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筋肉痛の改善に振動付フォームローラーが有用?
理学療法士・作業療法士の皆様は臨床でフォームローラーを有効活用されていますか?
フォームローラーって可動域改善効果もあって自主トレーニングにも結び付けやすいのでとても有用ですよね.
最近では振動付のフォームローラーが活用されることも多くなってきております.
振動付のフォームローラーはマッサージ効果も高まるので疼痛の改善にも有効だと考えられますが,その効果はどうなのでしょうか?
今回は筋肉痛の改善に振動付フォームローラーが有用かどうかを明らかにした研究論文をご紹介させていただきます.
今回ご紹介する論文
J Sports Sci Med. 2022 Feb 15;21(1):112-119. doi: 10.52082/jssm.2022.112. eCollection 2022 Mar.
Comparison of the Acute Effects of Foam Rolling with High and Low Vibration Frequencies on Eccentrically Damaged Muscle
Kazuki Kasahara 1, Riku Yoshida 2, Kaoru Yahata 2, Shigeru Sato 2 3, Yuta Murakami 1, Kodai Aizawa 1, Andreas Konrad 4, Masatoshi Nakamura 1 2
Affiliations expand
PMID: 35250340 PMCID: PMC8851125 DOI: 10.52082/jssm.2022.112
今回ご紹介する論文は2022年に掲載された論文です.
研究の目的
Previous research has shown that vibration foam rolling (VFR) on damaged muscle shows greater improvement in muscle soreness and range of motion (ROM) compared with foam rolling (FR) without vibration. However, the effect of frequency in VFR on muscle soreness and loss of function caused by damaged muscles is unknown. The purpose of this study was to compare the acute effects of 90-s low-frequency (LF)- and high-frequency (HF)-VFR intervention on ROM, muscle soreness, muscle strength, and performance of eccentrically damaged muscle.
これまでの研究では,損傷した筋肉に対する振動フォームローリング(VFR)は,振動を伴わないフォームローリング(FR)と比較して筋肉痛や関節可動域(ROM)に大きな改善効果を示すことが示されています.
しかしながら損傷した筋肉による筋肉痛や機能低下に対する振動フォームローリングにおける周波数の影響は不明であります.
この研究では90秒間の低周波(LF)と高周波(HF)振動フォームローリングの介入による関節可動域,筋肉痛,筋力,および遠心性収縮パフォーマンスに対する急性効果を比較することを目的としております.
研究の方法
Study participants were sedentary healthy adult volunteers (n = 28) who performed a bout of eccentric exercise of the knee extensors with the dominant leg and received 90-s LF-VFR or HF-VFR intervention of the quadriceps 48 h after the eccentric exercise. The dependent variables were measured before the eccentric exercise (baseline) and before (pre-intervention) and after VFR intervention (post-intervention) 48 h after the eccentric exercise.
対象は健常成人ボランティア(n = 28)で,利き脚で膝伸筋の遠心性運動を行い,遠心性運動の48時間後に大腿四頭筋の90秒低周波振動フォームローリングまたは高周波振動フォームローリング介入を行っております.
従属変数は遠心性トレーニング前(ベースライン),遠心性トレーニング48時間後の振動フォームローリング介入前(介入前)および介入後(介入後)に測定しております.
研究の結果
The results showed that both LF-VFR and HF-VFR similarly (p < 0.05) improved the knee flexion ROM (11.3 ± 7.2%), muscle soreness at palpation (-37.9 ± 17.2%), and countermovement jump height (12.4 ± 12.9%).
低周波振動フォームローリング,高周波振動フォームローリングいずれも同様に(p<0.05),膝関節屈曲可動域(11.3±7.2%),筋肉痛(-37.9±17.2%),ジャンプ高(12.4±12.9%)が改善することが示されました.
研究の結論
It was concluded that it was not necessary to perform VFR with a high frequency to improve muscle soreness and function.
筋肉痛や筋機能を改善するためには,高周波で振動フォームローリングを行う必要はないと結論づけられました.
今回は筋肉痛の改善に振動付フォームローラーが有用かどうかを明らかにした研究論文をご紹介させていただきました.
最近流行している振動付フォームローラーですが,現状では振動数が高いものでも,低いものでも同じ効果ということになりますね.
いずれも十分な改善効果が得られておりますので,少し高価にはなりますが振動機能付のフォームローラーをクライアントについてもクライアントへ勧めるための1つの選択肢としてもよいでしょうね.