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伝い歩き,伝え歩きどっちが正しい?
理学療法士・作業療法士が移動能力向上に向けて歩行練習を行う場合に,伝い歩きの練習をする機会は多いと思います.
クライアントは在宅では比較的狭い空間を移動することになりますので,伝い歩きの練習って実践的で重要な練習と言えると思います.
ここで気になるのが伝い歩きが正しいのか,伝え歩きが正しいのかといった点です.
今回は伝い歩き,伝え歩きどっちが正しいのかについて考えてみたいと思います.
伝い歩きと伝え歩きは何が違うか?
まず伝い歩きと伝え歩きでは何が違うのでしょうか?
見たままですが,簡単に言ってしまえば「伝う」と「伝える」の違いですね.
伝い歩きの元の言葉は「伝う」
伝え歩きの元の言葉は「伝える」
この元の言葉から考えると伝い歩きが正しいのは明白です.
結論から言えば伝え歩きではなく伝い歩きが正しいということになります.
当たり前といえば当たり前ですが…
伝い歩きの語源
「線路伝い」や「川伝い」など,「~伝い」という表現はよく使われますが、これは「~に沿って移動する」という意味のハ行四段活用動詞「伝ふ」の連用形「伝ひ」が元になり,名詞の下に付いて,何かを伝わって行くという意味を表します.
現代語の「伝う」で「涙が頬を伝う」などといった方法で使用されます.
「伝い歩き」はその意味から考えると,ハ行四段活用をする「伝ふ」(現代語の「伝う」)に「歩く」が付いた形だと思いますから,連用形である「伝ひ」に「歩く」が付くのが自然で,現代仮名遣いでは「伝い歩く」と表現することになります.
伝え歩きの語源
一方で「伝ふ」には意味によってもう一つ活用の仕方があり,「知らせる」や「伝達する」「伝授する」といった意味の場合,ハ行下二段活用をします.
こちらが現代語の「伝える」にあたります.
確かにハ行下二段活用をする「伝ふ」(現代語の「伝える」)なら,連用形である「伝へ」に「歩く」が付いた形の現代仮名遣い「伝え歩く」も正しいかもしれませんが,何かを伝達しながら歩くことを「伝え歩き」と表現することってほとんどないと思います.
つまり伝え歩きというのは何かを知らせて歩くといった意味合いで用いる場合には誤りではないということになります.
今回は伝い歩き伝え歩きどっちが正しいのかについて考えてみました.
結論から申し上げますと伝い歩きが正しいということですね.