フォームローラーを用いた自己筋膜マッサージで筋肉痛を軽減できる?

運動療法・物理療法
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フォームローラーを用いた自己筋膜マッサージで筋肉痛を軽減できる?

最近,理学療法士・作業療法士が運動療法に用いる道具の中で使用が増えているのがフォームローラーです.

理学療法・作業療法に限らず,自宅でフォームローラーを用いてセルフトレーニングを行っている方も増えてきております.

フォームローラーにはさまざまな使用方法がありますが,フォームローラーの使用方法の1つとしてフォームローラーを用いた筋膜リリースが挙げられます.

フォームローラーで本当に筋膜がリリースされるのかはおいておいて,今回はフォームローラーを用いた自己筋膜マッサージが筋肉痛軽減に与える影響を調査した報告をご紹介させていただきます.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回ご紹介する論文

Front Physiol. 2019 Oct 16;10:1287. doi: 10.3389/fphys.2019.01287. eCollection 2019.

Self-Myofascial Release Effect With Foam Rolling on Recovery After High-Intensity Interval Training

Guillaume Laffaye 1 2 3, Debora Torrinha Da Silva 1 2, Arnaud Delafontaine 1 2

Affiliations expand

PMID: 31681002 PMCID: PMC6805773 DOI: 10.3389/fphys.2019.01287

今回ご紹介する論文は2019年に掲載された比較的新しい論文です.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究の目的

The goal of this experiment was to assess the impact of self-myofascial massage with the aid of a foam roller on a lower limb immediately after high-intensity interval training (HIIT), using the Tabata protocol (20 s work/10 s rest, repeated 8 times), according to selected recovery variables.

この研究では一定のプロトコルを用いた高強度インターバルトレーニング(HIIT)の直後に下肢に対してフォームローラーを用いて自己筋膜マッサージを行うことで筋肉痛がどの程度軽減するかを明らかにすることを研究目的としております.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究の方法

The method used Tabata squats (20 s of air squats/10 s of rest, repeated 8 times), after which the subject performed three series of self-myofascial massage with a foam roller on one leg, the other leg being used as the control. Biomechanical lower limb performance was assessed through a squat jump, a countermovement jump, and a hopping on the spot test. Flexibility was assessed through the active and passive range of motion at the hip, knee, and ankle. Pain was measured by recording the delay of muscle soreness (DOMS). Measurements were recorded immediately after the workout, then 24 and 48 h later. Twenty healthy males participated in the study.

対象は20名の健常男性としております.

タバタ式スクワット(20秒のエアスクワット/10秒の休息を8回繰り返し)を行った後に,対象者は片側下肢にフォームローラーを使用して自己筋膜マッサージを3回続けて行っております.

バイオメカニクス的なパフォーマンスとして,スクワットジャンプ,カウンターモビルメントジャンプ,ホッピングオンザスポットテストを用いて評価が行われと選ります.

柔軟性については股関節・膝関節・足関節の自動および他動可動域を測定しております.

疼痛については遅発性筋痛(DOMS)を記録しております.

測定についてはスクワット運動実施直後,24時間後,48時間後のタイミングで行っております.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究の結果

The results revealed no effect on jumping performance, in terms of height, leg stiffness, power or force output. Additionally, HIIT had a significant impact on muscle damage, as revealed by the reduction in performance 48 h later (-9.7% for the countermovement height). The self-myofascial release decreased DOMS by 50% for the massaged leg compared with 20% for the control leg and increased the hip range of motion by approximately 4.2% for the massaged leg in comparison with the unmassaged leg.

結果ですがジャンプのパフォーマンス(高さ・下肢筋の高度・パワー)に有意な影響は認めませんでした.

高強度インターバルトレーニングは筋損傷に有意な影響を与え,48時間後のパフォーマンスが有意に低下しておりました.

フォームローラーを用いた自己筋膜リリースを行っていない下肢の遅発性筋痛の軽減が20%減少であったのに対して,フォームローラーによる自己筋膜リリースを行った下肢については遅発性筋痛が50%減少しておりました.

またフォームローラーを用いた自己筋膜リリースを行った下肢では,フォームローラーを用いた自己筋膜リリースを行っていない下肢と比較して股関節可動域が約4.2%増加しました.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究の結論

This experiment reveals the poor effect of self-myofascial release on regaining the initial value of performance but could be useful for reducing DOMS after high-intensity interval training.

この研究結果から,フォームローラーを用いた自己筋膜リリースは高強度インターバルトレーニング後の遅発性筋痛(筋肉痛)の軽減に役立つ可能性があります.

 

今回はフォームローラーを用いた自己筋膜マッサージが筋肉痛軽減に与える影響を調査した報告をご紹介させていただきました.

フォームローラーは昨今大流行しているだけにこういったデータというのは有益ですね.

理学療法士・作業療法士の視点としてはどのようにフォームローラーを用いてリリースを行うかといった点も重要だと思いますので,方法の相違による効果の違いを検証した報告なんかも今後待たれますね.

 

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