トレンデレンブルグ兆候の原因は中殿筋の筋力低下だけじゃない

人工股関節全置換術
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トレンデレンブルグ兆候の原因は中殿筋の筋力低下だけじゃない

トレンデレンブルグ兆候といえば変形性股関節症例や大腿骨近位部骨折例にしばしば見られる歩容です.

変形性股関節症例におけるトレンデレンブルグ兆候は前額面の臼蓋被覆を減少させ,股関節痛を引き起こす原因となります.

また大腿骨転子部骨折例においてはトレンデレンブルグ兆候が大腿骨頸部の曲げモーメントを増大させるため,骨膜由来の疼痛の原因にもなります.

トレンデレンブルグ兆候といえば古くからトレンデレンブルグ兆候=は中殿筋の筋力低下と考えられてきましたが,実はトレンデレンブルグ兆候の原因は中殿筋の筋力低下だけではありません.

今回はトレンデレンブルグ兆候の原因は中殿筋の筋力低下だけじゃないといったお話です.

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トレンデレンブルグ徴候を考える際に重要なこと

トレンデレンブルグ兆候といえば古くからトレンデレンブルグ兆候=は中殿筋の筋力低下と考えがちですが,まずトレンデレンブルグ兆候といえば「片脚立位時に骨盤水平位を保持できない」といった現象であるといったところに立ち戻ることが重要です.

この視点に立ち戻ることができれば,なぜ骨盤を水平位に保つことができないのかについて考えることができるようになります.

理学療法士教育の中でトレンデレンブルグ兆候=は中殿筋の筋力低下の公式が強調されすぎた感はありますよね…

ここからは中殿筋の筋力低下以外にトレンデレンブルグ兆候の原因となる要因を考えてみたいと思います.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同側股関節外転可動域制限

まず同側の股関節外転可動域制限がある場合にも骨盤水平位を保つことが難しくなります.

外転可動域制限の原因としては,内転筋群の短縮や過緊張等が考えられます.

仮に同側股関節の外転可動域制限がなかったとしても歩行時に内転筋群の過緊張によって股関節内転位で荷重を強いられる場合には,結果的に骨盤水平位の保持が困難となります.

 

 

 

 

 

 

 

対側股関節内転可動域制限

また注意が必要なのが,対側股関節の影響です.

対側の対側股関節の中殿筋・大腿筋膜張筋等に短縮があって,対側股関節の内転可動域が制限されると,結果的に骨盤水平位の保持が困難となり,骨盤は対側へ傾斜してしまうことになります.

 

 

 

 

 

 

 

反対側への体幹側屈可動域制限

また骨盤水平位の保持に影響を与えるのは股関節だけではありません.

体幹の側屈方向の可動域制限があれば,骨盤水平位の保持は困難となります.

特に腹斜筋群・腰方形筋・脊柱起立筋・大腰筋に短縮や過緊張があると反対側への体幹の側屈が制限されることになりますので,最終的に骨盤水平位を保てなくなってしまいます.

 

 

 

 

 

 

同側膝関節の外反

これもトレンデレンブルグ兆候によく見られる原因です.

膝関節に外反変形があったり,歩行時に動的な膝関節の外反を伴う場合には,足部を床面に垂直位で接触させようとすると股関節は内転位となります.

そのため結果的に骨盤を水平位に保持することが困難となり,トレンデレンブルグ兆候が出現します.

 

 

 

 

 

 

同側股関節伸展可動域制限・体幹伸展可動域制限・同側膝関節伸展可動域制限

トレンデレンブルグ兆候と聞くと前額面のアライメントばかりに目が行ってしまいますが,矢状面の問題でトレンデレンブルグ兆候が出現する可能し得もあります.

歩行時には股関節・膝関節が伸展位になることで,身体を前方に推進させる力を得ることができます.

股関節・膝関節に伸展可動域制限があると代償的に前額面や水平面へ動かざるえず,結果的に骨盤の水平位保持が困難となってしまいます.

 

今回はトレンデレンブルグ兆候の原因は中殿筋の筋力低下だけじゃないといったお話でした.

トレンデレンブルグ兆候=中殿筋の筋力低下と短絡的に考えず,なぜ骨盤の水平位保持が困難なのかといった視点に立ち戻って考えることが重要になるでしょうね.

中殿筋の筋力低下がトレンデレンブルグ兆候の原因になっている場合もありますが,その他の原因も非常に多いので,理学療法士・作業療法士の皆様も原因を見極める姿勢を大切にしたいですね.

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