大腿骨近位部骨折の疫学

投稿者: | 2018年7月5日

大腿骨近位部骨折って本当に多いですよね.2次救急・3次救急指定になっている医療機関に勤務していれば,毎日のように救急車で大腿骨近位部骨折例が入院してくるような状況です.疫学的なデータから考えれば5分に1人が,日本のどこかで大腿骨近位部骨折を受傷しているような計算になりますので無理もありません.今回は大腿骨近位部骨折の疫学についてご紹介させていただきます.

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 大腿骨近位部骨折(頸部骨折・転子部骨折)数の予測 

グラフは大腿骨近位部骨折数の予測を表したものです.

このデータは日本整形外科学会における調査を基に作成したものですが,大腿骨近位部骨折例の疫学調査に関しては鳥取大学医学部保健学科の萩野浩先生が多くの論文を公表されております.

我が国では2025年を境に高齢者人口が減少することが予測されておりますが,一方で大腿骨近位部骨折は今後も増え続けることが予測されております.

具体的には2043年まで増加し続けるようです.

おそらく理学療法士が対象とする疾患群で分類すると脳卒中や変形性関節症に次いで多いと思われるのが,この大腿骨近位部骨折ではないでしょうか?術後急性期はもちろんのこと既往歴等を含めますと,大腿骨近位部骨折を既往に持つ方というのは非常に多いと思います.

骨折が減るのは社会的には素晴らしいことですが,理学療法士の仕事を考えたときにどうなのだろうかと考えたりしてしまいますが…

理学療法士は急増するのに,理学療法の対象者は今後減っていくという状況を受け止め,新たな職域を拡大していくことも重要なのでしょうね(このあたりは協会が動いてますが…).

さて話が少し脱線しましたが,大腿骨近位部骨折の発生に関しては非常に面白いデータが多く公表されております.

大腿骨近位部骨折例の看護・リハビリを行う上で知っておきたい疫学データ

①北欧・米国に比較すると日本人を含むアジア系民族の発生率は低い

日本人はそもそも転倒発生率自体が低いとされております.これには和式生活が影響しているのではないかという話や,日本人の下肢長が短いつまり短足だから(笑)といった説もあります.リンゴを2mのところから落下させた場合と1.5mのところから落下させた場合では,2mから落下させた場合の方が位置エネルギーが大きくなりますので衝撃が大きいのと同じですね.

②日本では西高東低

納豆の摂取率は西日本と東日本で異なるようです.納豆に含まれるカルシウムは100gあたり90mgと他の食材に比べて決して突出してカルシウムが豊富なわけではないのですが,実は納豆にはカルシウムの吸収を促すビタミンKが豊富に含まれております.ビタミンKといえば骨粗鬆症の薬にも使われているという成分で緑黄色野菜等にも含まれるものですね.私も初めて知ったのですが西日本よりも東日本の方が納豆の摂取率が高いようです.またや先住民の起源(渡来人・縄文人)の違いも西高東低の原因だと言われております.弥生時代の始まりとともに大陸や朝鮮半島から大量の渡来人が日本へ渡ったとされておりますが,縄文人は渡来人に比べて丈夫な骨を持っていたということもわかっております.

③男性よりも女性に多い(男女差がある)

骨粗鬆症が女性に多いのは皆さんもご存じだと思います.

④季節性(夏より冬に多い)

やっぱり冬って体が縮こまってますし,そもそも動きにくいわけです.加えて厚手の着物を着ていたり,こたつ布団がしかれていたり,夏よりも転倒の危険も高くなるわけです.

 

⑤5分に1人が大腿骨近位部骨折を受傷

冒頭でも述べましたが,大腿骨近位部骨折を日本のどこかで1時間で12人,24時間で288人が受賞しているケインさんになります.これってすごい数字ですよね!

⑥1人入院すると150~200万円前後の費用がかかる

大腿骨近位部骨折は基本的には手術療法の適応となることがほとんどなので入院費用も高額です.手術費用に加え入院料・リハビリ梁軟化も加えると150~200万円もの医療費がかかるわけです.もちろん日本は高額医療制度や国民皆保険制度なので個人負担はこれよりも少ないわけですが,多くの大腿骨骨折例の入院費を社会保障費で賄っていると考えると,社会保障費が高いと指摘されるのもうなづけます)

 

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疫学データって面白いですよね.理学療法・作業療法といったリハビリや看護を考える上でも,疾病の疫学的なデータを把握しておくことは重要だと思います.

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