目次
理学療法士・作業療法士はクライアントに1回のリハビリでいくらかかるのかと聞かれたらきちんと答えられますか?
理学療法士・作業療法士であればクライアントから1日のリハビリでどのくらいの医療費が必要なのかを問われることって多いと思います.
入院の場合には,入院料や他の医療費とリハビリテーション料が合わさって請求されますので,あまり気にされないことが多いですが,外来でリハビリテーションを行っているクライアントについては,1日のリハビリでどのくらいの医療費について尋ねられることも多いと思います.
理学療法士・作業療法士も知っておきたい1回のリハビリでいくらかかるのかを簡単に計算する方法をご紹介させていただきます.
疾患別リハビリテーション料
まず基本的な疾患別リハビリテーション料について見ていきたいと思います.
疾患別リハビリテーション料によとてはリハビリテーション料Ⅲまで基準が存在しますが,ここでは理学療法士・作業療法士が算定することの多いリハビリテーション料Ⅰとリハビリテーション料Ⅱについて見てみたいと思います.
運動器リハビリテーション料(I)(1単位) 185点
運動器リハビリテーション料(II)(1単位) 170点
脳血管疾患等リハビリテーション料(I)(1単位)245点
脳血管疾患等リハビリテーション料(II)(1単位)200点
脳血管疾患等リハビリテーション料(I)(1単位)245点
脳血管疾患等リハビリテーション料(II)(1単位)200点
廃用症候群リハビリテーション料(I)(1単位)180点
廃用症候群リハビリテーション料(II)(1単位)146点
呼吸器リハビリテーション料(I)(1単位)175点
心大血管疾患リハビリテーション料(I)(1単位)205点
どう計算すればよいのか?
厳密に言えば初期加算,早期加算,逓減まで考慮する必要がありますガ,私の場合には頭の中で以下のような計算をした上でおおよその料金をお伝えいたします.
運動器・呼吸器・心大血管・廃用は200点⇒2000円
脳血管は250点⇒2500点
こんな形式で単純計算していることが多いです.
あくまで概算ですので,おおよそこのくらいですといった伝え方をすることが重要でしょうね.
運動器・呼吸器・心大血管・廃用であれば1単位で2000円,2単位で4000円,3単位で6000円ということになります.
脳血管であれば1単位で2500円,2単位で5000円,3単位で7500円ということになります.
ここでもう1つ考慮する必要があるのが医療費負担割合です.
基本的には70歳未満は3割ですし,75歳以上は1割となります.
難しいのは70歳以上75歳未満の高齢者です.
70歳以上75歳未満の高齢者は所得により2割または3割負担となります.
70歳以上75歳未満の高齢者が診療を受ける場合は,所得によってかかった医療費の2割または3割を窓口で負担することになりますので,難しいですが事前に聞いていた医療費よりも安く請求されて憤慨される方は少ないと思いますので,とりあえずは3割で計算しておくと問題が少ないでしょう.
つまり75歳未満は3割,75歳以上は1割で計算してしまうとよいでしょう.
ここからは今の話を踏まえて皆さんに簡単なクイズを出してみたいと思います.
いくらかかるか答えられますか?
クイズ①
50代男性,右腓骨遠位端骨折の外来リハのクライアントに40分のリハビリでいくらかかるか聞かれました.
すぐに答えられますか?
この場合は初期加算や早期加算,提言は無視して答えてください.
⇒正解は200点×2単位×3割負担ですので,1200円になりますね.
もう1問考えてみてください.
クイズ②
80代女性,脳出血後の外来リハのクライアントに60分のリハビリでいくらかかるか聞かれました?
すぐに答えられますか?
この場合は初期加算や早期加算,提言は無視して答えてください.
⇒正解は250点×3単位×1割負担ですので,750円になりますね.
最後の問題です.
クイズ③
73歳女性,肺炎後の外来リハのクライアントに20分のリハビリでいくらかかるか聞かれました?
すぐに答えられますか?
この場合は初期加算や早期加算,提言は無視して答えてください.
⇒正解は200点×1単位×3割(場合によっては2割ですが)負担ですので,600円になりますね.
入院中の場合には
日本には高額療養費制度がありますので,入院中になるとまた話は変わってきます.
収入によっても異なりますので,クライアントから収入に関する情報を聞き出す必要がありますが,現実的には難しいですよね.
基本的にはおおよそ支払いの上限は50,000~140,000円/月と考えてもらえば良いと思います.
手術をした月や急性期の病院,回復期リハビリテーション病院でも入院料だけで上限を超えることも多いので,リハビリを多くやっても少なくやってもかかるお金はあまり変わらないのが実際です.
入院中の方にリハビリ料に関して聞かれる機会もゼロではありませんので,適切な回答をしたいものですが,高額療養費制度まで考慮する必要がありますので,ここは事務員に聞いてくださいといった回答の方が無難かもしれませんね.
理学療法士・作業療法士も知っておきたい1回のリハビリでいくらかかるのかを簡単に計算する方法をご紹介させていただきました.
今回ご紹介いたしました計算方法というのは正確な数字を算出するものではありませんが,短時間でクライアントの問いに答える上では有用だと思います.
計算も簡単なので身につけておきたいですね.
もちろん実施計画料等の加算は含まれていないといった点にも注意が必要でしょうね.