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認定理学療法士の新規取得・更新要件から症例レポートが無くなっている
現行の生涯学習制度では,認定理学療法士の新規取得や更新の際には規定された生涯学習ポイントの取得に加え,症例レポートの提出が必要となります.
このポイントとレポートに加えて,年度末に行われる試験に合格すれば,晴れて認定理学療法士となれるわけですね.
ただこの症例レポートの審査に関しては賛否両論ありました.
本当に客観的な審査が行えているのかもあやしいものでした.
実は新生涯学習制度では認定理学療法士の新規取得・更新要件の中から症例レポートの提出が無くなっているのです.
今回は認定理学療法士の新規取得・更新要件から症例レポートが無くなっている件について考えてみたいと思います.
新生涯学習制度における「認定理学療法士・専門理学療法士更新」の基本構造
これは以前にもご紹介させていただいた内容です.
現在のところ制度が確定している状況ではなく,まだ案の段階で総会に提出されたものです.
しかしながら大きな反対がなければこの案が採用される可能性は高い状況です.
新生涯学習制度として提示された認定理学療法士・専門理学療法士の更新要件というのは,認定理学療法士・専門理学療法士ともに共通のもので以下の要件を満たすと認定理学療法士・専門理学療法士の更新が可能となります.
基本的には以下の1から3の何れも満たすことが認定理学療法士・専門理学療法士更新の条件となります.
1.維持・研鑽のための活動における100点の取得(点数基準は別に定める)
2.下記のいずれかの活動を1つ行うこと(1. の100点には使用できない)
・都道府県理学療法士会学術雑誌への投稿(筆頭著者に限る)
・ブロック主催学会での一般発表の筆頭演者
・都道府県理学療法士学会での一般発表の筆頭演者
3.更新時研修(集合研修1日程度でe-ラーニングも準備を想定)
認定理学療法士の更新に際しても学会での発表を義務付けているというのが特徴だと思いますが,一方でこれまで必須であった症例レポートに関する記述は一切見当たりません.
200例もの審査
現在のところ認定理学療法士新規申請・更新における症例レポートの審査というのはその領域の専門理学療法士が中心となって行っております.
昨今は新規申請者の数が3,000名を超えている状況ですので,審査するレポートの数も非常に多くなってきておりました.
私自身も昨年・一昨年とレポート審査を経験しましたが,1名あたりのレポート審査の数が200症例と莫大な数で審査を行うにもかなりの時間を要しました.
かなりの作業に疲弊した専門理学療法士も多かったことと思いますし,今後さらに新規申請者に加えて更新申請者が増えれば対応が難しいわけです.
仕事量が多すぎて症例レポート審査自体が難しく廃止となった可能性は否めません.
客観性が担保されない
また問題となるのが客観性です.
専門理学療法士が審査を行っているわけですが,基本的にレポートは1名の専門理学療法士が審査を行っておりますので,甘口の審査員もいれば,辛口の審査員もいるわけですね.
辛口の審査員にあたったばかりに不合格になるということもあったでしょう…
こういった審査を行う場合には複数名での審査が理想ではありますが,数がキャパシティを超えており,複数名での審査が難しかったのも実際でしょう.
審査不合格者には再度他の審査員の審査を受ける権利が与えられておりましたが,いずれにしても客観性という面では公平でない部分が非常に大きかったと言えるでしょう.
症例をまとめる良い機会になった
理学療法士も一定の経験年数になれば症例報告をする機会って少なくなると思いますので,そういった意味では定期的に症例の情報をまとめる機会というのは非常に貴重でした.
認定理学療法士制度における症例レポート提出が無くなれば,改めて症例レポートをまとめる機会ってあまり無いといった理学療法士が多いのが実際ではないでしょうか?
今回は認定理学療法士の新規取得・更新要件から症例レポートが無くなっている件について考えてみました.
認定理学療法士制度から症例レポートが無くなるのは個人的には残念な気もしておりますが,現状からすれば仕方ない状況かもしれませんね.
現行では10例の提出が義務付けられておりましたが,もう少し症例数を少なくして提出を義務化する等の方法もありではないかと思ったりしますが…
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