なみはやリハビリテーション病院における新型コロナウイルス感染症拡大の原因が明らかに

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なみはやリハビリテーション病院における新型コロナウイルス感染症拡大の原因が明らかに

先週,なみはやリハビリテーション病院における新型コロナウイルス感染症拡大に関する報道がなされました.

現在のところ新型コロナウイルス感染の拡がりは一時に比較すれば落ち着きをみせておりますが,第2波と思われる感染者数の増加も報道されていることから,理学療法士・作業療法士も引き続き感染対策を徹底する必要があります.

われわれ理学療法士・作業療法士もこのなみはやリハビリテーション病院の報告から学べるところは非常に多いと思いますので,今回はなみはやリハビリテーション病院における新型コロナウイルス感染症拡大の原因について現地調査支援報告をもとに考えてみたいと思います.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なみはやリハビリテーション病院における新型コロナウイルス感染拡大の経緯

2020年4月 14 日,大阪市内のなみはやリハビリテーション病院スタッフの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染が判明しました.

この報告では,この状況を受け,同院における COVID-19 患者発生状況の全体像の把握,濃厚接触者のリスク評価,院内感染対策状況の把握を行い,感染源・感染経路・今後の感染拡大リスクを推測し,今後の病院運営継続,地域医療,地域の公衆衛生対策に資するものとし,また,院内感染対策に対して,改善方法のアドバイス等,適宜支援実施を目的としてクラスター対策班の支援が要請され,4 月 20 日より現地で支援を開始しております.

なお,本報告の多くの内容は現地調査を実施した 4 月 30 日までの情報に基づくものです.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4月16日以降に行われた全職員へのPCR検査

4月1 日以降,COVID-19 感染者と何らかの接触があったと考えられた入院患者,スタッフ,他院へ転院した患者等を接触者と定義し,4月16 日以降に,原則全員に対して PCR 検査を実施されております.

PCR 検査結果では,入退院患者のうち最も陽性率が高かったのは 3 階病棟で 90%,スタッフのうち陽性率が高かったのは 3 階病棟看護師で 71%,次いでリハビリスタッフで64%でありました.

今回検査した者全体の陽性率は 41%でありました.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

感染源についての遡り調査

なみはやリハビリテーション病院は回復期リハビリテーションを主に実施する施設でありますので,原則,入院患者は他院からの転院患者であります.

4 月 3 日に発熱を認めた入院患者(A)は感染の判明する 4 月 15 日まではリハビリテーションは継続されていたようです.

当初は原疾患による発熱と判断されており,前医では COVID-19 感染が発生したという情報はありませんでした.

入院患者(B)は 4 月 8 日に発症しており,前の病院からリハビリテーション目的に転院をしてきておりますが,発熱,肺炎像を認め,急性期病院に転院後の 4 月 16 日に PCR 検査で陽性が判明しております.

またなみはやリハビリテーション病院で最初に探知された 2 階病棟看護師は 4 月 11 日から発熱を認め,以降欠勤となっていたようです.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

院内感染伝播経路(スタッフ,患者等の接触状況)について

2,3 階病棟は,リハビリテーションスタッフによるリハビリテーションが入院病床やリハビリテーション室で実施されておりました.

一方で COVID-19 患者が 2 名発生した 4 階病棟は障害者病棟であり,基本的にリハビリテーションの実施やリハビリテーションスタッフの出入りはなかったようです.

リハビリテーションスタッフはチーム制をとっており,対応する患者はチームごとに固定されておりましたが,施術は患者ごとに病棟横断的に実施されておりました.

また,看護ケアについては,2 階,3 階とそれぞれ看護スタッフが分かれており,夜間は病棟ごとに基本的に 2 名の看護体制であり,どの看護師もすべての同病棟内の患者と接する可能性がありました.

