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ダイナミックストレッチってどれくらいやればよいかを考えるうえで参考になる論文
ストレッチといえば昔は静的ストレッチングが主流でした.
しかしながらパフォーマンス前の静的ストレッチングはパフォーマンスを低下させることが明らかとなり,近年は動的ストレッチング,つまりダイナミックストレッチングがパフォーマンス前には行われることが多いです.
しかしながらダイナミックストレッチングってどのくらい行うのが効果的なのでしょうか?
今回はダイナミックストレッチってどれくらいやればよいかを考えるうえで参考になる論文をご紹介させていただきます.
今回ご紹介する論文
Open AccessArticle Effects of Different Amounts of Dynamic Stretching on Musculotendinous Extensibility and Muscle Strength
by Minori Tanaka
Appl. Sci. 2024, 14(15), 6745; https://doi.org/10.3390/app14156745
今回ご紹介する論文は2024年に掲載された論文です.
研究の目的
Dynamic stretching (DS) is performed as a warm-up to improve the range of motion and athletic performance. However, the effect of different amounts of DS on muscle performance remains unclear. This study investigated the effects of DS repetitions with one or four sets of 30 s on musculotendinous extensibility and muscle strength.
この研究では30秒を1セットとするダイナミックストレッチングを1セットまたは4セット反復することで,筋腱の伸展性と筋力に及ぼす影響を検討することを目的としております.
研究の方法
Fourteen healthy men (23.6 ± 1.5 years) underwent DS to ankle plantar flexors for one set (fifteen repetitions) or four sets after warm-up. The maximal ankle dorsiflexion angle, musculotendinous stiffness (MTS), passive torque, peak plantarflexion torque during maximal isometric contraction, and muscle temperature were measured before and after stretching.
健常男性14例(23.6±1.5歳)を対象としてウォーミングアップ後に足関節底屈筋へのダイナミックストレッチングを1セット(15回)または4セット行っております.
足関節の最大背屈角度,筋腱性スティフネス(MTS),受動トルク,最大等尺性収縮時の足底屈ピークトルク,筋温をストレッチ前後に測定しております.
研究の結果
A significant effect of time was observed on the maximal ankle dorsiflexion angle, MTS, passive torque, and muscle temperature (p < 0.001). However, no interactions or effects between the conditions were observed. After DS, the maximal ankle dorsiflexion angle and muscle temperature significantly increased (p < 0.01), while the MTS and passive torque significantly decreased (p < 0.01). The maximal muscle strength showed no significant effects or interactions (p = 0.198−0.439).
最大足関節背屈角度,筋腱スティフネス,受動トルク,筋温に時間の有意な影響が観察されました(p<0.001).
しかしながら条件間の交互作用や影響は観察されませんでした.
ダイナミックストレッチング後,最大足関節背屈角度と筋温は有意に上昇し(p<0.01),筋腱スティフネスと受動トルクは有意に低下しました(p<0.01).
最大筋力は有意な影響や交互作用は認められませんでした(p=0.198-0.439).
研究の結論
These results indicated that one and four sets of DS effectively increased musculotendinous extensibility. Thus, one set of DS may have similar effects as a warm-up before four sets of DS.
今回の結果から1セットおよび4セットのダイナミックストレッチングは筋腱伸展性を効果的に増加させることが示された.
したがって1セットのダイナミックストレッチングは、4セットのダイナミックストレッチングの前のウォーミングアップと同様の効果があると考えられます.
今回はダイナミックストレッチってどれくらいやればよいかを考えるうえで参考になる論文をご紹介させていただきました.
今回の結果から考えるとダイナミックストレッチングの場合には1セット行っても4セット行っても効果に大きな相違はなさそうです.
やればやるだけ有効ということではなさそうですね.