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膝関節内転って何?膝関節って内転するの?
バイオメカニクス関連の論文を読んでいて「external knee adduction moment」なんて言い回しをよく目にすることがあります.
でもこれって日本語訳すると外部膝関節内転モーメントといった意味になりますよね?
膝関節って内転しましたっけ?
こんな疑問を持ったことのある理学療法士・作業療法士ってけっこう多いと思います.
今回は膝関節は内転するのか?膝関節内転モーメントって何なのかについて考えてみたいと思います.
膝関節は顆状関節
膝関節というのはご存じの通り,膝蓋大腿関節(PF関節)と脛骨大腿関節(FT関節)から構成されます.
この2つの関節に加えて近位脛腓関節を含めて膝関節とすることも多いですね.
膝関節というのは正しくは,「ひざかんせつ」ではなく「しつかんせつ」と読むのが正しいようです.
少し話がそれましたが,膝関節は機能的には蝶番関節に近く,構造的には顆状関節に分類されます.
膝関節運動というのは基本的には屈曲・伸展と,回旋です.
前額面の動きもある程度は許容されますが,内外反と表現されることが多いと思いますし,動揺性や不安定性として表現される場合が多いと思います.
したがって膝関節内転・外転といわれても多くの理学療法士・作業療法士がピンとこないというのが実際ではないでしょうか.
外部膝関節内転モーメントとは?
変形性膝関節症関連の論文を読んでいるとよく出てくるのが外部膝関節内転モーメントといった表現です.
そもそもこれは何を表しているのでしょうか?
外部膝関節内転モーメント(external knee adduction moment)はKAMと省略されることが多いですが,変形性膝関節症の進行に関連する指標として近年注目されております.
変形性膝関節症の進行予防を考える上では理学療法の効果を見極めるアウトカムとなる指標の1つです.
KAMというのは簡単に言うならば,荷重時に膝関節内側に加わる圧縮ストレスを表すもので,膝関節を内反方向に誘導する外力の強さと考えるとよいと思います.
この膝関節を内反方向に誘導する外力が強くなると内反変形が進行してしまうわけですね.
内転モーメントではなく内反モーメントでは?
日本語の場合には内転モーメントではなく内反モーメントと表現されることも多いですが,正直なところこの方が分かりやすいですよね.
External knee inversion momentとしていただければ,多くの理学療法士が理解しやすいのではないかと思います.
ここで内外転の定義について考えてみたいと思います.
身体の第2の分割面である前頭面ですが,冠状面とも呼ばれますね.
基本的には少数の例外を除いて,四肢を中心線/正中線から離す動作を外転,四肢を中心線/正中線に向かって近づける動作を内転と呼びますが,いずれも前頭面内で起こる動きです.
バイオメカニクスの分野では関節部位を問わず,この前額面・感情面での動きを内転・外転と呼びます.
膝関節であっても下腿が正中線から離れる動作を外転,正中線に向かって近づく動作を内転と呼ぶわけですね.
そのため膝関節内反方向の動きは下腿が正中線に近づく動作ですので内反ではなく内転と呼ばれるわけです.
今回は,膝関節は内転するのか?膝関節内転モーメントって何なのかについて考えてみました.
まぎらわしい表現ですが,KAMといった概念が広がりを見せている状況ですので,慣れるしかないのでしょうね.
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