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理学療法士・作業療法士も知っておきたいDNARとDNR,いまだにDNR使ってませんか?
医療機関で勤務している理学療法士・作業療法士がよく耳にする表現としてDNARとかDNRといった表現が挙げられます.
なんとなくの理解でDNARやDNRといった用語を使用されている理学療法士・作業療法士も多いのではないでしょうか?
今回は理学療法士・作業療法士も知っておきたいDNARとDNRについて考えてみたいと思います.
DNARとは?
DNARとは「Do Not Attempt Resuscitation」の略語です.
主には終末期医療において心肺停止状態になった時に二次心肺蘇生措置を行わないことを意味します.
日本語訳すると「蘇生措置拒否」と表現されます.
終末期に当たる時期については,明確な定義があるわけではなく,もちろん病態によって異なると思いますが,一般的には余命が数日~数週間,長くても数か月と宣告されているような時期のことを指します.
また二次心肺蘇生措置とは,具体的には昇圧剤の投与や,心臓マッサージ,気管挿管,人工呼吸器の装着等による蘇生措置のことを指します.
衰弱した終末期においてこのような蘇生措置を行うことは心身に大きな負担を伴いますし,蘇生に成功する可能性は決して高くありません.
また仮に蘇生に成功したとしても余命は心肺停止に陥る前よりも短くなっている可能性があります.
そして蘇生措置の最中に最期の瞬間を迎えてしまうことも少なくなく,そうなると家族に穏やかに看取られる機会が失われてしまいます.
終末期における二次心肺蘇生措置には,このようなデメリットがあるため,こういった措置を希望されないクライアントやご家族も多いというわけです.
DNARとDNRの違いは?
ここで気になるのはDNARとDNRの違いです.
DNARはかつてはDNR(Do Not Resuscitation)と表現されておりました.
基本的にDNARとDNRに違いはなく同義です.
DNARの「A」は「Attempt」を意味し「試みる」というような意味ですが,これが加えられた背景には,DNRが蘇生する可能性が高い場合でも蘇生措置を施さないものと誤解される懸念があり,そうではなく蘇生可能性が乏しいにもかかわらず蘇生を「試みる」ことを拒否する趣旨であることがわかりやすいように「A」を加えたという経緯があります.
いまだにDNRといった表現を使っている理学療法士・作業療法士は時代遅れかもしれませんね.
今回は理学療法士・作業療法士も知っておきたいDNARとDNRについて考えてみたいと思います.
在宅看取りへの関わりやがんリハビリテーションに関わる理学療法士・作業療法士もが増える中で,理学療法士・作業療法士もクライアントの死に関わる機会は多いと思います.
こういった用語も正しく知っておきたいですね.