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職場内の勉強会で理学療法士・作業療法士は何を発表したら良い?
理学療法士・作業療法士の職場では伝統的に勉強会が持ち回りで行われる場合が多いです.
医療・リハビリテーションも日進月歩ですので,常に新しい知識をアップデートするためには,職場内で勉強会を定期的に開催することには非常に意味があります.
しかしながら若い理学療法士・作業療法士にとってはこの勉強会が負担になることも多いようです.
来月勉強会の当番なんだけど発表するネタが見つからないなんて理学療法士・作業療法士も多いのではないでしょうか?
また勉強会における発表内容によっては参加者も時間を浪費してしまうこととなります.
今回は職場内の勉強会で理学療法士・作業療法士は何を発表したら良いかについて考えてみたいと思います.
ラーニングピラミッドから考える効果的な勉強会とは?
理学療法士・作業療法士の皆様もラーニングピラミッドというモデルを耳にされたことがあると思います.
ラーニングピラミッドというのは,どういった学習方法による学習が定着しやすいのか,その定着率を示したものです.
講義を受ける,本を読むといった受動的な学習では学習の定着率は低くなります.
一方で人に説明する,自ら体験する,グループ討論といった能動的な要素が含まれれば学びを吸収しやすくなります.
理学療法士・作業療法士の皆様も経験がありませんか?
学生時代に講義で勉強した内容はあまり頭に残っていないにもかかわらず,臨床実習で体験したことや,自分で考えた内容って頭に残りやすいですよね.
このラーニングピラミッドの考え方は理学療法士・作業療法士の勉強会にも応用できると思います.
参加者が能動的に学べるかどうかが重要となるわけです.
理学療法士・作業療法士にとって好ましくない勉強会の特徴
理学療法士・作業療法士の勉強会でよくあるパターンですが,担当スタッフが読んだ文献の情報をまとめ,他のスタッフに共有して終わるといったものです.
情報をまとめた理学療法士・作業療法士にとっては,文献内容を整理して人に伝える過程で学習が定着するわけですが,参加者はというと一方的にまとめを聞くだけでは,あまり有意義な時間を過ごすことはできません.
本の読み合わせなんかはもっとも非効率的ですね.
自分で読んだ方が頭に入りますし,集まって勉強する意味がありません.
ラーニングピラミッドで考えても,話を聞くだけ,本を読むだけといった学習方法では,なかなか知識も定着しませんよね.
こういった勉強会が続くと勉強会に参加する意欲も薄れてしまいます.
文献・書籍の内容を音読するだけではなく手,その後にそれぞれの考えをぶつけあって議論ができれば,知識の定着率も高まりますので,文献情報をまとめるような発表の場合には少し工夫が必要です.
理学療法士・作業療法士にとって好ましい勉強会の特徴
好ましい勉強会がどのようなものかは人それぞれかもしれませんが,理学療法士・作業療法士であれば勉強会に参加したことで,スキルアップにつながったとか,臨床の視点がプラスされたいった視点が重要です.
何よりクライアントの理学療法・作業療法に生かせる知識を身につけることが最も重要なポイントです.
先ほどのラーニングピラミッドで考えると,動画を含めた症例報告,実技・手技の実演,デモンストレーション,症例検討におけるディスカッション,実技・手技の体験・練習なんかが折り込まれると,知識の定着率が高まります.
仕事終わりの勉強会で,テキスト羅列のスライドが続けば,眠たいだけですよね.
また実技なんかも,ただただ説明を聞くだけではなくて,ペアになって体験したり,効果を体感できると深い学びにつながります.
実技を伴わないような場合でも,質問や意見が活発に出てきて討議ができる勉強会では,自分でも能動的に思考しますし,さまざまな人の知識や見解に触れることができます.
理学療法士・作業療法士が勉強会のネタ探しに使えるヒント
理学療法士や作業療法士の勉強会で,自分が発表する順番が近づいてくると,ネタ探しに苦労される方も苦慮する方少なくないと思います.
参加した学会・研修会の情報を共有する
学会や研修会に参加する機会があれば、そこで得た知識を共有するという方法もあります.
ネタとしてはとてもわかりやすいですが,講義的な内容になってしまいやすいので,一方的に内容を紹介して終わりということがないようにしましょう.
自分の担当している症例と関連付けながら講義の内容を整理できると非常に良いですね.
また○○先生がこう言っていたで終わるのではなくて,一歩踏み込んでreferenceとして使用されていた文献を調べた上で,自身の考えを述べるといったような内容が良いでしょうね.
抄読した論文を発表する
理学療法士・作業療法士にとって,論文抄読は非常に重要です.
ただこの場合にも,ただ情報を羅列して終わりではなく,そこから自分自身がどう思ったのか,そこから得られた情報を自分の担当しているクライアントにどう生かしたのかといった経験的な部分を含めることが重要です.
一方向的な発表ではなくて,論文抄読内容をネタに理学療法士・作業療法士間で議論がなされるところに大きな意味があります.
症例検討
私が個人的に考える最も意義のある勉強会の内容というのはやはり症例報告だと思います.
若い理学療法士・作業療法士は,こういった介入で良いのだろうか?先輩理学療法士・作業療法士であればどう考えるのだろうか?と頭を悩ませながら日々仕事をされていると思います.
勉強会の場で症例報告を行って,そこでさまざまなアドバイスを得られれば組織としてもこれだけ有益なことはありません.
症例報告だとディスカッションも盛り上がりやすいですし,症例報告ってやっぱり理学療法士・作業療法士の原点ですよね.
今回は職場内の勉強会で理学療法士・作業療法士は何を発表したら良いかについて考えてみました.
ネタも大切ですが,若手の発表者をつぶすような勉強会であってはいけませんね.
建設的かつ若手理学療法士・作業療法士の学習意欲を高めるような管理者・先輩理学療法士・作業療法士の立ち回りも非常に重要でしょうね.
せっかく勉強会をやるのであれば意味のある時間を過ごせる内容・形式・雰囲気作りが重要ですね.
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