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高齢者の身体活動量を増やすには外出時間よりも外出機会を増やすことが重要
最近は通いの場における理学療法士・作業療法士の活躍も増えてきております.
理学療法士・作業療法士にとっては通いの場において運動を実践するのみならず高齢者の身体活動量を増やすような身体活動指導が重要となります.
今回は高齢者の身体活動量を増やすには外出時間よりも外出機会を増やすことが重要である可能性を示唆する研究論文をご紹介させていただきます.
今回ご紹介する論文
Geriatr Nurs. 2022 Jul 8;47:18-22. doi: 10.1016/j.gerinurse.2022.06.010. Online ahead of print.
Objectively-measured out-of-home behavior and physical activity in rural older adults
Kazuki Uemura 1, Takeshi Iwamoto 2, Masakazu Hiromatsu 3, Atsuya Watanabe 4, Hiroshi Okamoto 4
Affiliations expand
PMID: 35816983 DOI: 10.1016/j.gerinurse.2022.06.010
今回ご紹介する論文は2022年に掲載された論文です.
研究の目的
This cross-sectional study investigated the association of out-of-home behavior measured by global positioning system (GPS) and amounts of physical activity.
この研究ではGPSで測定された外出行動と身体活動量の関連について調査することを目的としております.
研究の方法
Rural older adults aged ≥ 65 years (n = 133) participated in this study. Daily step count and physical activity level were measured using an accelerometer. We monitored out-of-home behavior using a GPS sensor and calculated two indicators: out-of-home time and number of nodes (places) visited per day.
65歳以上の農村部の高齢者(n = 133)を研究対象としております.
加速度計を用いて1日の歩数および身体活動量を測定しております.
GPSセンサーを用いて外出行動をモニターし,外出時間と1日に外出機会の2指標を算出しております.
研究の結果
In results, only the number of nodes visited was significantly associated with step count (B coefficient = 1,324; 95% CI = 622 to 2,026) and physical activity level (B coefficient = 0.05; 95% CI = 0.02 to 0.09) in the fully-adjusted model, while out-of-home time was not.
完全調整モデルにおいて外出機会のみが歩数(B係数=1,324、95%CI=622~2,026)および身体活動レベル(B係数=0.05、95%CI=0.02~0.09)に有意に関連し外出時間は関連しておりませんでした.
研究の結論
A greater number of nodes visited, rather than out-of-home time, was associated with higher amounts of physical activity in older adults.
高齢者の身体活動量の多さには外出時間ではなく外出機会の多さが関連しておりました.
今回は高齢者の身体活動量を増やすには外出時間よりも外出機会を増やすことが重要である可能性を示唆する研究論文をご紹介させていただきました.
今回の結果から考えると外出時間ではなく外出の頻度を増やすような身体活動指導が有効であると言えますね.
高齢者に対して身体活動量に関する指導を行う際には少しの時間でも外出する機会を設けるように指導を行うことが必要でしょうね.