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株式会社gene主催 日本理学療法士協会半田会長ライブ配信 「2020年 職域維持と雇用安定への闘い」
2021年2月5日に株式会社geneの主催で,日本理学療法士協会の半田会長の講演がライブ配信されました.
Youtubeでは4000回を超える視聴があります.
普段,日本理学療法士協会の会長ってどんな活動をされているのかご存じない方も多いと思いますが,このLIVE配信を聴講して私自身の日本理学療法士協会の見方も変わりました.
組織の上に立つ人が何を考え今後の組織の在り方や方針をどのように考えているのかを知っておくことは重要だと思います.
今回はこの日本理学療法士協会の半田会長の講演について印象に残ったポイントをまとめさせていただきます.
保健事業と介護予防の一体的実施
- 一昨年の10月から始まった厚生労働省が打ち出した保健事業と介護予防の一体的実施を行う主体が保健師,管理栄養士,歯科衛生士等と明示された.
- この中に理学療法士・作業療法士・言語聴覚士といったリハビリテーション専門職が含まれていなかった.
- 介護予防の主体に理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が含まれないのはどう考えても不条理である.
- 半田会長の熱心な交渉によって議員連盟総会で理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の名称が追記された.
- 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のこれまでの活動に理解を示してくれた国会議員が多く存在したことで厚生労働大臣の決定事項を覆すことができた.
- これまでの理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の各市町での活動も今回の決定事項を覆す決定に寄与した.
令和3年度介護報酬改定
- 2020年8月の介護給付費分科会において訪問看護ステーションにおけるリハビリテーション専門職の数が多すぎるといった指摘がなされた
- 訪問看護ステーションなのに看護職が2割,軽度者に対して延々とサービスを提供している
- 看護職を6割以上,リハビリテーション専門職を4割以下とするといった改定案も出された
- 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の署名だけでは弱いので利用者の署名を集めることが重要だと考えた
- 見事な結束力で利用者の署名を10日間で10万票集めることができた
- 半田会長からリハビリテーションを考える議員連盟へも相談を持ち掛けた
- 看護師が常に6割以上でならないというのは経営上も困難を極める,看護師が1名辞職するとリハビリテーション専門職が1.5名辞職する必要があり,安定雇用が継続できなくなるといった点を多くの議員へ説明
- 最終的に看護職を6割以上,リハビリテーション専門職を4割以下とする改定案は却下された
- 訪問リハビリテーションの将来については決して暗くない,在宅医療として拡大することが予測されるが,これまで以上に急性期・亜急性期のクライアントに対するサービスが求められてくることが予測される
- しかしながら現状では訪問看護における訪問リハビリテーションはあくまで訪問看護の代行であり,今後は訪問リハステーションの設置を進めていく必要がある
日本理学療法士協会の役割
- 半田会長が会長になって14年目をむかえる
- 半田会長が考える日本理学療法士協会の存在意義は?
- 半田会長が考える日本理学療法士協会の大きな役割は2020年を経験して会員に対する「安全保障」だと確信した
- 安全保障を行うためにも理学療法士の会員が臨床的にも科学的にも優れていなければ戦うことができない
- 最終的には理学療法士の臨床的・科学的な研鑽が安全保障につながる
自費リハについては
- 覚悟が必要
- トラブルを起こさないような知識が必要
- 理学療法士の仕事も生命にかかわる仕事であり,個人で行うということの危険性を認識すべき
- 日本理学療法士協会としては自費リハビリテーションを推奨する,推奨しないといったことに関して言及できない
疾患別リハビリテーションについて
- 重複障害を抱える高齢者が増える中で疾患別リハビリテーションを続けられるか
- 総合的なリハビリテーション(簡単・複雑)の時代に戻れないか?
- 厚生労働省は疾患別リハビリテーションにあまり固執していない
- よいフレームワークがあれば提案すれば変えられる?
- 一方で疾患別リハビリテーションは理学療法士が分野別に疾患の知識を学びやすい
理学療法士の未来
- 「運動を行わせ…」といった法律の文言に対して,現行は理学療法士が提供するサービスがクライアントが受け身の「やってあげるサービス」に多くの時間が割かれている
- そのためコロナ禍で密着できなくなったことで仕事が少なくなった
- 急性期で理学療法士の感染予防が不十分なためICUから排除された
- 高い水準で感染予防に関する教育が必要である
- 臨床実習が経験できていない新卒理学療法士が多く誕生する今後に対して,日本理学療法士協会の対応が必要
- 職場教育もこれまで以上の教育システムの整備が必要
- 訪問分野などは実習経験もない状況で新卒理学療法士の就職先としては困難は極める
認定理学療法士・専門理学療法士のインセンティブについて
- 診療報酬上の加算の可能性は低い
- 循環器であれば循環器病学会とタッグを組むなどの方向性が必要
- 家庭内のルールを国に求めるのは難しい⇒これは腑に落ちました
- 診療報酬上のプラス改定は今後難しい
- 診療報酬上のプラス改定にはエビデンスが必須
- エビデンスが無いと門前払い
- 公衆衛生に関する教育も必要
今回はこの日本理学療法士協会の半田会長の講演について印象に残ったポイントをまとめさせていただきました.
組織の上に立つ人が何を考え今後の組織の在り方や方針をどのように考えているのかを知っておくことは重要だと思います.
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の皆様もお時間がございましたら是非ご覧ください.
JPTA 半田会長ライブ配信 「2020年 職域維持と雇用安定への闘い」
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