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理学療法士・作業療法士のクライアントのズボンのゴムを持っての介助って…
理学療法士・作業療法士であれば移乗や歩行練習の際に介助を行う機会は多いと思います.
動作介助を行う際には転倒事故を回避する必要がありますが,理学療法士・作業療法士が移乗動作や歩行の介助を行う際によく見られる光景がクライアントのズボンを持って介助する方法です.
でもこのクライアントのズボンを引き上げての介助の方法ってどうなのでしょうか?
今回は理学療法士・作業療法士のクライアントのズボンのゴムを持っての介助について考えてみたいと思います.
重心に近いところを介助する
理学療法士・作業療法士の皆様にとっては釈迦に説法となってしまいますが,静止立位では人間の重心というのは第2仙椎前方に位置します.
物理学的には物体を持ち上げたり,移動させたりする際には重心に近いところに力を加えた方が効率が良いわけです.
実は理学療法士・作業療法士が行うズボンのゴムを持って引き上げる介助というのはこういった人間の重心位置を考えると理にかなっていると考えることもできます.
急な膝折れに対応できる
歩行練習中の転倒事故の発生原因として多いのが膝折れです.
膝折れして急激に重心が下方に移動するとそれに対応できず転倒してしまうということも少なくないでしょう.
ズボンのゴムを持っての介助というのはこういった膝折れによる重心の急な沈み込みに対しては非常に有効です.
ズボンのゴムを引き上げておけば急な重心の沈み込みに即座に対応できます.
リスク管理の面から考えても理学療法士・作業療法士が行うズボンのゴムを持っての介助というのは理にかなっているように思います.
クライアントにとっては不快でしかない
ただ考えてみてください.
ズボンのゴムを引き上げての介助というのはクライアントにとっては不快でしかありませんよね.
ズボンがお尻に食い込んでしまいますし,ズボンが引き上げられて半パン状態になってしまっているクライアントもたまに見かけます.
外観もよくありません.
ズボンや下着がお尻に食い込むのってとても不快ですよね.
リスク管理の面から考えると理学療法士・作業療法士が行うズボンのゴムを引き上げる介助というのは理にかなっているのかもしれませんが,クライアントにとっては不快でしかないわけですね.
骨盤ベルトの使用が理想
病院や施設によっては腰部に装着できる骨盤ベルトを使用されている方も多いと思います.
腰部に骨盤ベルトを装着することで重心の近い位置で介助を行うことが出来ますし,何よりクライアントに対しても不快感を与えることなく動作支援を行うことができます.
骨盤ベルトの装着にはひと手間かかってしまうわけですがどうしても転倒のリスクが高くて,ズボンのゴムを引き上げて介助をせざるを得ないといった場合には骨盤ベルトの使用が望ましいでしょうね.
今回は理学療法士・作業療法士のクライアントのズボンのゴムを持っての介助について考えてみました.
安全性を取るかクライアントの快適さを取るかという話にはなってしまいますが,理学療法士・作業療法士はこの安全性と快適さという2つの要素を満たしながら動作支援が行えるとよいですね.
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