一次予防・二次予防・三次予防はともかくゼロ次予防・四次予防・五次予防って?

投稿者: | 2018年10月19日

介護予防を始め理学療法士・作業療法士が働く上でも,予防的な視点が求められるようになってきておりますが,皆様は一次予防・二次予防・三次予防といった言葉の意味が整理できているでしょうか?最近はさらにこの一次予防・二次予防・三次予防といった従来の概念に加えて,ゼロ次予防・四次予防・五次予防といった考え方が出てきました.今回は一次予防・二次予防・三次予防に加えてゼロ次予防・四次予防・五次予防について理学療法士の視点で考えてみたいと思います.

高齢者の健康増進・介護予防のための運動療法〜歩行能力の維持と向上をめざして〜[理学療法 ME87-S 全1巻]

 一次予防・二次予防・三次予防って? 

一次予防というのは疾病を有する前の健常者に対して,疾病の原因と思われるものの除去や回避に努め,健康の増進を図って病気の発生を防ぐなどの予防措置をとることを言います.われわれに関連するところでは,健康増進と疾病の予防を目的として,地域の元気な方に対して健康教室を通じて運動の重要性を伝え,正しい知識の普及や啓発を図るような場合は一次予防に取り組んでいると考えられます.

二次予防というのは疾病に罹患した人をできるだけ早く発見し,早期に治療を行い,疾病の進行を抑制し,疾病が重篤にならないように努めることを言います.介護予防の分野では二次予防事業という言葉があるように,何らかのスクリーニングテストを行い,疾病の進行が予測される場合には,運動指導等の介入を行うといったものです.すなわち要支援・要介護になる可能性が高い高齢者を抽出し,予防的に介入を行い,要支援・要介護になるのを予防しようといったものです.

三次予防はというのは実際に疾病が進行してしまった場合の,後遺症の治療,再発予防,残存機能の回復・維持,リハビリテーション,社会復帰までを含みます.われわれの関わるリハビリテーションというのは,従来三次予防に分類されてきましたが,職域拡大や高齢化等の社会的背景を踏まえて,予防理学療法分科会を中心に理学療法を一次予防・二次予防まで拡大させる流れが加速しております.またここで重要なのは,われわれは後遺症の治療や残存機能の回復・維持といった側面にとどまることなく,再発予防といった視点でもクライアントに関わることが重要となります.従来の理学療法ではこの再発予防といった視点が欠如しているといった点が学会等でも議論されておりますが,骨折例であれば再骨折の予防,脳卒中例であれば脳卒中の再発予防をふまえて理学療法を提供する必要があると考えられます.

 

 代表的な一次予防・二次予防・三次予防 

ここでは理学療法分野における代表的な一次予防・二次予防・三次予防について列挙してみました.

一次予防

健康日本21(第2次)セーフコミュニティ、エイジフレンドリーシティ

二次予防

転倒予防,認知機能低下予防,膝痛予防,腰痛予防,ロコモ予防,メタボ予防,労働災害予防(作業環境の評価等)

三次予防

脳卒中・心疾患・骨脆弱性骨折・腰痛・膝痛の再発予防

 

 ゼロ次予防って? 

ここまででご紹介しましたように,従来の予防医学の基本というのは,一次予防,二次予防,三次予防という考え方でした.しかしながら近年,0次予防という考えが出てきました.この0次予防というのは個人の健康増進を図る前に,その個人が生活している環境を改善するという考え方です.ヘルスプロモーションの考え方に立ち返れば,そもそも健康づくりというのは本人の努力やわれわれ理学療法士をはじめとする医療職による指導だけでなく,健康づくりの行動を助けるための環境作りまでをも含んだものなのです.0次予防というのは,この「健康づくりの行動を助ける環境づくり」の部分を指しているわけです.例えば地域のコミュニティの中に身体活動量を増やせるような環境を作ったり,身体活動量が増えると何らかのインセンティブを与えるような仕組みを作るなどの取り組みが,この0次予防に挙げられます.

 

 四次予防・五次予防って? 

近年ではゼロ次予防・一次予防・二次予防・三次予防といった概念に加えて,四次予防,五次予防という概念も出てきています.四次予防というのは,副作用や合併症予防など医療機関において行われる診療・治療における予防を指します.がん末期における苦痛の緩和や心のケアといった緩和的アプローチも四次予防と呼ばれ始めております.また五次予防としては,アメリカなどで行われている認知症の発症を遅らせる予防や,社会的要因である経済的な格差や社会状況の差によって起こる疾患の予防が挙げられます.

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今回は一次予防・二次予防・三次予防に加えてゼロ次予防・四次予防・五次予防といった新しい概念についてご紹介いたしました.理学療法士が予防に携わる機会も増えてきておりますので,このあたりをきちんと整理しておくことが重要だと思います.

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