胸椎後彎姿勢は肩痛・関節可動域制限・肩関節機能低下の原因になるのか? システマティックレビューによる検討

脊椎圧迫骨折
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胸椎後彎姿勢は肩痛・関節可動域制限・肩関節機能低下の原因になるのか? システマティックレビューによる検討

理学療法士・作業療法士が肩関節痛や肩関節の可動域制限を有するクライアントを担当する機会は多いと思います.

肩関節に問題を有するクライアントの問題を解決するためには,肩甲上腕関節にとどまらず,肩甲胸郭関節,胸椎,ひいては骨盤・股関節と広くクライアントの姿勢を評価する必要があります.

特に胸椎後彎姿勢は肩甲骨運動の妨げとなりますので,昔から胸椎後彎姿勢⇒肩関節機能低下と考えられてきました.

でも胸椎が後彎していても肩関節に問題ない方もいらっしゃいますよね?

今回は胸椎後彎姿勢は肩痛・関節可動域制限・肩関節機能低下の原因になるのかを検討したシステマティックレビューをご紹介させていただきます.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回ご紹介する論文

Man Ther. 2016 Dec;26:38-46. doi: 10.1016/j.math.2016.07.008. Epub 2016 Jul 21.

Is thoracic spine posture associated with shoulder pain, range of motion and function? A systematic review.

Barrett E1, O’Keeffe M2, O’Sullivan K3, Lewis J4, McCreesh K5.

今回ご紹介する論文は2016年に掲載された比較的新しい論文です.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究の背景・目的

Excessive thoracic kyphosis is considered a predisposing factor for shoulder pain, though there is uncertainty about the nature of the relationship between shoulder pain and thoracic spine posture. The aim of this systematic review was to investigate the relationship between thoracic kyphosis and shoulder pain, shoulder range of motion (ROM) and function.

過度の胸椎前弯は肩関節痛の原因の1つと考えられておりますが,肩関節痛と胸椎姿勢との関連性についてはまだまだ不明な点が多い状況です.

このシステマティックレビューでは,胸椎後彎と肩関節痛,肩関節可動域,肩関節機能との関係性を明らかにすることとなっております.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究の方法

Two reviewers independently searched eight electronic databases and identified relevant studies by applying eligibility criteria. Sources of bias were assessed independently by two reviewers using a previously validated tool (Ijaz et al., 2013). Data were synthesised using a level of evidence approach (van Tulder et al., 2003).

2人のレビュアーが独立して8つの電子データベースを検索し,適格性基準を適用して関連する研究を同定しております.

バイアスリスクについても,過去に検証されたツールを用いて,データはエビデンスレベルアプローチを用いて2人のレビュアーが独立して評価がなされております.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究の結果

Ten studies were included. Four studies were rated as low risk of bias, three at moderate risk of bias and three at high risk of bias. There is a moderate level of evidence of no significant difference in thoracic kyphosis between groups with and without shoulder pain. One study at high risk of bias demonstrated significantly greater thoracic kyphosis in people with shoulder pain (p < 0.05). There is a strong level of evidence that maximum shoulder ROM is greater in erect postures compared to slouched postures (p < 0.001), in people with and without shoulder pain.

最終的に10件の研究が対象となりました.

4件の研究はバイアスリスクが低く,3件はバイアスリスクが中程度,3件はバイアスリスクが高いといった結果でありました.

肩関節痛のある群とない群の間で胸郭後彎に有意差がないという中等度のエビデンス明らかとなりました.

またバイアスリスクが高い1件の研究では,肩関節痛のある例の胸部後弯が有意に大きいことが示されております.

肩関節痛のある人とない人では,肩関節可動域が快楽姿勢(だらりとした姿勢)に比べて,きちんとした立位姿勢の方が大きいことが明らかとなりました..

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究の結論

Thoracic kyphosis may not be an important contributor to the development of shoulder pain. While there is evidence that reducing thoracic kyphosis facilitates greater shoulder ROM, this is based on single-session studies whose long-term clinical relevance is unclear. Higher quality research is warranted to fully explore the role of thoracic posture in shoulder pain.

この研究結果から胸部後弯姿勢は肩関節痛の発症に関する大きな原因ではない可能性が示唆されます.

胸椎後彎を減少させることで肩関節可動域が向上するといった科学的根拠は見られるものの,この研究は1つの研究に基づくものであり,長期的な臨床的関連性は不明であります.

肩関節痛における胸部姿勢の役割を完全に探求するためには,今後より質の高い研究が必要です.

 

今回は胸椎後彎姿勢が肩痛・関節可動域制限・肩関節機能低下の原因になるのかを検討したシステマティックレビューをご紹介させていただきました.

この研究でも結論付けられているように,おそらく胸椎後彎姿勢⇒肩関節痛とはならないのだと思います.

ただ胸椎後彎姿勢以外の要因で肩関節痛を有するクライアントにとって胸椎後彎姿勢が疼痛を増強したり関節可動域制限を助長したりということは十分にあり得ると思いますので,理学療法士・作業療法士も胸椎後彎に着目して肩関節疾患のクライアントの運動療法を行う必要がありますね.

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