目次
理学療法士・作業療法士国家資格って歴史が浅い?
第56回理学療法士・作業療法士国家試験が執り行われます.
理学療法士・作業療法士という国家資格ができてから56年も経つのだなと感じる一方で,理学療法士・作業療法士の国家資格の歴史って他の医療職種に比べてどうなのでしょうか?
今回は理学療法士・作業療法士国家資格の歴史について他の職種との比較を踏まえて考えてみたいと思います.
理学療法士:56年
まず理学療法士国家資格ですが,1965年(昭和40年)に理学療法士および作業療法士法施行されたのが始まりですので,理学療法士が国家資格として認められてから実に56年の年月が経過するということになります.
1965年6月29日に「理学療法士及び作業療法士法」が国会にて成立し,8月29日に公布施行されております.
この理学療法士および作業療法士法の施行によって,それまで曖昧だった「理学療法士・作業療法士」の職能が公式に定義され,次年に実施される国家試験が行われる基盤が整うこととなりました.
1966年には第1回理学療法士・作業療法士国家試験が実施されたわけですね.
ちなみに第1回目の理学療法士合格者は183名でした.
今の50分の1といった数ですね.
ひとの動きを専門とする唯一の医療専門職がわが国で初めて誕生したことになります.
さらにこの年には第1回理学療法士学術大会が東京大学で開催されております.
学術大会のテーマは「PT管理と運営」で,演題数は5題であったようです.
作業療法士:56年
作業療法士国家資格も1965年(昭和40年)に理学療法士および作業療法士法施行されたのが始まりですので,作業療法士が国家資格になってから56年が経過したことになります.
これは理学療法士と同様ですね.
話が横道にそれますが,作業療法士の場合には実は作業療法の定義について何度か見直しを行っております.
専門職団体として,作業療法の技術や役割や範囲を明確に示し,もって作業療法士自身の活動を支える基盤とすべく「作業療法の定義」を策定してきたわけですね.
まずは1985年(昭和60年)に日本作業療法士会として「作業療法の定義」を定めております.
また2018年にも新しい定義を見直しております.
この点は理学療法士と大きく異なる点です.
言語聴覚士:24年
実は言語聴覚士は,理学療法士・作業療法士に比較するとかなり歴史が浅いんですね.
言語聴覚士の場合には,高齢化社会を背景として,1997年に行政主導による国家資格資格化を目指すことになりました.
言語聴覚士法では,理学療法士・作業療法士法とは異なり,受験資格について,4年制大学卒業者に対する2年以上の課程など,受験資格を拡大させており,多様なルートでの養成がなされることになりました.
また言語聴覚士は業務独占資格ではなく名称独占資格であることも特徴ですね.
医師:115年
次に医師の国家資格に関してその歴史をひも解いてみたいと思います.
医師の国家資格化は明治39年(1906)に制定された医師法が元になります.
実に理学療法士・作業療法士の2倍以上の長い歴史があるわけですね.
やはり歴史から考えても医学は医師抜きには語れませんね.
看護師:110年
看護師の場合には医師に遅れて5年後に国家資格として制定されております.
保健婦助産婦看護婦法が昭和23年に制定されて国家免許となり,昭和25年に第1 回看護婦国家試験が実施された.
最近は看護師がすっかり当たり前になりましたが,昔は看護師ではなく看護婦だったのを改めて思い出しました.
その他の医療職種における国家資格の歴史
その他の職種についても見てみたいと思います.
薬剤師:106年
臨床検査技師:67年
診療放射線技師:73年
社会福祉士:33年
柔道整復師:29年
こんな感じですね.
今回は理学療法士・作業療法士国家資格の歴史について他の職種との比較を踏まえて考えてみました.
こう見ていくと理学療法士・作業療法士の国家資格というのは他職種に比較するとまだまだ浅く,医療全体の中では比較的新しい職種であるといえますね.
柔道整復師なんかは国家資格になってまだそんなに経ってないんだということに驚きましたが…