体内時計(サーカディアンリズム)の乱れがサルコペニアを引き起こす?

介護予防
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体内時計(サーカディアンリズム)の乱れがサルコペニアを引き起こす?

理学療法士・作業療法士がリハビリテーションを提供する非常に多くのクライアントがサルコペニアを合併しているというのは周知の事実です.

これまでサルコペニアに関しては栄養療法やレジスタンストレーニングなどに焦点を当てた報告が多かったわけですが,今回は体内時計(サーカディアンリズム)に焦点を当てた報告をご紹介させていただきます.

理学療法士・作業療法士も新しい視点として知っておきたいですね.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サーカディアンリズムとは?

サーカディアンリズムとは,約24時間周期で変動する生理現象で,動物,植物,菌類,藻類などほとんどの生物に存在しています.

一般的に体内時計ともよばれます.

厳密な意味では,概日リズムは内在的に形成されるものですが,光や温度,食事など外界からの刺激によって修正されるといった等張があります.

動物では24時間の明暗の周期に従っており,完全な暗闇の中に置かれた場合には,24時間に同調しない周期となります.

これをフリーランと呼びます.

こうした非同調した周期は明暗などの刺激によりリセットされます.

脳の視交叉上核が,体内のそうした周期に影響を与えているとみなされており,周期的でない周期におかれることによる概日リズムの乱れは,不快感のある時差ボケを単純に起こしたり,概日リズム睡眠障害となる場合があります.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回ご紹介する論文

Int J Mol Sci. 2020 Apr 28;21(9). pii: E3106. doi: 10.3390/ijms21093106.

Re-Setting the Circadian Clock Using Exercise against Sarcopenia.

Choi Y1, Cho J1, No MH2, Heo JW1,2, Cho EJ1,2, Chang E1,2, Park DH1,2, Kang JH1,3, Kwak HB1,2.

今回ご紹介する論文は2020年に掲載された新しい論文です.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究の抄録

Sarcopenia is defined as the involuntary loss of skeletal muscle mass and function with aging and is associated with several adverse health outcomes. Recently, the disruption of regular circadian rhythms, due to shift work or nocturnal lifestyle, is emerging as a novel deleterious factor for the development of sarcopenia. The underlying mechanisms responsible for circadian disruption-induced sarcopenia include molecular circadian clock and mitochondrial function associated with the regulation of circadian rhythms. Exercise is a potent modulator of skeletal muscle metabolism and is considered to be a crucial preventative and therapeutic intervention strategy for sarcopenia. Moreover, emerging evidence shows that exercise, acting as a zeitgeber (time cue) of the skeletal muscle clock, can be an efficacious tool for re-setting the clock in sarcopenia. In this review, we provide the evidence of the impact of circadian disruption on skeletal muscle loss resulting in sarcopenia. Furthermore, we highlight the importance of exercise timing (i.e., scheduled physical activity) as a novel therapeutic strategy to target circadian disruption in skeletal muscle.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究の抄録

サルコペニアは,加齢に伴う骨格筋の筋肉量と機能の不随意の損失と定義されており,さまざまな健康上の問題と関連しております.

最近では,交替勤務や夜勤性の生活習慣による規則的な概日リズムの乱れが,サルコペニア発症の新たな有害因子として浮上してきております.

体内時計(サーカディアンリズム)の乱れに起因するサルコペニアの基礎的なメカニズムには,分子的な概日時計と概日リズムの調節に関連するミトコンドリア機能が含まれております.

運動は骨格筋代謝の強力なモジュレーターであり,サルコペニアの予防および治療的介入戦略として重要であると考えられております.

運動は骨格筋の体内時計の時間の合図として作用し,サルコペニアの体内時計を再設定するための有効な手段となりうることが,新たなエビデンスによって示されてきております.

このレビューでは,サーカディアンリズムの乱れがサルコペニアの原因となる骨格筋の減少に与える影響についてのエビデンスを提供したものです.

さらに骨格筋のサーカディアンリズムの乱れを標的とした新しい治療戦略として,運動タイミング(すなわち予定された身体活動)の重要性を強調するものです.

 

 

 

今回は体内時計(サーカディアンリズム)の乱れがサルコペニアを引き起こすといった新しい視点をご紹介させていただきました.

やはり規則正しい生活が重要であるといった点,運動が体内時計を再設定させる手段としても有効であるといった点,運動を行う時間帯を習慣化することが重要であるといった点が重要でしょうね.

これはサルコペニアに関連する新しい視点として理学療法士・作業療法士も知っておきたい視点ですね.

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