目次
Empty Can TestとFull Can Testって何が違うの?どう読むの?
理学療法士・作業療法士がクライアントの腱板機能を評価する際に用いることが多いのが棘上筋に対するEmpty Can TestとFull Can Testです.
でもこのEmpty Can TestとFull Can Testって何が異なるのでしょうか?
またこのテストって日本語でどう読むのが正しいのでしょうか?
しかもこのテストって方法が類似しておりますのでどちらがどの方法だったのか忘れてしまいがちですよね.
今回はEmpty Can TestとFull Can Testとの相違と忘れないEmpty Can TestとFull Can Testの覚え方について解説させていただきます.
Empty Can TestとFull Can Testの読み方は?
Full can test:フルカンテスト(フルキャンテスト)
Empty Can Test:エンプティカンテスト(エンプティキャンテスト)
日本では「can」については「カン」と読んだリ,「キャン」と読んだりします.
Empty Can TestとFull Can Testの方法は?
Empty can test
・姿勢は座位or立位とする
・肩関節肩甲骨面挙上90°,肩関節内旋位(親指を下に向ける)にする
・検者は被検者の腕に対してへ下方向(内転方向)へ抵抗を加え,被検者に肢位を保持してもらう
・Empty can testを施行する場合は肘関節を屈曲しておく(肘関節伸展位では肩関節内旋位を前腕回内で代償してしまう可能性が高い)
Full can test
・姿勢は座位or立位とする
・肩関節肩甲骨面挙上90°,肩関節外旋位(親指を上に向ける)にする
・検者は被検者の腕に対してへ下方向(内転方向)へ抵抗を加え,被検者に肢位を保持してもらう
Empty Can TestとFull Can Testの陽性所見と解釈
陽性所見
「Empty can test」と「Full can test」ともに陽性所見は以下の通りです.
・肩関節に疼痛が誘発される。
・検者の抵抗に抗せず,被検者の上肢が下がってしまう(肩関節が内転してしまう).
解釈
・インピンジメント症状や棘上筋損傷の可能性
Empty Can TestとFull Can Testの違い
理学療法士・作業療法士が最も気になるのはEmpty Can TestとFull Can Testの違いです.
Empty Can TestとFull Can Testの大きな相違は「母指を下へ向けるor上へ向けるか」,つまり肩関節内旋位か肩関節外転位かです.
なぜ肩関節を内旋位とするかを理解しておけばEmpty Can TestとFull Can Testの相違を理解しやすくなるでしょう.
肩関節内旋位(Empty Can Test)では,運動方向(肩甲骨面挙上)に棘上筋収縮のベクトルが一致します.
そのため棘上筋の機能低下を明らかにするためには基本的にはEmpty Can Testが第一選択肢となります.
まずはEmpty Can Testを試みて,肩関節内旋位が取れない場合はFull Can Testを試みるといった流れとなります.
一方でEmpty Can Test・Full Can Testともに棘上筋活動は高く,どちらが優位かは研究結果にバラツキがあるのも実際です.
最近の文献では,EMGの観点からみると,Empty can Testは棘上筋の損傷を調べるには不十分であるといったものもあれば,Empty can Testは棘上筋ではなく棘下筋の機能低下を検出するテストだとしている文献もあります.
今のところ一定の結論は出ておりませんが,どちらを実施しても良いという意見もあり「棘上筋テスト」として一括りに紹介されていることが多いです.
実際にはFull can TestはEmpty can Testよりも要請になりにくいといった側面があり,Empty Can Testの方がより顕著に陽性反応が出ることが多いです.
しかしながらEmpty Can Testは肩関節内旋位ですので,棘上筋の機能低下のみならず肩峰下インピンジメントでも陽性になる可能性が高いので,棘上筋の機能低下を検出するにはFull Can Testの方が妥当な場合もあります.
またこの2つのテストは正確性の面からみると意外と高い確率(70%~75%)であることも明らかにされております.
Empty Can TestとFull Can Testの覚え方は?
Empty Can TestとFull Can Testって混同してしまいがちですよね?
Emptyというのは空のといった意味を持ちます.
空き缶を持ったことをイメージしてください.
空の空き缶ですので中のジュースがこぼれることもないでしょう.
ですので飲み口を下に向けても問題ありません.
そのため上腕骨内旋・前腕回内位と覚えます.
一方でFullというのはいっぱいのといった意味を持ちます.
缶ジュースを開けたばかりの時のことを考えてください.
飲み口を上に向けておかないとこぼれてしまいますよね?
そのため上腕骨外旋・前腕回外位と覚えます.
今回はEmpty Can TestとFull Can Testとの相違と忘れないEmpty Can TestとFull Can Testの覚え方について解説させていただきました.
意外と奥が深いEmpty Can TestとFull Can Testですが,理学療法士・作業療法士もテスト毎の特徴を十分に理解したうえで使用できるとよいのでしょうね.