これは知っておくべき下肢の浮腫を合併している場合のサルコペニアの評価方法

介護予防
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これは知っておくべき下肢の浮腫を合併している場合のサルコペニアの評価方法

理学療法士・作業療法士が高齢者のサルコペニアを評価するのが一般的になってきました.

理学療法士・作業療法士が簡易的にサルコペニアの評価を行ううえでは下腿周径の評価が用いられることが多いです.

しかしながら下肢の浮腫を合併している症例では下腿周径をサルコペニアの評価として用いるのが不適切な場合もあります.

今回は下肢の浮腫を合併している場合のサルコペニアの評価方法について考えるうえで参考になる論文をご紹介させていただきます.

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今回ご紹介する論文

Geriatr Psychol Neuropsychiatr Vieil. 2023 Mar 1;21(1):69-77. doi: 10.1684/pnv.2023.1086.

Possible predictors for sarcopenia in community-dwelling elderly: neck and calf circumferences

Gökcen Dogan 1, Nurcan Yabanci Ayhan 1, Maria Daniel Vaz de Almeida 2

Affiliations expand

PMID: 37115681 DOI: 10.1684/pnv.2023.1086

今回ご紹介する論文は2023年に掲載された論文です.

 

 

 

 

 

 

 

研究の目的

The aim of this study was to determine the relationship between sarcopenia and calf and neck circumferences.

この研究ではサルコペニアとふくらはぎ・頚部周囲径の関係を明らかにすることを目的としております.

 

 

 

 

 

 

 

 

研究の方法

One hundred seventy-seven community-dwelling elderly individuals (over 65 years old) were recruited. A questionnaire was applied via face-to-face interview and the MNA-SF was used to assess nutritional status. In addition, some anthropometric measurements and handgrip strength were assessed by dieticians to determine sarcopenia. Sarcopenia was defined according to the European consensus definition of the EWGSOP-2 criteria.

対象は地域在住高齢者(65歳以上)170例としております.

対面で質問票を用いた評価を行い,栄養状態の評価にはMNA-SFを使用しております.

さらにサルコペニアを判定するために,いくつかの身体測定と握力を栄養士が評価しております.

サルコペニアは欧州のコンセンサス定義であるEWGSOP-2基準に従って定義しております.

 

 

 

 

 

 

 

研究の結果

Neck (p<0.001), calf (p=0.001), and waist circumference (p<0.001) were significantly higher in nonsarcopenic elderly women but in men. According to ROC analyses, neck (AUC: 74.7%), calf circumferences (AUC: 74.3%), and BMI (AUC: 80.4%) are possible predictors of sarcopenia in elderly women.

頸部(p<0.001),ふくらはぎ(p=0.001),腰囲(p<0.001)はいずれも非サルコペニアの高齢女性で有意に高い結果でありましたが,男性でも非サルコペニア例で有意に高い結果でありました.

ROC分析によると頸部周径(AUC:74.7%),下腿周径(AUC:74.3%),BMI(AUC:80.4%)は高齢女性のサルコペニアの予測因子となり得ます.

 

 

 

 

 

 

 

研究の結論

This is the first study to demonstrate that neck circumference can be useful for predicting sarcopenia in community-dwelling women over 65 years old. These findings may contribute to the development of new strategies to screen for sarcopenia.

この研究は65歳以上の地域在住女性において,頸部周囲径がサルコペニアの予測に有用であることを示した初めての研究であります.

この研究の知見はサルコペニアのスクリーニングのための新しい戦略の開発に貢献する可能性があります.

 

今回は下肢の浮腫を合併している場合のサルコペニアの評価方法について考えるうえで参考になる論文をご紹介させていただきました.

今回の結果から考えると下肢の浮腫を合併している女性高齢者の場合には頸部周径を代替手段として用いることが有用かもしれません.

顔面や頸部にも浮腫を伴っている場合にはやはり評価は難しいですが,一つの引き出しとして知っておくとよいですね.

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