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関節穿刺(水を抜く)を行うと癖になるって本当?
変形性膝関節症に合併する症状の1つとして関節水腫が挙げられます.
理学療法士・作業療法士も変形性膝関節症例に対して理学療法・作業療法を行う上では関節水腫を合併したクライアントに関わる機会は少なくないと思います.
関節水腫に関してクライアントからこんな話を聞いたことってありませんか?
「さっき先生に水を抜いてもらったんだけど,水を抜くと癖になるから嫌なのよ」
これって本当でしょうか?
今回は関節穿刺(水を抜く)を行うと癖になるって本当かどうかについて考えてみたいと思います.
関節水腫の影響
関節水腫が生じた場合にはどんな影響が起こるでしょうか?
水腫に伴う疼痛はもちろんですが,膝関節屈曲関節可動域制限の原因ともなります.
水腫が長期に及べば膝関節周囲組織の短縮をきたし関節拘縮が形成されてしまいます.
また関節水腫が生じると,特に膝関節伸展位での筋出力低下が顕著となります.
いわゆる関節原性抑制というやつですね.
このように関節水腫は膝関節機能に悪影響を及ぼしますので可能な限り早期に関節水腫を改善する必要があります.
関節穿刺(水を抜く)と癖になる?
考えてみてください.
関節液というのは抜くから貯まるわけではありませんよね?
関節液というのは関節運動を円滑にするとともに,関節軟骨を栄養する役割があります.
関節液というのは正常では関節軟骨表面を潤すだけのわずかの量ですが,関節の中に炎症が起きると過剰に産生され,結果的に関節水腫が出現します.
イメージ的には鼻炎を起こした際に鼻水がたくさん出てくるの同じです.
鼻炎が治るまでは鼻水を繰り返しかんでも出てくるように,関節穿刺を行っても関節炎に改善が無いとまた貯まってくるわけです.
鼻水をかんだから鼻水が出てくるのではないのと同じで,関節穿刺をした(水を抜いた)から貯まってくるわけでもないのです.
関節水腫の原因を完全に除去することが重要
関節穿刺を行う目的ですが,水が溜まることによって起きる二次的な障害の改善や水腫を引き起こす原因物質を取り除くために行われます.
つまり関節水腫を行うことそのものが関節水腫の改善につながる場合もあるわけです.
基本的には関節炎を引き起こしている原因に対する治療が必要でありますので,関節穿刺は対症療法にすぎないということがおおいわけですが…
また変形性関節症例の場合にはヒアルロン酸を関節内注射することがおおいわけですが,関節液が貯留した状態でヒアルロンサンを注入すると薬液が薄まってしまいますので,結果的に効果が弱まってしまいます.
今回は関節穿刺(水を抜く)を行うと癖になるって本当かどうかについて考えてみました.
理学療法士・作業療法士はクライアントと接する時間も長いのでクライアントに対して関節穿刺に対する適切な説明を行えるようにしたいですね.
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