710万人)に占める割合は26.8%となりました.

そのうち,男性は1,472万人,女性は1,932万人で,男女比は約3:4となっております.

また高齢者人口のうち,65~74歳の前期高齢者は1,756万人(男性833万人,女性922万人)で総人口に占める割合は13.8%,,75歳以上の後期高齢者は1,649万人(男性639万人,女性1.010万人)で.総人口に占める割合は13.0%となっております.

男女比は,前期高齢者で約1 : 1であるのに対して,後期高齢背では約3:5となり,高齢になるほど女性の占める割合は増加します.

当然,高齢化率も男性の23.8%と比較して女性では29.6%と高く30%に迫っているわけです.

 

 

 

 日本の人口と高齢化の将来 

わが国の人口は,戦後著しく増加し,高度経済成長期には,年平均1%程度と安定的に推移しました.

近年では,総人口は横ばいとなり,人口減少局面を迎えております

2048年には1億人を割って9,913万人となり,その後も減少し続け,2060年には9,000万人を割り込むと推計されております.

生産年齢人口 (15~64歳)は,1995年に8,716万人でピークを迎え,その後減少に転じ,2013年には7,901万人と1981年以来32年ぶりに8,000万人を下回っております.

一方で高齢化率(総人口に占める高齢者の割合)は,1950年には4.9%でありましたが,1970年に7%を超えて「高齢化社会」となり,1994年には14%を超えて「高齢社会」に,2007年には高齢化率が世界に先駆けて21%を突破し, 「超高齢社会」となりました.

総人口が減少する一方で高齢者割合が増加することで高齢化率は今後も上昇し続け,2035年には33.4%で3人に1人が高齢者となる見込みです.

またこういった高齢化率の地域格差は著しく,実際には既に高齢化率が40%を上回っている市町村もあるわけです.

さらに2060年には39.9%に達して,約2.5人に1人が高齢肴となると推計されております.

さらに注目すべきは,その内訳です.

後期高齢者の割合は,2015年頃を境に増加し続けており,2060年には前期高齢者の約2倍の26.9%にまで達すると推計されております.

すなわち,現在の高齢化率と人口割合にまで増加し,4人に1人が後期高齢者となるわけです.

われわれ理学療法士・作業療法士が仕事をしていても肌で実感することですが,前期高齢者って本当に元気ですよね.

高齢者って感じがしません.

高齢者の定義についてはさまざまな意見があると思いますが,こういった面から考えると前期高齢者と後期高齢者を分けて考えることが重要でしょう.

このように,超高齢社会における人口動態は.年少人口・生産年齢人口・高齢者人口という従来の3区分でなく,前期高齢背と後期高齢者を含めた4区分でとらえていく必要があります.

 

 なぜ高齢化が進んだのか? 

高齢化が進んだ要因としては,死亡率が低下したことによって寿命が延長し,高齢者人口そのものが増加したことが挙げられます.

単純に50代・60代で亡くなられる方が減少したということです.

また少子化により年少人口が減少したことも高齢化が進んだ大きな原因です.

このように高齢化が進んだ背景には,寿命の延長と出生率の減少といった2つの要因が大きくかかわっているわけです.

戦後以降日本人の経済状況の向上とともに生活・健康水準が確実に改善し,乳幼児から高齢者に至るまで感染症に対する抵抗力は確実に増大しております.

また医療技術の進歩とともに,公的医療保険(国民皆保険)のような社会保障制度が整備されたことも死亡率の減少に寄与していると考えられます.

本邦における平均寿命は,2014年の段階で男性80.5歳,女性86.83歳となっており,これは世界最高の水準といえます.

この平均寿命は今後も延伸することが見込まれており,将来的には平均寿命が100歳を超えるのではないかといった予測もなされているほどです.

安部総理が議長を務める人生100年時代構想会議が立ち上げられたところにもこういった背景があるわけです.

 

 

 

 グローバルエイジング 

こういった高齢化はグローバルな現象であり,わが国だけ問題ではありません.

世界の高齢化率は,1950年の5.1%から2015年には8.3%まで上昇しており,さらに2060年には18.1%にまで上昇するものと推計されております.

地球規模での高齢化が進んでいるわけです.

1990年頃まではドイツやフランスなどのヨーロッパの先進国はが高齢社会の先頭を走っていたわけですが,2000年頃から日本をトップランナーとしたアジア諸国の高齢化が急激に進んでおります.

今後数十年にわたっても、日本は世界一の高齢化率を保持し続けることになると予想されておりますがが,韓国では日本を上回るスピードで高齢化が進行し,2060年には37.1%と日本に肉薄すると見込まれております.

比岐的ゆっくりと高齢化が進行し,高齢社会に対応するための施策やモデルづくりに時間をかけて取り組むことのできた,スウェーデンをはじめとしたヨーロッパの先進国に対し,急激な高齢化に直面したアジア諸国では国民の意識も社会のシステムの対応も遅れています.

また今後は先進国のみでなく,開発途上国でも高齢化が進むものと予想されております.

わが国は将来的には世界共通となる高齢化に伴う諸問題に対して先進的に取り組み,モデル的な役割を来たす必要があり,本邦の理学療法士・作業療法士の働き方も,諸外国からのモデルの1つとなるわけです.

 

 

 

 都道府県別にみた高齢化率 

2014年の段階で最も高齢化が進んでいるのは,秋田県(32.6%)で,高知県(32.2%) ,島根県(31.8%),山口県(31.3%)と続きます.一方で高齢化率が低いのが沖繩県(19.0%)で,東京都(22.5%),愛知県(23.2%),神奈川県(23.2%)と続いております.

2040年には最も高い秋田県で43.8%,最も低い沖純県でも30.3%に達するものと推計されております.

2014年から2040年の変化の全国平均が9.7%であるのに対して神奈川県では23.2%から11.8ポイント上昇して35.0%に.東京郡では22.5%から11ポイント増加して33.5%となる推計です.

このように都会では現状は高齢化率があまり高くない一方で,高齢化率の変化が大きいことが問題となるとされております.

 

 

 

今回は日本の高齢化と人口動態について考えてみました.

理学療法士・作業療法士が対象とするクライアントの大半は高齢者ですので,今後も高齢化と人口動態の動向をみながら仕事を行っていく必要があります.

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