研鑽と労働時間の線引きはどこ?厚生労働省が案を提示

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研鑽と労働時間の線引きはどこ?厚生労働省が案を提示

昔は理学療法士・作業療法士といえば終業後に研修会と称して遅くまで残って勉強している理学療法士・作業療法士が多かったですよね.

今は時代も変わってなかなか組織的に研鑽をボランティアで義務化することが難しくなっている状況にあります.

ただ研鑽と労働時間の線引きって難しいですよね?

今回は研鑽と労働時間の線引きにかんして厚生労働省が提示した案について考えてみたいと思います.

person wearing brown shoes standing on yellow line roadway during daytime

 

 

 

 

 

 

 

厚生労働省から出された研鑽の労働時間該当性について(抜粋)

労働時間とは,使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい,使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる.

このため,①労働から離れることが保障されている状態で行われている,②就業規則上の制裁等の不利益取扱いによる実施の強制がないなど,自由な意思に基づき実施されているなど,使用者から明示又は黙示の指示※がないと認められる研鑽については,当該研鑽を行う時間は,労働時間に該当しない.

なおここでいう労働から離れることの保障というのは使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することが求められている場合は,労働から離れることが保障されているとはいえない.

労働に該当しない研鑽については,自らの判断で終了することができることが必要である.

また所定労働時間外に自発的に研鑽として行われるものであっても,「業務」並びに「業務に必要な準備行為」及び「業務終了後の業務に関連した後処理」を事業場内で行う時間は,使用者の明示の指示はなくとも使用者がそれを認識していれば黙示の指示が推認され,労働時間に該当する場合がある.

 

 

 

 

 

 

 

 

研鑽の類型と労働時間の基本的な考え方

一般的に労働時間に該当するもの

 

診療ガイドラインについて

新しい治療法や新薬についての勉強

自らが術者等である手術や処置等についての予習や振り返りの勉強

 

上記の項目については,一般的に,診療の準備行為又は診療後の後処理として,これらの行為を行う時間は,労働時間に該当する.ただし,自由な意思に基づき,業務上必須ではない行為を,所定労働時間外に,上司の指示なく行う時間については,労働時間に該当しないと考えられる.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一般的に労働時間に該当しないもの

 

学会や外部の勉強会への参加,発表準備等

院内勉強会への参加,発表準備等

本来業務とは区別された臨床研究にかかる診療データの整理

症例報告の作成

論文執筆等

大学院の受験勉強

専門医の取得・更新にかかる症例報告作成

講習会受講等

 

上記の項目については,奨励されている等の事情があっても,自由な意思に基づき,業務上必須ではない行為を,所定労働時間外に,上司の指示なく行う時間については,一般的に労働時間に該当しないと考えられる.

ただし,実施しない場合には制裁等の不利益(就業規則上の制裁等)が課され,実施が余儀なくされている場合や,業務上必須である場合,業務上必須でなくとも上司が指示して行わせる場合は労働時間に該当する.

奨励されている等の事情があっても以下のような場合には自由な意思に基づき実施されていると考えられる.

当該行為を行うことが上司や先輩から奨励されているが,強制されていない

勤務先医療機関が主催する勉強会であるが,自由参加である

学会等での参加・発表や論文投稿が勤務先医療機関に割り当てられているが,個人への強制的な割り当てはない

研究を本来業務とはしない医師が,院内の臨床データ等を利用し,院内で研究活動を行っているが,当該研究は,上司に命じられておらず,自主的に行っている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上司からの命令や参加への自由意思が重要

研鑽と労働時間の基本的な考え方に関する厚生労働省案ですが,基本的に上司からの命令や参加への自由意思の有無が,業務内外を分ける境目になりそうです.

ただ時代が時代ですので医療機関のリハビリテーションの質を担保するための研修であれば,自由意思として職員である理学療法士・作業療法士に一任せずに,職場として最低限求める研鑽は,時間を限定する等し,命令の元行って欲しいものですね.

 

今回は研鑽と労働時間の線引きに関して厚生労働省が提示した案について考えてみました.

研鑽と労働時間の線引きって難しいですが,今回の厚生労働省案は研鑽に該当するのか労働時間に該当するのかを考えるうえで1つの参考にはなりそうですね.

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