本事例発生初期においては,スタッフはマスク着用を実施し,血液・粘膜・体液に曝露する際には,標準予防策として個人防護具(PPE)を着用していたと考えられますが,その他の通常のケアやリハビリテーション時は手袋の着用はしておらず,消毒用アルコールなどの医療資材の不足もあり手指消毒についても不十分であった可能性があります.

スタッフ同士の接触について

院内で多数のスタッフが集まるイベントとして,4 月 1 日に新人スタッフ研修が実施されておりました.

研修参加の際は,全員マスク着用,室内は常時窓を開け換気を行っておりました.

なお,参加の有無でスタッフの PCR 陽性率に大きな違いは認められませんでした.

また,日常のスタッフのロッカールームは男女別であり,出勤時間帯等は密集するような状況となっておりました.

食事や休憩は職員食堂や病棟の休憩室でとられていた.食事や休憩の際はスタッフ同士,マスクを外した状態で会話等をしていた可能性があります.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

調査におけるまとめ

院内感染が拡大した要因としては,当該病院全体に共通するものとして,原疾患等の影響で本疾患の発症の把握が困難であり,探知の遅れがあった可能性があります.

また,病棟内拡大の要因として,サージカルマスクや消毒用アルコールなどの医療資材の不足もあり,スタッフにおける患者に接する前後での基本的な感染予防策が不十分となっていた箇所が存在した可能性,特に,ケアやリハビリ等,同じ病棟内で患者間を横断する手技や施術があった際に感染予防策が徹底されておらず,スタッフが患者間の感染を媒介した可能性があります.

病棟間拡大の要因としては,病棟でのリハビリテーション施術の際の接触に伴うものや,診療や清掃,社会福祉資源等の調整のために病棟横断的に対応を行うスタッフが患者間やスタッフ間の感染を媒介した可能性があります.

また,リハビリテーション室等の中央での施術やケアが感染を媒介した可能性もあります.

一方でスタッフ間での感染拡大の要因としては,密に過ごす空間(食堂,休憩室,ロッカー,スタッフステーション)において,食事や飲水の際にマスクを着用せずに会話をする等の濃厚接触があった可能性があります.

感染拡大の特徴と範囲については,今回,持ち込みルートについての特定が困難であり,推定される感染源を中心とした,濃厚接触者の絞り込みは困難でありました.

また,リハビリテーションが中心となる病院の特徴や初期段階でかなり多くの感染者が探知されたことから,COVID-19 患者とスタッフ,また入院患者の濃厚接触の程度について,各々のリスク状況把握が困難でありました.

初期段階で,ほとんどのスタッフ,入退院患者に対して PCR 検査が実施されており,PCR 検査結果からは,2 階,3 階病棟を中心にスタッフ,入院患者への感染拡大と,リハビリテーションスタッフへの感染拡大を認めておりました.

この要因としては,前述のとおり病棟ケア,リハビリテーションの施術,スタッフ同士の濃厚接触による伝播が考えられます.

一方で,4 階病棟からは入院患者 2 名の感染を認めており,病棟スタッフ等に感染者を認めないことから,2 階や 3 階病棟と比較すると明らかな感染のリスクが少なかったと思われます.

特に,2 階,3 階と比較すると,4 階病棟はリハビリテーションの介入がないことから,今回の感染伝播にはリハビリテーションの施術が寄与していた可能性は否定できない

ただし,4 階病棟からも COVID-19 患者が発生していることから,病棟横断的に診療やケア等を行うスタッフを介した感染伝播があった可能性があります.

 

今回はなみはやリハビリテーション病院における新型コロナウイルス感染症拡大の原因についての現地調査支援報告をご紹介させていただきました.

理学療法士・作業療法士をはじめとするリハビリテーションスタッフの介入が大きな感染源となっていたことが明確になった報告だと思います.

感染は以前よりも終息してきておりますが,こういった報告を見ているとまだまだリハビリテーション部門では徹底的な対策が必要だと感じました.

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