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理学療法士・作業療法士が医療事故で負う法的責任
最近はニュースでも理学療法士・作業療法士の医療事故に関するニュースをちょこちょこ耳にするようになりました.
なかには死亡事故につながるような医療事故も発生しており,改めてわれわれ理学療法士・作業療法士の仕事というのはクライアントの生命に関わるリスクの高い仕事だなと思うわけですが,理学療法士・作業療法士が医療事故を引き起こした場合には,法的責任を負うことになります.
今回は理学療法士・作業療法士が医療事故で負う法的責任について解説させていただきます.
理学療法士・作業療法士が医療事故で負う3つの法的責任
理学療法士・作業療法士が医療事故を引き起こした場合には以下の3つの法的責任を負うことになります.
民事責任
刑事責任
行政責任
ここからは,この民事責任,刑事責任,行政責任について解説をさせていただきます.
民事責任
理学療法士・作業療法士がクライアントの生命身体などに損害を与えた場合には,クライアントに発生した損害を金銭に換算して支払わなければなりません.
もしクライアントが死亡した場合には,クライアントが生涯で得られるはずであった収入分を請求されることになります.
場合によっては億単位の高額な請求をされてしまうこともあるでしょう.
刑事責任
刑事責任は理学療法士・作業療法士がクライアントを死傷させてしまった場合に追わされることになります.
5年以下の懲役または禁錮または100万円以下の罰金に処せられることがあります.
刑事責任の場合は,先の民事責任とは異なり,理学療法士・作業療法士に重大な過失がない限りは罪として認められないことが多いです.
行政責任
行政責任というのは理学療法士・作業療法士免許に対する処分です.
医療事故に限らず窃盗や人身事故などによって罰金以上の刑に処せられた場合に行政処分がくだされます.
基本的には刑事訴訟で有罪になると行政処分が課せられると考えた方が良いでしょう.
賠償責任保険
今回ご紹介させていただいたように理学療法士・作業療法士が医療事故を引き起こした場合には,今回ご紹介したように3つの法的責任を負うことになります.
場合によってはかなり高額の請求をされてしまうこともあるでしょう.
最近はこういった医療事故が起こった場合に備えて賠償責任保険に加入する理学療法士・作業療法士も多いですが,日本理学療法士協会の賠償責任保険制度については割に合わないというのは以前にもご紹介させていただきました.
いずれにしても何らかの保険に加入しておくことをお勧めします.
今回は理学療法士・作業療法士が医療事故で負う法的責任について解説させていただきました.
医療事故は起こさないのが一番ですが,仕事をしている以上,医療事故が全く起こらないという保証はありません.
何かしらの保険に加入しておくことが重要でしょうね.