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ストレッチングを行う際の休息時間が筋のスティフネスに与える影響 ストレッチングの休息時間で効果が変わる
先日,筋力トレーニングにおける休息時間が筋力トレーニングの効果に与える影響についてご紹介させていただきました.
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前回ご紹介いたしました内容によると低強度筋力トレーニングにおける休息時間は60秒以内にすると,筋力トレーニングの効果が高くなることが明らかにされております.
ではストレッチングにおける休息時間はどうでしょうか?
ストレッチングもストレッチとストレッチの間の休息時間を変化させるとストレッチングそのものの効果が変化するのでしょうか?
今回はストレッチングを行う際の休息時間が筋のスティフネスに与える影響について明らかにした研究論文をご紹介させていただきます.
今回ご紹介する論文
J Biomech. 2019 Jun 11;90:128-132. doi: 10.1016/j.jbiomech.2019.04.036. Epub 2019 May 4.
Effect of static stretching with different rest intervals on muscle stiffness.
Nojiri S1, Ikezoe T2, Nakao S2, Umehara J3, Motomura Y2, Yagi M2, Hirono T2, Ichihashi N2.
今回ご紹介する論文は2019年に掲載された新しい論文です.
本邦で行われた基礎研究ですね.
研究目的
The aim of the study was to investigate the effect of static stretching (SS) with different rest intervals on muscle stiffness. Fifteen healthy males participated in the study.
筋を一定時間伸ばし続ける静的ストレッチングを行う際に,何分間行えば良いかについてはこれまで数多く検討されてきました.
一方で,臨床現場では複数セットに分けて静的ストレッチングを行うことが多いですが,セット間の休息時間についてはあまり着目されておりません.
この研究ではストレッチングを行う際の休息時間が筋のスティフネスに与える影響について明らかにすることを研究目的としております.
研究の方法
Four bouts of thirty-second SS for the gastrocnemii were performed at the maximal dorsiflexion using dynamometer with two different rest intervals between stretches, namely 0s (R0) and 30s (R30). Each participant underwent both stretching protocols at least 48h apart in a random order. Between each bout of SS, the ankle was moved to 20°-plantar-flexion in 3s, held for each rest interval time, and then returned to the stretching position in 3 s. The shear elastic modulus of the medial gastrocnemius was measured before (PRE) and immediately after (POST) four bouts of SS to assess muscle stiffness of the medial gastrocnemius.
30秒×4セットの静的ストレッチングを腓腹筋(最大背屈)を,休息せずに繰り返す条件と30秒の休息を挟みながら繰り返す条件で実施し,筋の硬さの変化を比較しております.
対象者には少なくとも48時間以上の時間を空けて,2条件でストレッチを行い筋の硬さを評価しております.
ストレッチング間の休息においては足関節を20°底屈させ休息を取っております.
超音波エラストグラフィーを用いて腓腹筋内側頭の筋の硬さについてストレッチ前,ストレッチ直後に測定を行っております.
研究の結果
Two-way repeated measures analysis of variance (protocol×time) indicated a significant interaction effect on the shear elastic modulus. The shear elastic modulus significantly decreased after SS in both protocols [R0, PRE: 11.5±3.3kPa, POST: 10.0±2.6kPa, amount of change: 1.6±0.9kPa (13.0±5.2%); R30, PRE: 11.0±2.8kPa, POST: 10.2±2.1kPa, amount of change: 0.8±1.3kPa (6.0±10.4%)]. Furthermore, the SS with 0-s rest interval induced greater decrease in shear elastic modulus when compared to SS with 30-s rest interval (p=0.023).
2元配置分散分析の結果,有意な交互作用が見られました.
剪断波エラストグラフィーによって測定した筋の硬さは,2条件の静的ストレッチングによって有意に減少しておりますが,休息を挟まずに4セット繰り返す静的ストレッチングを行った方が筋の硬さの減少の効果が大きいことが明らかとなりました.
研究の結論
Thus, when performing SS to decrease muscle stiffness, rest intervals between stretches should be minimized.
この研究の結果から,複数セットに分けて静的ストレッチングを実施する場合には,セット間の休息時間はできるだけ短くすることが勧められます.
今回はストレッチングを行う際の休息時間が筋のスティフネスに与える影響について明らかにした研究論文をご紹介させていただきました.
ストレッチングを行う場合にはセット間の休息時間を可能な限り短くした方が,効果を得られそうですね.
理学療法士・作業療法士の皆様もストレッチングを行う際の参考にしていただければと思います.
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