目次
医療機関に勤務する理学療法士・作業療法士が設置した手すりが邪魔になっている件
理学療法士・作業療法士の皆様も医療機関に勤務する理学療法士が設置した手すりが邪魔になっているなんて話ってよく聞きませんか?
医療機関の理学療法士・作業療法士が退院前訪問に行って,なんとなく手すりを設置したはよいものの自宅に退院したらほとんど使わなくて,むしろ動線を妨げて邪魔になっているなんて話です.
訪問リハビリテーションに携わる理学療法士・作業療法士の方であれば,何の目的でこんな所に手すりを設置したのだろうといった思いを持たれることは少なくないと思います.
今回は医療機関に勤務する理学療法士・作業療法士が設置した手すりが邪魔になっている件について考えてみたいと思います.
なぜ住宅改修で設置した手すりが不要になるのか?
医療機関で勤務している理学療法士・作業療法士も何も考えず手すりの設置を勧めるわけではないと思います.
医療機関でクライアントの移動能力を評価して,場合によっては退院前訪問指導で自宅内での移動能力を評価した上で手すりを設置を勧めることが多いと思います.
ではなぜ必要なはずの手すりが必要無くなるのでしょうか?
答えは簡単です.
在宅に帰るとクライアントの能力が変化するからです.
回復期リハビリテーション病棟で1日3時間リハビリテーションを行っていた人が自宅へ帰って能力が低下して,結果的にトイレはPトイレを使用することとなり,トイレまでの動線に設置した手すりが不要になるなんて言うことはよくある話です.
また逆も然りです.
退院時にはまだ手すりが必要であったとしても,退院後数週が経過すれば差に能力が向上し,手すりが全く不要になるなんてことも日常茶飯事だと思います.
住宅改修よりもまずは福祉用具貸与を考えよう
上述したように在宅復帰後ってクライアントの能力が大きく変化します.
ですので入院中に退院後1ヶ月後にどのような生活をされるかというのは予測しづらいところがあります.
また住宅改修で手すりを設置してしまうとなかなかその手すりを除去するのって難しいですよね.
こんな場合には,住宅改修で手すりを取り付けてしまうのではなくて,福祉用具を貸与して手すりを設置するといった方法が勧められます.
最近は設置型の手すりというのもかなりさまざまなバリエーションがありますし,最近では段差に対応したものもあり,非常に便利です.
福祉用具として貸与した場合には必要なくなれば取り外すこともできますし,現実的です.
福祉用具の貸与というのはお試し的に手すりを設置するイメージです.
家を傷つけることもないのでクライアントやクライアントの家族も気軽に導入できます.
退院後に数カ月して貸与した手すりの使用頻度が高く,本当に必要性を感じれば住宅改修で手すりを設置すればよいわけです.
つまり退院前のような在宅復帰後の生活が見えにくい状況で住宅改修をするのは時期尚早だということです.
福祉用具貸与にもデメリットもある
もちろん福祉用具の貸与にもデメリットもあります.
長期間貸与すれば実費も増えてしまいますし,何よりも住宅改修で設置する手すりとは異なり,場所を取ってしまいます.
さらに住宅改修で設置した手すりとは異なり,しっかり固定されているわけではありませんので,場合によっては安全面で問題となる可能性もあります.
今回は医療機関に勤務する理学療法士・作業療法士が設置した手すりが邪魔になっている件について考えてみました.
まずは在宅復帰後の生活をイメージした上で,福祉用具の貸与を優先的に行うことを考えた方がよさそうですね.
その旨も含めて在宅リハビリテーションを担う理学療法士・作業療法士に申し送りまで行えるとベストですね.
コメント