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MMT第10版はどこが変わったのか? 理学療法士・作業療法士必見 足関節背屈筋群のMMTの3-5の検査肢位が背臥位に
理学療法士・作業療法士が養成校時代に使った書籍の中で使用頻度の高かった書籍として徒手筋力検査法の教科書が挙げられると思います.
私は学生時代に第7版を使用しておりましたが,先日第10版が出版されました.
この第10版ですが過去にないくらい変更点が多く,資格を取得してからMMTの教科書なんて確認することもなかったという理学療法士・作業療法士の皆様もぜひ確認をいただきたい内容が盛りだくさんです.
今回はMMT第10版はどこが変わったのかについて考えてみたいと思います.
なぜMMT10版で新しくなった内容を知っておく必要があるのか?
理学療法士・作業療法士がクライアントの筋力を評価する上では現在のところManual Muscle Testingが最も標準的な方法であります.
もちろんMMTというのは筋力測定法としても多くの限界がありますので,臨床ではMMTなんて使用しないといった理学療法士・作業療法士の方々も多くいらっしゃると思いますが,MMTというのは理学療法士・作業療法士間のみならず医師や看護師といった他職種とクライアントのことを議論する上では共通言語となります.
そのため新しいMMTの方法について理学療法士・作業療法士も知っておく必要があるでしょう.
また臨床実習生を受け入れている施設においては,臨床実習生は新しいMMTの書籍を使ってMMTの勉強をしておりますので,理学療法士・作業療法士が新しくなったMMTの方法を知らないと臨床実習指導にも支障をきたします.
プローンプランクテスト
まず今回の改定版で最も話題になったのがコアの筋力を評価する方法として登場したプローンプランクテストです.
このテストではプローンプランク肢位を取って,その姿勢を保持できるか否か,どのくらいの時間姿勢を保持できるかでMMTの段階を評定することとなります.
段階5(Normal):120秒保持
段階4(Good):90秒未満で
段階3(Fair):プローンプランク肢位を取れるが保持できない
こんな評価方法となっております.
第10章でハンドヘルドダイナモメトリーに関する章が設けられる
これまでの理学療法士・作業療法士における筋力測定のスタンダードといえばMMTでしたが,この第10版では徒手筋力計を用いた筋力測定方法が取り上げられております.
最近はハンドヘルドダイナモメーターを使用して筋力測定を行うことが多いですし,MMTに代わってハンドヘルドダイナモメーターを使用した筋力測定が理学療法士・作業療法士における筋力測定のスタンダードになりつつあるのも事実です.
この第10版には筋力の平均値も掲載されておりますので,非常に参考になると思います.
足関節背屈筋力の測定肢位が変わる
これまでMMTによる足関節背屈筋力測定では3-5レベルは座位で筋力評価が行われるのが標準だったと思います.
これは従重力の原則に従ったものでしたが,端坐位で足部に抵抗を加えるのって,理学療法士・作業療法士がしゃがみ込む必要がありましたので,けっこう大変でした.
今回の改定版では足関節背屈筋力の検査姿位が除重力肢位である背臥位となりました.
足部というのは全体重の1.8%にすぎませんので,たった1.8%の重力負荷よりも,検者が抵抗を掛けやすい姿勢が取れることを優先した改定と考えられます.
この改定というのは非常に意味があると思いますし,変化としては非常に大きいと思います.
前腕回内・回外の段階2の検査が肘関節伸展から肘関節屈曲90°に変更
前腕回内・回外の段階2についても検査肢位が変更となりました.
肘関節伸展位では肩関節の内外旋運動を代償として伴いやすいわけですし,重力を除いた肢位と考えると,肘関節屈曲90°に変更されたというのも妥当でしょう.
今回はMMT第10版はどこが変わったのかについて考えてみました.
発売当初,プローンプランクテストばかりに目が向けられたMMT第10版ですが,他にもいろいろと変更点があります.
理学療法士・作業療法士の皆様も臨床実習生とともに新しいMMT第10版について学習してみてはいかがでしょうか?
今年度実習にくる学生はまだ第9版を使用しているでしょうが…
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