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胸腰椎圧迫骨折例に自転車エルゴメーターは禁忌?
理学療法士・作業療法士が心肺機能の改善や下肢筋持久力向上を目的として自転車エルゴメーター駆動をプログラムとしてクライアントに行ってもらうことは多いと思います.
このブログの中でも自転車エルゴメーター駆動時の運動強度設定について以前にご紹介させていただきました.
でも皆さん,自転車エルゴメーター駆動が禁忌な場合があるってご存知ですか?
今回は胸腰椎圧迫骨折例に自転車エルゴメーターは禁忌である件について考えてみたいと思います.
自転車エルゴメーターの禁忌について
自転車エルゴメーターの説明書を確認されたことはありますか?
あまり確認することなく使用されている理学療法士・作業療法士も多いと思いますが,実はいくつか禁忌が明記されております.
以下に示す人の使用は止めること
心臓病(狭心症,心筋梗塞など)
高血圧症
糖尿病
呼吸器疾患(ぜんそく,慢性気管支炎,肺気腫など)
変形性関節炎
関節リウマチ
痛風
妊娠中の方
骨粗鬆症
幼児または意思表示ができない人
内部障害系の疾患に関してはなんとなく禁忌かなと思われる方も多いと思いますが,変形性関節炎や骨粗鬆症が含まれている点に注意が必要です.
関節炎が著しい状況で自転車エルゴメーター駆動をプログラムに挙げる理学療法士・作業療法士というのは少ないと思われますが,骨粗鬆症の方も禁忌となっている点に注意が必要です.
もちろん骨粗鬆症があっても医師から別に指示をもらえば問題無いわけですが…
なぜ胸腰椎圧迫骨折に対する自転車エルゴメーター駆動は禁忌なのか?
禁忌事項は各メーカーにより差はあると思いますが,自転車エルゴメーター駆動というのはサドルに体重が負荷されますので,骨盤や腰椎にはかなりの力学的負荷が加わります.
そのため骨盤や椎体の脆弱性が高いクライアントに対する使用は避ける必要があります.
腰椎椎間板ヘルニアなんかも危険ですね.
直立位に比較して座位では椎間板内圧が2~3倍に高まりますので,椎間板内圧が上がるという事は椎体への負荷も上がる可能性が高いわけです.
自転車エルゴメーター駆動中に前傾姿勢になるとさらに力学的負荷は増加します.
胸腰椎圧迫骨折例に3単位
自転車エルゴメーター駆動をきちんとした目的で行っていれば問題ありませんが,回復期リハビリテーション病棟なんかでは無理やり3単位を取得するために,時間稼ぎとして自転車エルゴメーター駆動がプログラムとして行われることもあります.
体力アップという名目で自転車に乗せておしゃべりしておけば1単位ゲットできるなんて理学療法士・作業療法士も多いのではないでしょうか?
禁忌のエルゴメーターをわざわざ行う必要はありませんよね.
リカンベントエルゴメーター
胸腰椎圧迫骨折例に対してどうしても自転車エルゴメーター駆動を行いたいのであれば,リカンベントエルゴメーターがお勧めです.
リカンベントエルゴメーターであれば体重負荷が背部へ分散しますし,体幹が後傾位になりますので,椎体に加わる力学的負荷を軽減することができます.
今回は胸腰椎圧迫骨折例に自転車エルゴメーターは禁忌であるについて考えてみました.
結局のところはリスク対効果だと思いますので,リスクがあっても自転車駆動を行う意義があるかどうかを熟考した上で必要であれば医師に指示をもらった上で自転車エルゴメーター駆動を行うということになるでしょうね.
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